ごっとさんのブログ

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風邪を引いたら病院に行くべきか

2019-04-22 10:21:49 | 健康・医療
風邪を引いたら早めの段階で病院にかかって手を打っておきたいという人は多いようです。

仕事が忙しいのでなるべく休みたくないとか、学校で大事なイベントがあるので早めに受診して治したいという人が多いでしょう。しかし風邪の症状がまだ軽い早めの段階で、病院でできることはほとんどないというのが実状のようです。

病院で風邪薬を処方してもらえばいいと思う人もいるかもしれませんが、風邪薬は風邪を治す薬ではありません。風邪によって起こる頭痛や鼻水、咳、たん、発熱などを抑える成分が含まれているだけです。

風邪はほとんどがウイルス感染とされていますが、風邪薬にウイルスをやっつける成分は入っていませんし、そもそも風邪のウイルスをやっつける薬は存在しません。病院で処方される風邪薬と、市販の風邪薬は成分に大差がありません。

病院で処方してもらえば健康保険によって薬の値段は多少安くなるものの、つらい症状がある中で病院に出かけて行って、ようやく手に入れることを考えると割に合わないようです。

抗生物質は市販されていないから病院に行く意味はあるという考えも古くなっています。つまり風邪はほとんどがウイルス感染で、抗生物質は細菌感染症に用いる薬ですので、風邪に対しては効果が期待できません(このあたりはブログに書いているように、私は必要と思っています)。

2017年に厚生労働省が出した「抗微生物薬適正使用の手引き」において、感冒に関しては抗菌薬投与を行わないことを推奨すると明記されたことで、風邪に対して抗菌薬が処方されること自体が減っています。

点滴をしてもらえば風邪はきっと早く治ると思う人がいるかもしれません。しかし残念ながら外来で行う一般的な点滴の成分は、ほぼ水だけとなっています。水にナトリウムやカリウムなどの電解質が含まれており、成分としてはスポーツ飲料と似ており、風邪を治す成分はもちろん含まれていません。

点滴の目的はのどの痛みや全身倦怠感によって、食事や水分が取れず脱水状態になっているときの水分補給です。口から自力で水分が取れる人には点滴を行う意味はあまりありません。

以上のことを考えると、風邪で早めに受診しても、実は病院でしかできないことがほとんどないということになります。風邪は自然に治る病気ですので、受診にかかる時間と労力を考えると、その時間を使って自宅でゆっくり療養する方が有効ということになります。

ただしこれはあくまでも早めに治したいという動機で、比較的若くて元気な人のいつもの風邪の場合のことです。赤ちゃんや持病により様々なリスクを持つ人は、風邪を契機に他の重篤な感染症を合併することもありますので、人によっては早めの受診が必要なことはもちろんです。