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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

マキベリーには強力な抗酸化作用がある

2024-11-30 10:31:28 | 
最近はサプリメントにかなり人気があるようです。自宅の近くのドラッグストアは半分スーパーになっていますので、ちょっとした買い物によく行くのですがかなり広いスペースがサプリメントで占められています。

効能がありそうなものから聞いたことがないものまで並んでいますが、それなりの需要があるのでしょう。ただこういった健康食品の類を、素人が勝手に飲んでも良いのかというのはやや疑問です。

最近マキベリーというサプリメントが注目されているようです。私は全く知りませんでしたが、強い抗酸化作用がある果実由来の液体の飲物のようです。マキベリーは、南米チリのパタゴニア地域に自生するマキという植物の果実です。

その歴史は古く、現地の先住民族であるマプチェ族が何世紀にもわたり食用や薬草として利用してきました。マプチェ族はこのマキベリーを摂取することで、強靭な体力と健康を保ってきたとされており、彼らの「強靭な戦士」の象徴ともなってきたそうです。

現代においてもその健康効果が着目され、世界中で人気を集めています。特に抗酸化力が高い果実として広く評価されていて、アンチエイジングケアや健康維持に関心のある人々に人気を博しています。

マキベリーにはアントシアニンという抗酸化物質が豊富に含まれており、その中でもデルフィニジンと呼ばれる成分は特に強力な抗酸化作用を持つとされています。私はアントシアニン系の化合物は大体把握しているつもりでしたが、この物質は初めてでやはり奥が深いものです。

酸化ストレスは老化や様々な病気の原因にもつながることが分っていますが、実際にマキベリー抽出物の摂取が酸化的損傷の指標を低減させることが確認されています。

ルテインやゼアキサンチンといったカロテノイドが含まれていることから、視力の維持や眼病の予防に効果的といえるようです。

さらにマキベリーに含まれる抗酸化物質が体内の炎症性マーカーを減少させ、免疫システムの改善につながることが示されている等、炎症を抑える効果があることも知られています。

その他にもチリの研究者によると、マキベリーの抽出物を摂取した人々で、食後の血糖値が正常化することが報告されており、健康的な血糖コントロールの一環にも利用できる可能性があります。

マキベリーの摂取タイミングに関する具体的なエビデンスは限られていますが、朝の摂取はアントシアニンなどの抗酸化成分が、日中の酸化ストレスへの防御に役立つため効果的だとする研究があります。

このようなマキベリーが一般的なのか、今度ドラッグストアで確認してみます。

認知症に本当に必要なクスリはごくシンプル

2024-11-20 10:34:28 | 
認知症の治療薬は2種類が承認されていますが、いずれも抗体薬という分類になっています。そのため非常に高価であり、日本の医療制度でもかなりの負担になりそうです。

しかも治療といっても改善するわけではなく、進行を止める効果しかないと言われています。従って認知症を発症してすぐやその可能性があるという患者しか効果がないようです。こういった治療薬について、実はもっと簡単な方法で効果があるという記事を紹介します。

認知症はその症状がや原因が一通りでなく、複雑な病気と感じられるため、治療も複雑なものというイメージがあるかもしれません。メディアには認知症に効くとうたう食品やサプリメントの宣伝が多数みられるため、何が本当に必要なのか分からなくなりそうです。

しかし実際のところ、認知症は検査だけでなく、使うクスリもシンプルです。医学的には、認知症患者はその他の病気も同時に抱えていることが多いようです。

そのため高血圧や糖尿病、肺の病気などの他の健康問題を、その時の体調や状態に合わせて治療していくことが認知症の治療と同じかそれ以上に大切です。ただでさえ影響を受けている認知機能は、他の病気がうまく治療できていないとさらに働きが鈍くなってしまいます。

また認知症は進行性の病気であり、時間とともに症状が変化していきます。このため定期的に再評価を行い、その時の症状に合ったケアやサポートを提供する必要があります。転倒防止のための自宅の環境調整、日常生活のサポートなど、多岐にわたるケアが求められます。

認知症の症状を和らげる薬として、「コリンエステラーゼ阻害剤」と「メマンチン」という2種類の薬があります。両方とも飲み薬で、基本的にはこの2種類で十分です。これらの薬は、アルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症にも効果があることが知られています。

ある研究では、これらの薬を使用した重度の認知症患者で、症状の重さが軽減し、日常生活の活動が向上したと報告されています。さらに死亡率の低下との関連も見られたと報告されています。

また最近の長期的な研究では、実生活のなかでこれらの薬がどのように効果を発揮するかも調査されています。スウェーデンの研究では、アルツハイマー型認知症と診断された約1万人を対象に、5年間の追跡調査が行われました。

その結果コリンエステラーゼ阻害剤を使用した人は、認知機能検査の結果が一貫して良かったことが報告されています。

ただしこれらの研究は、観察研究と呼ばれるものであり、認知機能に影響を与えうる既知の因子については調整がされているものの、見えないバイアスの影響を受けている可能性があることには注意が必要です。

こういった薬に効果があることは初めて知りましたが、それなりのエビデンスがあるのかもしれません。


危険すぎる高齢者のクスリ漬け

2024-11-12 10:34:16 | 
高齢者の多剤服用問題は、このブログでも以前取り上げましたが、改善するどころかひどくなっているようです。

私は肺気腫用の吸入薬と寝る前に抗神経薬を飲んでいますが、特に副作用風な問題は出ていません。歳をとるにつれて薬が増えるのは、病気の数が増えることがひとつの原因です。

ある男性は50代ぐらいから腰痛があり、整形外科に通って痛み止めの薬を飲んできました。60代になると検診で血圧が高い、コレステロールが高い、といわれ内科で処方された血圧を下げるクスリとコレステロールを下げるクスリを飲み始めました。

その後頻尿や尿意切迫といった症状が起こるようになり、過活動膀胱の治療を泌尿器科で受けています。薬の数を数えてみると、高血圧の薬が2種類、脂質異常症の薬が1種類、過活動膀胱の薬が3種類、腰痛の薬が1種類で合計7種類となります。

患者の中には薬さえ飲んでいれば安心と考える人がいて、数日休んでいれば治るような軽い風邪でも医者にかかり、薬を欲しがる人がいるのも確かです。75歳以上で薬を使っている人の4人に1人は、ひとつの薬局で7種類以上の薬を受け取っているという調査があるほどです。

高齢者の薬が増えてしまう背景には、臓器別診療の弊害があります。医者の多くは自分の専門分野の診療にはたけていますが、専門外の診療については素人なため、医師向けのマニュアルを参考にしながら薬を処方することになります。

高齢者に薬を処方するときには、様々なことを考慮する必要がありますがマニュアル本にはそういったことは考慮されておらず、高齢者も若い人と同じ処方となってしまうのです。

最悪なのは服用している薬の副作用を別の病気と誤認し、その治療のために新たなクスリを処方されてしまうことです。これは処方カスケードといわれ、「カスケード(連続する滝)」のように次々と薬が投与される状態です。

副作用がさらに薬の数を増やし、それがさらに重大な副作用を産むという悪循環の行きつく先は薬漬け地獄といえるのかもしれません。医療費が年々増えていた1990年代、長期の入院患者向けのいわゆる老人病院に定額医療制度が導入されました。

それまでは薬を出すほど病院は儲かっていたのですが、薬を出すほど損するシステムに変わったのです。その結果薬が3分の1に減らされたら、寝ていた人がテレビや読書を楽しむようになり、寝たきりだった人がベッドから出て歩き回るようになったという話しがあります。

これは笑い話では済まされない恐ろしい出来事ではないでしょうか。私もかなり薬好きですので、多剤服用にならないよう注意する必要がありそうです。

心不全に対するACE阻害薬の延命効果

2024-11-09 10:34:28 | 
私は薬の開発をずっとやってきましたが、薬とは何かというのはかなり難しい問題です。ある病気になった時、それを治すのが薬ですが、完全治癒させるというのは結構難しいことです。

薬を飲むことによって何か月か延命できれば、有効なクスリといえるのでしょうか。私はしっかり治すことができるのが薬であるとしてきましたが、病態というのはかなり複雑なもので、対症療法用のクスリにならざるを得ない場合もありました。

さて高血圧の治療薬にACE阻害剤というクスリがあります。ACEとはアンジオテンシン変換酵素と呼ばれる酵素で、血圧を上昇させるアンジオテンシンⅡを産生し、血圧を上昇させるものです。

ACE阻害薬は、この働きを抑えることでアンジオテンシンⅡの産生を抑制し、血圧の上昇を抑える効果が期待できます。アンジオテンシンⅡはまた、体内の水分排泄を抑えたり、血管を収縮させたりすることで心臓のポンプ機能に負担をかけることが知られています。

心臓のポンプ機能が低下した状態を心不全と呼びますが、ACE阻害剤は心不全の治療薬としても用いられてきました。

心筋梗塞など心臓病の発症リスクが高い9297人を対象とした臨床試験では、ACE阻害剤であるラミプリルを投与することで、プラセボ投与と比べて心筋梗塞、脳卒中および心臓病による死亡が22%、統計学的にも有意に低下しました。

また心不全を有する2569人を対象とした臨床試験では、ACE阻害剤であるエナラプリルを投与することで、プラセボ投与と比較して死亡リスクが16%低下しました。

さらに臨床試験3研究を統合解析した研究論文によれば、心不全患者に対してACE阻害薬を投与すると、プラせボを投与した場合と比べて平均で41日間の延命効果が得られました。このデータは3年間の調査機関に基づく解析結果であり、実際の寿命を踏まえるとより長い延命効果が得られるものと考えられるようです。

もし仮に調査期間と延命効果が比例するのであれば、調査期間を延ばせばもっと延命効果が得られるのかもしれません。死亡リスクに与える要因は多岐にわたるため、実際の延命日数の見積もりには大きな不確実性が伴います。

ACE阻害剤を服用しても大きな延命効果が得られない人もいる一方で、平均的な効果よりも長い延命が得られる人もいるでしょう。心不全患者や高血圧患者におけるACE阻害薬の有効性は決して小さいものではありません。

近年では心不全に効果が期待できるとされるクスリが数多く登場しています。そのような中でもACE阻害薬はβ遮断剤と同様に、心不全治療に対する標準的な治療薬としての役割を担っています。

しかし前述のように、1カ月半ほどの延命効果のクスリが本当に治療薬といえるのかどうかかなり疑問な感じもしています。

ミトコンドリアが活性化する注目成分デアザフラビン

2024-11-02 10:33:27 | 
ここでは5-デアザフラビンという化合物を紹介しますが、この名前はなかなか面白い言い方といえます。

「デアザ」というのは窒素がないという意味ですが、有機化学的には窒素がなくなればフラビンではなくなってしまいます。たぶんここではこの化合物とビタミンB類との類似性を示すためフラビンという言葉を残しているようです。

この辺りは生体内化合物の面白いところかもしれません。老化のメカニズムについて、分子生物学レベルでの老化には11の特徴があると言われています。

5-デアザフラビンは、この老化原因のひとつであるミトコンドリアの機能不全を解決してくれる可能性がある物質と説明されています。生体におけるエネルギー産生にはミトコンドリアが関係するとされています。

ミトコンドリアは糖・脂質・タンパク質をATPというエネルギー通貨に変える力を持っていて、ATPはすべての細胞内に含まれる物質であらゆる生命活動のエネルギー源です。老化を抑えてくれるNADの前駆物質であるNMNの加齢による減少が老化原因のひとつであるようです。

マウスに1年間NMNを投与したところ多くの臓器の機能低下が抑えられることが分っていて、これはNADによってミトコンドリア及び長寿遺伝子と呼ばれるサーチュインが活性化された結果としています。

フラビンとはビタミンB2のことですが、これに5位のアザ基を取り除いたものが5-デアザフラビンです。構造式はビタミンB2骨格でありながら、実際の機能はビタミンB3骨格のNADと同じと考えるのが妥当で、5-デアザフラビンとNMNは基本構造は違うのに機能は同じ方向性を向いています。

数百種類のシミュレーションを経て実際に10種類のサンプルを作製し、総合的に最も優れたものが5-デアザフラビンでした。

これをヒトでの長期(120日)摂取評価試験で血管年齢や末梢血流、最高血圧、視力など肌の状態の体感を数値化して計測したところ、肌色やハリ、乾燥、肌荒れなどが改善しました。また症例として尋常性乾癬や肌のくすみ、乾燥性皮膚炎が改善されました。

これらのことから専門家は、医学の進歩によって、人類が長い間夢見てきた不老は夢ではない時代となりました。おそらく2050年くらいまでには、ある程度老化の治療が完成してくるのではないかと化学者の間ではいわれています。

老化治療へのアプローチはさまざまですが、その中でも新型ビタミンB2誘導体である5-デアザフラビンは、NMNの上位互換というべき画期的な物質だと考えているとしています。

現在サプリメントとしてNMNがかなり売れているという話しもありますが、薬によって老化を抑えるというのは、若干気持ち悪いような気もしています。