消滅可能性都市だった東京・豊島区の"若返り改革" PPPで魅力を向上
2019.11.15(liverty web)
高さ100メートルのダイヤゲート池袋。
《本記事のポイント》
- 豊島区で、「ハレザ池袋」や「ダイヤゲート池袋」などが続々オープン
- 再開発への機運は、都内で唯一の「消滅可能性都市」に指定されたこと
- 危機意識に突き動かされ、街の魅力が"創造"されている
東京都豊島区はこのほど、旧庁舎と豊島公会堂の跡地などで整備した「Hareza(ハレザ)池袋」の中核施設「区立芸術文化劇場(東京建物ブリリアホール)ホール棟」と「としま区民センター」のオープンセレモニーを開催した。
ハレザ池袋は、区と東京建物、サンケイビルが官民連携(PPP)で整備。区は、アニメイトを含めて年間1000万人の集客数と、480億円の経済波及効果を試算している。
池袋駅周辺は現在、再開発事業が進められ、景観が変わりつつある。4月には、池袋駅の南側に「ダイヤゲート池袋」が開業。駅の真上にビルを建設して、線路上空のデッキをつなげ、人々の「回遊性」を向上させた。線路をまたぐ高層ビルは、駅ビルを除けば日本初となる。
ファミリー層を取り込む
こうした取り組みのきっかけは、豊島区が2014年に、東京23区内で唯一「消滅可能性都市」に指定されたことだ。
消滅可能性都市とは、10年から40年にかけて、20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少すると予測される市区町村のこと。豊島区は、1日約260万人が利用する池袋駅を中心に栄えてきたにもかかわらず、人口構成の高齢化が進み、街の魅力も低下しつつあったことが浮き彫りとなった。
そこで区は、人口構成を若返らせるために、先述した再開発事業に加え、駅周辺の公園を整備している。公園の公衆トイレを清潔に保つほか、公園と商業施設などをつなぐ電気バス「イケバス」を新たに運行させるなど、ファミリー層にとって住みやすいイメージを発信している。
アニメや舞台などの「文化都市計画」
さらに池袋は、サブカルから伝統文化のコンテンツを集積させ、「誰もが主人公になれる劇場都市」を目指している。
ハレザ池袋では、今後、宝塚歌劇や歌舞伎、バレエ、ミュージカルなどを上演していく予定。来年には、漫画家の手塚治虫や赤塚不二夫などが住んだ「トキワ荘」の復元施設をオープン。女性のアニメファンをターゲットにした「アニメイトガールズフェスティバル」を開催する。
豊島区は、PPPなどで民間の活力を引き出し、新しい価値を創造して、「魅力的な街づくり」に取り組んでいる。だがその始まりは、「これではいけない!」という意識改革だった。それぞれの街の特色を生かすことが、人口減少に歯止めをかけることにつながるだろう。
(山本慧)
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