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シーボルトお抱え絵師
「川原慶賀」~5
慶賀は伝統的な日本画法に西洋画法を取り入れていた。
また、精細な動植物図については
シーボルトの指導もあった。
シーボルトは植物研究のための標本デッサンを
正確に描くためには
どうしても西洋画法に精通した絵師が必要であった。
そのためヴァタビア総督に画家の派遣を要請している。
この要請に応えて文政8年(1825)来日したのが
薬剤師のビュルガーと
専門の画家ではないものの絵心のあった
デ・フィレニューフェであった。
慶賀は、このデ・フィレニューフェから
西洋画法の手ほどきを受けることとなる。
日本に現存する作品は約100点だが、
オランダに送られヨーロッパ各地に分散した絵図は
6000-7000点ともいわれている。
慶賀が描いた動植物図のほとんどはオランダに送られ、
シーボルトらの著作である
『日本動物誌』等の図として利用された。
標本がなく、慶賀の写生図をもとに
記載されたウミヒゴイなどの例もある。
これらはライデン国立自然史博物館に所蔵されているが、
その精密な図は
今猶生物学者の使用に耐える標本図となっている。
動植物図以外にも
長崎をはじめ日本各地の風俗画、風景画、
肖像画などが多数残されている。
唐蘭館図は長崎歴史文化博物館所蔵で、
国の重要文化財に指定されている。
古美術崎陽HP