ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

「若返りの薬」実現するのか

2019-09-30 10:17:53 | 
近年科学者たちは「老化」を生物医学的に改善するために、試験管内や動物モデルを使った実験を盛んに続けてきました。

人は加齢に伴いさまざまな病気を経験するようになります。最新の科学技術を駆使して老化に抗い、加齢性疾患の影響を受けずに健康に歳を重ねることの可能性が出てきたようです。

このほど発表された論文によると、研究ではヒトの男性に成長ホルモンと2種の糖尿病薬を1年間、サプリメントとして投与しました。その結果胸腺の機能回復及びエピジェネティックな老化を逆転させることに初めて成功したと報告しています。

1980年代年老いたラットやイヌに成長ホルモン分泌細胞を移植したところ、明らかに免疫系が回復したという二つの研究がありました。

これらの研究は、免疫系に重要な働きをするものの加齢によって脂肪の塊となってしまう「胸腺」の機能を、成長ホルモンによって回復させられるかどうかを試したものでした。

胸骨の後ろに位置する胸腺は、骨髄で生産された前駆細胞をT細胞へと分化成熟させたり、リンパ球を造成したりする免疫機構に重要な臓器です。しかし思春期を終えると、胸腺の機能は加齢に伴って急速に低下し委縮し、だいたい65歳までにはT細胞を生成する能力すらなくして脂肪組織になってしまうようです。

カリフォルニアの研究企業のグループは、この成長ホルモンに着目しました。しかし成長ホルモンはインスリンを抑制して血糖値を上げる働きがあるため、糖尿病を誘発する恐れがあります。

研究グループは、抗老化の作用のある3種の薬を組み合わせ、それらの効果を1年間かけてヒトの男性9人で試しました。51歳から65歳までの健康な白人男性9人を対象に、胸腺再生による免疫修復を試みました。

このトライアルの目的は、成長ホルモンの投与によって機能停止寸前のヒトの胸腺が再生するかどうか、そして免疫システムが老化する兆候を予防または逆転させられるかどうかを検証するためです。

実験では「成長ホルモンのほか、抗インスリン効果のある「DHEA」と「メトホルミン」の3種の薬を1年間投与しました。

実験の結果は、予想した通り、胸腺の密度をMRIで測定したところ、脂肪組織の割合が明らかに減少しており、再生された胸腺組織に置き換わっていました。これは9人のうち7人で顕著で、他の2人は元々胸腺の脂肪の割合が少ない人でした。

さらに胸腺の回復に伴って、疾患リスクの因子や加齢に伴う免疫学的パラメーターが改善していました。これから大規模な研究を計画しているようですが、これは面白い結果ではありますが、広く使われるようにはならないような気もします。

「若返り」というのは魅力的な研究ではあるのですが。

二酸化炭素の温暖化説は真実か

2019-09-29 10:29:29 | 時事
国連で高校生が温暖化について訴え話題になっています。

このところ異常気象が続き、色々なところでかなりの被害が出ているようですが、最近の異常気象も温暖化の影響なのかもしれません。

私は昔から地球温暖化が温室効果ガスである二酸化炭素が原因であるという事には疑問を持っていました。地球規模での温室効果ガス削減の取り組みなどが進んでいますので、二酸化炭素(炭酸ガス)が温暖化の原因であることに疑問を持つ人は少ないのかもしれません。

地球全体の気温が上がっていることと、空気中の炭酸ガス濃度が上がっていることは、科学的な事実です。

地球上の炭酸ガスのほとんどは海水中に溶け込んでいるはずです。気体の溶解度は温度が上昇すると減少しますので、海水温がわずかでも上昇すれば、海水中の炭酸ガスは大気中に放出されます。

つまり気温が上がれば大気中の炭酸ガス濃度は上昇することになります。この何十年かで気温が徐々に上昇していることは確かで、私は太陽の活動などが原因ではないかと考えています。この気温上昇の結果として、炭酸ガス濃度が上がってきたのではないかというのが私の考えです。

その一つの理由が炭素循環です。これは簡単に言えば、全ての生物の骨格は炭素でできており、これは主に植物が大気中の炭酸ガスを光合成により炭素化合物に変換し、それを利用することによってすべての生物が出来上がります。

これを炭酸ガスの固定と呼んでいますが、この生物が死ぬと微生物の作用などによってまた炭酸ガスに分解されていく過程を炭素循環と呼んでいます。

北半球では春になると、一斉に草木が芽吹きどんどん緑が増えていきます。私の家でも葉の落ちた木に新芽が出て、庭もちょっと草取りを怠ると雑草だらけになってしまいます。つまりこの時期は、植物を中心とした炭酸ガスの固定が地球規模で起こるといえます。

これが膨大な量であることは、疑う余地のない事でしょう。ではこの時期に大気中の炭酸ガス濃度は減るかというと、ほとんど変化はないとされているようです。

つまり非常に多くの生物が一斉に炭酸ガスを固定化しても、全体の炭酸ガスから見るとごく僅かで濃度に影響を与えるほどではないという事になります。

逆に言えば生物が炭酸ガスを固定化した化石燃料である、石油や石炭を炭酸ガスに戻したとしても、膨大な大気中の炭酸ガス濃度に変化を与えるほどにはならないと言えるのではないでしょうか。

多分地球の海洋や大気中の炭酸ガスの規模から考えると、人間のような生物が炭酸ガスを余分に出そうが減らそうが、微々たるもので影響が出るほどの量にならないと考えるのが妥当のような気がしています。

変形性膝関節症は国民病

2019-09-28 10:22:09 | 健康・医療
「変形性膝関節症」という言葉にはあまりなじみがありませんが、この病気の患者は日本に2530万人(潜在患者も含みます)もいるいわば国民病のようです。

この数値を考えると、65歳以上の高齢者は3300万人ですので、高齢者の8割近くがこの病気になる計算となります。歳をとると膝が痛むのは仕方がないと思っている人が多いようですが、膝の痛みの中で最も多いのが、この変形性膝関節症となっています。

私も半年ほど前、テニスをやっているときに無理な体勢でボールを取ろうとして、膝をひねってしまいました。その時はそれほど痛みは感じなかったのですが、終わってから夜食を摂り車で帰ろうとした頃には、アクセルとブレーキの踏み替えさえも痛くなり、やっと家に帰りました。

次の日整形外科を受診したところ、X線などの検査の結果老化によるこの変形性膝関節症と診断され、痛み止めの塗り薬と湿布薬が処方されました。

ところが私の場合は無理な力がかかったことによる膝の炎症だったようで、やや時間はかかりましたが(1か月程度)で完全に痛みは取れ、今では普通にテニスを楽しんでいます。

この変形性膝関節症は、歩くと膝が痛い、足腰が痛いといった症状が徐々に進行する様で、始めて痛みを感じてから何年もたって受診する人もいるようです。

膝の痛みを感じ始める年齢の平均は56.4歳といわれており、年齢が高いほど膝の軟骨がすり減るので、80歳だと6割以上の人がこの診断を受けるようです。膝の軟骨がすり減ると骨の間に間隙ができ、進行すると骨同士がくっついてしまいます。

こうなると車イス生活の寸前ですが、無理に歩こうとする人も多いようです。変形する人の膝では、9割に関節の炎症が起きます。炎症があるとさらに軟骨が変性劣化し、雪だるま式に悪化していきます。

筋力が弱ることも膝の軟骨がすり減る原因で、膝は周りの筋肉に支えられているので、筋力が弱くなると不安定になり軟骨に負荷がかかります。

治療としては、症状が軽い内は炎症を止める薬を飲んで、膝を支える筋肉を鍛える筋トレなどが中心となります。この痛みが改善する可能性があるのは、痛み止めと運動療法だけで、温熱療法やマッサージは効果があるという確証はないようです。

これまですり減ってくる軟骨を止める方法はありませんでしたが、最近は再生医療が試みられています。PRP療法は血小板を使う方法で、血小板には軟骨の健康を守る成長因子(抗炎症性サイトカイン)が含まれていて、膝の中の炎症を改善する可能性や軟骨自身の再生も期待されています。

これは保険がききませんので高額となりますが、比較的安価にできるのが人工関節置換手術です。非常に高い効果が出るケースが多いようですが、やはり患者が高齢という事で手術を嫌う傾向は強いようです。

私は痛みが出てきたらどうするかは、出てきてから考えることにしています。

なかなか素晴らしい「チタン素材」

2019-09-27 10:28:58 | 化学
チタンという金属は、酸化チタンが抗菌力や汚れを分解する力があるなど、色々なところに使われています。

今回アップルウオッチのシリーズに、チタンモデルが登場したことでも話題を集めているようです。チタン(この場合は金属チタンです)は、航空機やロケットなどの素材部品として使われていました。

現在でも海水淡水化装置や海上橋脚、熱交換機などに用いられています。また建築の分野でも活躍しており、屋根や壁材、手すり、モニュメントなどに用いられています。医療機器にも多くインプラントの人工歯根などが有名です。

チタンの特徴は、「軽い」「強い」「錆びにくい」といったところで、ステンレスに比べると40%ほど軽く、比重に対する強度が高いという事も特徴のひとつです。

これを比強度といいますが、同じ強度のものを作った場合、ステンレスやアルミニウムよりも軽くすることができます。またチタンの隠れた特徴として「金属アレルギーが出にくい」という性質があり、これはチタンの表面に形成されている不動態化被膜があるためです。

そのため常に肌に触れている腕時計の素材として注目されているわけです。一方デメリットとしては光沢が出にくくステンレスのミラー加工のような光沢感は基本的にありません。

またステンレスやアルミニウムに比べ軟らかいというのもいろいろな点でデメリットとなるのかもしれません。ただし柔らかいのはチタンの中でも100%の純チタンであって、一般的には硬さを出すためにバナジウムやアルミを添加したチタン合金として使われています。

柔らかさに関連する弱点として、擦り傷に弱いという点もあり、耐摩耗性が低いため傷がつきやすくなります。チタン製と聞くと高級なイメージがありますが、実際チタンはステンレスやアルミと比べると価格が高くなっています。

しかしこれはチタンが貴重な金属だからというわけではありません。チタンは地球上で5番目ぐらいに埋蔵量の多い金属で、量としては貴重なものではありません。

チタンが高いのは加工が難しいためで、非常に酸化しやすいため、採掘した酸化チタンを塩化物にさせたりしますが、こういった工程をすべて真空かアルゴンなどの不活性ガス充填下で行う必要があるためです。

このためにステンレスに比べ10倍ほどの価格になってしまうようです。この様にやや高価なチタンですが、陽極酸化法という手法により様々な色を付けることができるという利点も持っています。

この発色の理論については省略しますが、もう少し安価に製造できればどんどん用途が広がる面白い金属がチタンといえるようです。

経済格差と子供の脳の発達

2019-09-26 10:36:02 | その他
この十数年経済格差の拡大が日本の大きな問題として注目されることが増えています。

経済格差の問題点は色々指摘されていますが、子供の「脳の発達」に影響を及ぼすという研究が発表されました。

子供の心の発達に関しては、スイスの心理学者の研究が有名なようです。彼らは主に子供の知的発達を調べ、いかにして知識を獲得すか、どのくらい記憶できるのか、いかにして推論できるのかといった問題です。

これらの能力は「認知的スキル」と呼ばれます。近年教育経済学や教育社会学などで注目を集めるのが、認知的スキルとは異なる「非認知スキル」という能力です。

非認知スキルは経済学者などが多くの研究をしており、低所得家庭で育った子供が幼児教育を受けることによって、受けなかった子供よりもその後の年収や持ち家などの経済的な面で優れた結果を出すことを示しています。

この際幼児教育は知能(IQ)などの認知的スキルにはあまり影響を与えなかったが、忍耐力や学業への真摯さなどの側面に影響を与えたと考えられ、これらが「非認知スキル」と呼ばれるようになりました。

この言葉はあまりに漠然としているため、「社会情緒的スキル」と呼ぶこともあるようですが、どちらにしろ分かりにくいような気もしますが、自分や他人とうまく折り合いをつけるためのスキルのようです。

この非認知スキルのひとつとされていた「実行機能」というスキルが注目を集め、最近は独立したものとして扱われています。この能力は簡単に言えば、目標に向かって自分をコントロールする力のことを指し、ダイエットという目標のために食べたいものを我慢する力などとしています。

この実行機能を測定するテストの結果、3歳の子どはルールを切り替えることができないが、5~6歳ごろからそれができるようになりました。つまり実行機能は、3歳から6歳ごろにかけて大きく成長することが分かりました。

近年子供の実行機能が注目を集めているのは子供の時の実行機能が、後の学力や友人関係、問題行動、および大人になった時の収入、社会的地位、健康、犯罪歴などと関連するためです。

この具体的な研究としては、3歳から6歳の幼児に実行機能のテストを行い、その際の脳活動を近赤外分光法という手法で計測しました。さらに経済協力開発機構(OECD)の指標に基づき、子供を低所得家庭と中・高所得家庭とに分類し、子供の前頭前野に家庭間で違いがみられるかを調べました。

その結果、低所得家庭の子どもは、実行機能テスト中に前頭前野を活動させていませんでした。つまり、前頭前野の発達に経済格差が影響していることが明らかになったのです。

こういったことが貧困の連鎖などを生んでいるようですが、原因がある程度分かっても解決法がない問題のような気もします。