天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

暗むほど水面へ垂れ冬紅葉

2016-11-20 09:20:00 | 俳句


きのう蘖句会で吟行をした。
「寒いから嫌」という正常な人をのぞいた11名が11時に西武新宿線東伏見駅に集まった。「寒いから嫌」というМさんも天気のいい日に一人吟行したというからみんな俳句バカである。
駅から徒歩5分ていどのところに位置する武蔵関公園は予想以上に情緒があった。
一周1.3キロほどの細長い池をめぐる岸に立つ木々がしな垂れていることが情緒を醸していた。
黄色の葉も赤い葉も、赤い実も藪もみな水にひかれるように垂れている。その下の空間が人を容れて落ち着かせてくれる。

俳句をする者たちをうしろから見るといつも影法師、ないしゾンビと思う。なぜこうも皆黒々としているのか。俳人がうろつくと冬が深まってしまう。

鴨騒ぐ俳句捜しの影法師




青年の礼うやうやし冬紅葉
ぼくのブログを見て蘖句会にひかれたというS.Uくん35歳が初参加。ぼくの息子よりやや若い。長身でイケメン、爽やかな気を発するので中年女性たちの視線も彼に寄りがち。
会場は田無公民館、投句締切は13時といったきりで別れてしまいやや心配したが、きちんと来た。まともな社会生活ができることがうかがえた。

黄落や雨後の鳥声輝きぬ
雨の上りを待っていたかのように鳥が鳴く。鵯がいなくて声が輝いているように感じた。



鴨池へしだるる木々の雨雫
われわれ日本人は、ほのかに見える、うっすら見えるという美意識の持ち主かもしれない。源氏物語の昔から「御簾」なる調度を愛用してきた。
風景を見るにしても御簾意識があるのだろう。木々の間から見る池に風情を感じる。


凩や鯉かたまれる淵の色
水のなかに鯉が複数集まっている色が好きだ。冬を象徴する色である。雪も冬を象徴する色だが正反対のこの色も冬を象徴する。冬は案外豊かな季節かもしれない。

冬の雨川鵜をいよよ黒くせり
宏子さんが池の中の杭にじっと止まっている黒い鳥を川鵜でしょうかと聞いた。川鵜の黒さは雨に濡れると行き場がないほどみじめ。烏も黒いのだが「烏の濡れ羽色」といわれてその光沢を評価されているのに対しえらく違う。



何を求め鴨飛び立つや首伸べて
飛び立つ鴨の多くが声を出す。そして忙しく飛ぶ。尾長の飛ぶのと違いこやつも憐れだ。

冬の雨留守番のわれ毬藻め
この池に毬藻はいそうもないが妻の留守を一人暮らす自分を毬藻と思った。毬藻でないと気づいたのは自分の句をのぞく134句全部にコメントをしたとき。
結局、皆さんの要望もあり全句講評をした。
句会の終ったのは6時ちょっと前であった。
いつもより1時間多く喋った。一人の生活で声を使っていない割には声は出た。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 玉鷲の空間技術 | トップ | 飯島晴子のようにわれ激す »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

俳句」カテゴリの最新記事