【北京=林望、倉重奈苗】中国・北京の天安門前で28日に起きた車突入・炎上事故は、故意によるものとの見方が強まっている。中国では、政治や社会への不満を背景にした市民の自爆事件が続く。事故は市民だけでなく、習近平(シーチンピン)指導部にも緊張を与えている。

 事故後、現場付近の歩道は封鎖され、天安門広場への立ち入りも禁止された。現場に向かった記者が立ち入り禁止区域の外側からカメラを構えると、武装警察官が「撮るな」「カメラをカバンにしまえ」と怒鳴りながら駆け寄ってきた。

 事故時に現場にいたという40代の旅行会社員は「車内から黒い旗を振りながら車が突っ込んできた」と話した。旗には少数民族の使うような文字が書かれていたとの目撃情報もある。

天安門広場には三度行った。
いずれも天安門事件のずっと後のことだが。
三度とも、独りで近くをブラブラしたり、周辺の明代から続く北京特有の平屋の住宅街である胡同(フートン)を散策したりした。
もちろん、要所要所には警察官の鋭い視線が飛んではいる。 700年続いたといわれる胡同(フートン)も行くたびに取り壊しがされている現場に立ち会った。

観光客も多いが、僕は天安門に行くと建物観察と言うより、座り込むところをみつけてしばらく眼を閉じたりしながら、ニュース映像でいやになるほど見た天安門事件の騒ぎを回想したりした。

今回の「自爆事件」はウィグル少数民族に属するグループの犯行だといわれている。
このあと、当局発表の「事件の真相」が出てくるだろうが、それが本当のことかどうか、われわれには判らない。
ウィグル出身の知人に聞いた話や、いろんなウィグル関係の映像で見た知識で言えば、中国政府が公式発表していることなどとても信じられるものではないからだ。

すべては「テロ」という言葉で片付けられることになる。
しかし、国家が国民や住民を抑圧したり惨殺したりすることは、「テロ」とは呼ばれない。