ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ガン「第5の治療法」ウイルス療法

2019-11-30 10:01:16 | 健康・医療
現在ガンの治療法としては、外科手術、化学療法(抗ガン剤)、放射線療法が3大療法として行われています。

これに第4の治療法として登場したのが、本庶先生の発見から保険適用となったオプジーボなどの抗体医薬を用いた免疫療法です。

ただしこの免疫療法は、免疫の働きを抑えるタンパク質を抗体を用いて無効にするものですが、このタンパク質はガン細胞にだけ発現するわけではなく、全ての細胞も持っています。そのため副作用の問題や有効率が低いという点は、これから改良すべきと思っています。

現在は第5の治療法というべき、ガンの革新的治療方法が承認を目指して先陣争いを繰り広げています。「実用化が近い」と目される第5の治療方法の筆頭候補がウイルス療法です。

ウイルスは種類によって、インフルエンザから重篤な伝染病までさまざまな感染症を引き起こします。このウイルスの細胞を壊す力を使って、ガンを攻撃する方法を東京大学医科学研究所などが開発しています。

この手法はガン細胞にウイルスを感染させウイルスを増殖させ、ガン細胞にだけ攻撃力が増したウイルスでガン細胞を破壊するものです。ウイルスは細胞の表面の糖鎖を識別して、そのウイルスに合った細胞に侵入するという性質を持っています。

ガン細胞に特異的な表面糖鎖を認識するようなウイルスを作り出せれば、ガン細胞特異的なウイルスとなるわけです。現在対象のガンは悪性脳腫瘍の中でも悪性度の高い膠芽腫としており、ウイルスの名はヘルペスウイルス「G47デルタ」と呼ばれています。

このウイルスは、ヘルペスウイルスを遺伝子改変することによって、ガン細胞だけを狙って攻撃する特異的な性質を持っています。研究グループは、このウイルスを用いて治療効果の検討を目的とした医師主導の第Ⅱ相臨床試験(治験)を実施しました。

中間解析の結果、治療開始から1年経過した患者13人について、主要評価項目である治療開始後の1年生存割合が92.3%ととなり、他の複数の治験結果から算出された現行の標準治療の1年生存割合(15%)と比べ、高い有効性を示しました。

この良好な成績から、年内にもPMDA(医薬品医療機器総合機構)への承認申請を目指すとしています。この研究は、「優先的に審査する」という先駆け審査指定制度の対象になっています。

順調に行けば、来年中にも日本初の「ガン治療ウイルス薬」として保険適用される可能性が高いようです。また信州大学と共同で、免疫刺激型の新たなガン治療ウイルスを皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)に応用する治験も着しており、対象のガン種が広がる期待もあります。

このように第5の治療法としての可能性は広がっているようです。

長生きする食事は「好きなものを食べる」

2019-11-29 10:27:15 | 健康・医療
テレビをはじめとするマスコミはこぞって「長生きの秘訣」や「健康になる食事」を取り上げており、健康情報が蔓延しているといえます。

最近読んだ記事に現役の医師が長生きについて書いており、私の考えとも一致する部分が多くありました。これはあくまでも高齢者はという前提ですので、若い人とは違っているようです。

ここではある時期が来たら医療から卒業することが必要ではないかとしています。私はこれには賛成で(ある時期が何歳かは難しいですが)、もちろん痛みや苦痛がある場合はそれを取り除く処置は受けます。

しかしそれがどこかの臓器が原因だと分かっても、それを治すことはしないでしょう。高齢になると色々な組織が傷んでくることは当然で、現代の医療をもってしてもたぶん治すことはできないと思っています。

この記事では80歳を過ぎて、糖尿病を恐れて好きなまんじゅうを我慢するのが幸せかと問いかけています。この辺りは「なぜ生きているのか」という哲学的な要素が入ってきますが、80歳にもなれば糖尿病の心配をすることはないと思っています。

今の世の中では、高齢になっても医療と関わり続けることで、人生の最後の時間にさまざまな制限を受け、楽しみを失っている人は多い気がします。

「ピンピンコロリ」を願っている人は多いのですが、この辺りも「総論賛成で各論反対」的な行動が多いような気がします。60代ぐらいの元気な人は、「延命治療」などしたくないと答える人がほとんどですが、実際には非常の多くの人が延命治療を受けています。

たぶん「死」が身近なものとなると、家族や本人もそれを受け入れられないのかもしれません。ぽっくり死にたいと思っていても、血圧が高く心筋梗塞等の恐れがあると告げられると、降圧剤を飲んでしまうのかもしれません。

なかなか自分が高齢だからといって、高い血圧を放置しようとする人は少ないのでしょう。こういった点からも医療からの卒業をもっと広めてもいいような気がします。

時々聴く例が高齢者が何種類もの薬を飲んで、体調が非常に悪くなり、薬を飲めなくなったら元気になったという話しもあります。これは現在の医療制度が高齢者医療という概念がないのもひとつの原因です。

若い人も年寄りも医療機関では同じ量の薬を処方しています。しかし高齢になると代謝機能も落ち、分解排泄も非常に悪くなり、長時間薬が体内に留まることになります。

つまり適切な処方よりもはるかに多くの薬を飲んでいるのと同じことになり、効能よりも副作用が強く出る傾向になります。こういった議論が医師だけでなく薬剤師なども全くしていないという事も問題かもしれません。

その他いろいろあるのですが、私もそろそろ医療から卒業する時かなと思っています。

環境中に残留する医薬品

2019-11-28 10:41:17 | 
経済協力開発機構(OECD)は、大量の抗生物質、鎮痛薬、抗うつ剤から生じる残留物が、淡水生態系や地球の食物連鎖に重大な危険をもたらしているとする報告書を発表しました。

OECDは、世界各地で採取した水サンプルに含まれる医薬品残留物に関するデータと、世界各国の薬剤処方の傾向や水質規制を比較分析しています。

この記事では具体的な薬物や濃度は記載されていませんが、主に抗生物質について議論しています。医療と農業の両分野で、このまま抗生物質が無制限に使用されると、自然環境と人間の健康に悪影響が及ぶ事態は避けられないとしています。

人間や動物が薬剤を使用すると、有効成分の最大90%が自然環境に排出されます。また破棄される薬剤も多く、アメリカだけでも毎年40億に上る処方薬の3分の1が最終的に破棄されていると推定されています。

家畜に使われる抗生物質の使用量は、今後10年で67%以上増えることが予想されており、抗生物質耐性菌が懸念されるとOECDは指摘しています。

実際抗生物質は人の感染症治療に使われる量の何倍もが手術の時の感染症予防に使用されています。家畜類も予防として使われていますので、その量はかなり多くなっていそうな気がします。

報告書では、現代は新薬開発が絶え間なく行われているほか、臨床診療では早期治療と薬の大量投与が薦められていると指摘しています。医薬品残留物は世界中の地表水と地下水で検出されており、その発生については未だに不明な点が多く、濃度についてもほとんど分かっていないとしています。

薬剤耐性感染症による死者は、毎年70万人以上に上っています。世界人口の増加と高齢化、薬剤処方率の上昇に伴い、2050年までに同死者数は年間1000万人に達するのは確実だとされており、この数はガンによる死者数を上回るものです。

高齢化、医学の進歩、食肉と魚肉の生産拡大によって、世界中で医薬品の需要が高まっています。残留医薬品の危険を管理する適切な措置が講じられなければ、医薬品残留物の自然環境への放出は増え続けると報告書は述べています。

また気候変動によってマラリアやデング熱などの感染症が拡大し、発症数も増加していることから、状況は確実にさらに深刻化するようです。ここには医薬品の処方と気候関連疾患にはある種の悪循環が存在すると指摘しています。

人口増加や輸送など人間の活動と気候変動が結びつくと、抗菌剤耐性が高まりその結果さらに多くの医薬品が必要になると述べています。この問題は具体的な対処法もありませんので放置するしかないのですが、それほど深刻な問題にはならないような気がしています。

脳グリコーゲンと認知機能

2019-11-27 11:25:53 | 健康・医療
運動は毎日やるよりも1~2日おきにやる方が良いという説があるようです。

「超回復」といって運動により筋線維の一部が破断したり、筋肉のエネルギー源となるグリコーゲンが枯渇したりした後に24~48時間休養を取ると、前より筋力や持久力がつくためとされています。

この超回復が脳でも起こる可能性が、筑波大学の研究グループによって示唆されました。この研究の前提として、持久力を損なう原因である運動時の疲労とは、必要な力が発揮できなくなった状態と定義し、末梢性の筋肉の疲労と中枢性の脳の疲労によるようです。

中枢性の疲労とはマラソンランナーがコースを間違えたり、ゴール後に倒れこんだりする状態です。末梢性の疲労の主な原因は、筋のグリコーゲンの枯渇によるエネルギー源の不足とされています。

研究グループは、運動機能や認知機能が低下してしまう中枢性疲労も同様に、脳グリコーゲンの枯渇が要因ではないかという仮説を立てました。

動物の貯蔵糖質であるグリコーゲンは、運動時の筋肉の重要なエネルギー源となり、持久性に寄与することはよく知られています。脳のエネルギー源については、これまで血液由来のグルコースのみであると考えられてきました。

しかし最近研究では、脳にもグリコーゲンが貯蔵されていて、それが認知機能を支える重要なエネルギーとなることが分かってきました。

脳は神経細胞(ニューロン)とグリア細胞、血管という3つの細胞や組織から構成されています。グリア細胞の一種のアストロサイトに貯蔵されているグリコーゲン由来の乳酸が、運動時の脳の重要なエネルギー源として、持久性の維持に貢献することが明らかになりました。

運動時に筋肉で産生される乳酸が、脳の活動を担うニューロンのエネルギー源になることは知られていました。研究グループは、筋グリコーゲン由来の乳酸だけでなく、脳グリコーゲン由来の乳酸によって運動時の脳の活動が維持されることを明らかにしました。

ラットに疲労困憊運動をさせて脳を調べても、グリコーゲンはラットの死後すぐになくなってしまうので、なかなか測定できなったようです。そこで研究グループは、独自の長時間運動ラットモデルとマイクロ波照射装置によって、脳グリコーゲンを測定解析し仮説を実証しました。

また筋肉で超回復が起こるような条件で、やはり脳でも超回復が起きていることも発見しました。確かに骨格筋グリコーゲンが増えるような状況で、運動や認知をつかさどる大脳皮質と海馬でグリコーゲン濃度が増加しました。

この研究が通常の認知機能のアップにどうつながるかは分かりませんが、グリコーゲンを高める食事法などが有効なのかもしれません。

「新国民病」慢性腎臓病とは

2019-11-26 10:13:36 | 健康・医療
腎臓の働きが低下して起こる慢性腎臓病(CKD)は「新たな国民病」といわれ、約1300万人もの患者がいると見られます。

こういう推定はかなり多くなりますので、高血圧患者4000万人というのと近いのかもしれません。腎臓は血液中の老廃物を排出したり、身体のバランスを整える様々なホルモンを作ったりする器官です。

CKDが進行するとこれらの機能が損なわれて透析や腎移植を余儀なくされるほか、脳卒中や心筋梗塞の危険因子にもなります。

CKDは10年ほど前に日本に導入された比較的新しい病気の概念で、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症など、いくつかの病気の総称です。腎臓の血液ろ過機能が60%以下に低下した状態、またはタンパク尿などの異常が3か月以上続く状態を指します。

腎臓の中にある「糸球体」という球状に集まった毛細血管や、周囲の「間質」と呼ばれる組織が障害を起こすとろ過機能が低下します。すると老廃物の排出、水分やミネラルの調整、ホルモン精製などのバランスが崩れてしまい、老廃物がたまってくると全身に様々な不調を招き、尿毒症となります。

塩分や水分を排出できない、血圧を調整するホルモンがうまく働かないことから高血圧が悪化します。その他のホルモンやミネラルバランスが狂うことで、血管の石灰化(動脈硬化)が進み、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高まります。

一般的に発症リスクは正常な人の2~3倍とされ、CKDが高度になればなるほどリスクが上がっていくことが知られています。CKDの原因として、動脈硬化や加齢に加え、糖尿病や高血圧などの生活習慣病があるとされています。

腎臓は細かい血管の塊でできており、糖尿病や高血圧、動脈硬化により細かい血管が傷つき、それらの圧が上がることで徐々に腎臓の働きが低下してCKDを発症・悪化させてしまうのです。

ほかには遺伝や感染症、薬剤などが原因となる場合や、原因不明の突発性であることもあるようです。一般に腎臓の機能が15%を切ると、生命を維持するために透析や腎移植を検討します。

慢性腎不全による透析患者は今や約32万人に達し、毎年3万人もの人に透析が導入されており、そのうちの6割は糖尿病や高血圧が原因です。

こういったことから、CKDはもっと注意すべき病気だという認識が高まり、治療介入のタイミングを逸しないためにも、早期発見が非常に重要です。

ただ早期発見できたとしても、腎臓に作用する薬はほとんどありませんので、禁煙するとか減塩・減量といった生活習慣の見直しぐらいしかないというのも、何となく寂しい気がします。