ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

人が「老衰で亡くなる」ときは何が起きているのか

2022-05-31 10:37:06 | 健康・医療
私は若いころ(働いている頃)から70歳まで生きればよいという考えを持っており、現在75歳ですのでおまけの時間が5年も続いていることになります。

特に老衰で死にたいと思っているわけではありませんが、色々な治療をしないつもりですので結果的に老衰という診断になるのかもしれません。

この老衰についてアメリカの専門家が老衰について持論を述べている記事がありました。4人の医師のうち3名が老衰という死に方はなく、必ず基礎疾患などの原因があるという見解でした。

これはアメリカ疾病管理予防センターが、「老衰で死ぬ」や「自然死」などの表現を使わないことを推奨しているということがあるのかもしれません。日本は「老衰」が死亡原因の上位に来るようになってきましたので、また見方が違っているのかもしれません。

このうちの一人の医師は、「老衰」で死ぬ人はひとりもおらず、必ず先行している病、または新しい病が他にあってそれが死因となると主張しています。

従って死亡診断書に老衰と書かれることはまずなく、死因は別にあって何かの感染症、心臓発作やガンなどの基礎疾患による心不全のほうが可能性が高いようです。病気や病気が引き起こした諸症状が体の営みを妨げるため死に至ります。

ただし同じ病気でも高齢者には異なる症状をもたらすことがあり、歳を重ねるごとに身体は摩耗し損傷していきます。つまり高齢になると初期症状がみられず、基礎疾患に由来する症状が優先することがあるのです。

結局症状から疾患を特定できないため、老衰や自然死という結果に落ち着いてしまうとしています。こういった考え方が多くの医師たちに支持されているのかもしれませんが、私は老衰を原因とすべきケースはあるような気がします。

私の母は89歳で亡くなりましたが(入院していました)、明らかに老衰といえそうでした。末期には原因不明の発熱が出たり、腎臓の値が驚くほど悪くなったりしていました。またしばらくたつと肝臓の数値が異常に高くなったりと、色々な臓器が機能不全に陥りました。

このように多くの臓器の機能が衰えて死に至るのが老衰と思われます。母はこのような状態になってから1週間ほどで静かに亡くなりましたが、入院していたのが呼吸器科でしたので、医師は死因を肺炎にしたいというので許可しましたがこの医師も老衰にしたくなかったようです。

肺のCTには小さな影がありましたので、何の症状もありませんでしたが、肺炎も出ていたのかもしれません。母のように高齢になれば、どこの病気か特定できないような病気になり、亡くなることが老衰のような気がします。

結局老衰かどうかは看取った家族などが決めることで、死亡診断書の記載とは関係ないことと捉えるべきなのかもしれません。

悪者とされる「内臓脂肪」の重要な役割

2022-05-30 10:31:24 | 健康・医療
日本人は内臓脂肪がつきやすい体質とされていますが、私は測ったことがありませんがそれほどなさそうな気がします。

ただし65歳を過ぎたころから、やや下腹がぷっくりしてきたのですがあまり気にしていません。脂肪には大きく分けて内臓脂肪と皮下脂肪があり、内臓脂肪はその名の通り肝臓、膵臓、腎臓などの内臓の周囲に溜まります。

脂肪は単なる脂(あぶら)の固まりではなく、アディポサイトカインと呼ばれるさまざまな物質からなっています。

アディポサイトカインはこれまでに100種類以上確認されており、高血圧や糖尿病、脂質異常症をはじめとする生活習慣病や乳ガン、大腸ガンなどの発生を促すものがあるとされています。

40代の日本人男性と欧州系米国人男性約420人を対象にCTスキャンを実施して内臓脂肪と皮下脂肪の面積を比較した研究があります。

その結果日本人は欧州系米国人より平均で約10センチ腹囲が小さかったのですが、同じ腹囲の人を比較すると日本人男性の方が内臓脂肪が多く、皮下脂肪を1としたときの内臓脂肪の面積は日本人が1.02で欧州系米国人が0.75でした。

実際に同じ体系どうしで比較すると、東アジア人は他の国と比較して高血圧と糖尿病になりやすいことを示す報告が多数あります。こういった内臓脂肪がつきやすいという不利な体質がなぜ受け継がれているかの答えは、内臓脂肪には本来重要な役割があるためのようです。

ヒトは動物と違い体を立てて生活するため、そのままだと臓器が重力で下がってしまいます。内臓脂肪がある程度ついていれば臓器を程よく固定でき、身体に受けた衝撃から臓器を守るのに役立ちます。

この内臓脂肪が東アジア人に付きやすい原因は、筋力の強さとの関係で説明されています。筋肉は白筋と赤筋という性質の異なる二つの成分が混じってできています。白筋が瞬間的に大きな力を発揮して瞬発力を生むのに対して、赤筋はゆっくり長い時間にわたって働くことで持久力をもたらします。

赤筋と白筋の比率はACTNという遺伝子のタイプで決まり、人種による差が大きく、アフリカ系、欧州系、アジア系の順で白筋の割合が高いとされています。内臓を支えるのに役立つ筋肉は腹直筋があり、その両側に位置しているのが内臓を支える腹横筋と腹斜筋となっています。

どちらも主に白筋でできているため、白筋の力が弱い日本人は筋力が弱く内臓を支えることができません。これを補うには内臓脂肪がある程度ついている方が良いといえます。

こういった理由で日本人は人種的に内臓脂肪が多くなる体質となっているようです。当然程度によりますが、内臓脂肪がある程度ついていることは、自然の成り行きといってよいのかもしれません。

生命科学の進展で効果的なダイエットは実現できるか

2022-05-29 10:26:10 | 健康・医療
最近オートファジーという言葉をよく目にしますが、私も興味を持っておりオートファジーに関する話題をこのブログでもいくつか紹介しています。

この中に「オートファジーダイエット」という方法が出ていました。私の周りは息子家族たちも含めて全員細身ですので、多分遺伝的に太らない体質のようで、あまりダイエットには関心がありませんでした。

オートファジーダイエットとは、16時間空腹にすることで細胞のオートファジーの機能を使うという、ダイエットとアンチエイジングが両立できるという方法のようです。

オートファジーは細胞が自分の一部を分解する作用(自食作用)のことで、飢餓状態になると生き延びるために活発になることが知られています。

ただし生命科学の専門家によると、確かに飢餓状態になるとオートファジーの機能が働くというデータは出ていますが、人間や身体の細胞の仕組みは複雑です。

オートファジーが働くメカニズムもさまざまな要因が絡み合っていて、16時間の空腹がダイエットになるとかアンチエイジングになるといったことは科学的にはいえないようです。

いろいろやってみてもなかなか体重が減らない原因は、生物の体には身体の状態を常に一定に保とうとする仕組みがあります。これをホメオスタシス(恒常性維持)といい、体温や血圧が一定の値を示すのもこれによるもので、私も興味を持っている機構です。

この考えに基づけば、成人の体重も簡単に増えたり減ったりしないはずです。体重はエネルギー摂取と消費の収支バランスの指標といえます。生きるためにはエネルギーが必要であり、食べることによってエネルギーを得ています。

これからいえることはエネルギー消費が摂取より大きければ体重が減り、摂取が消費より多ければ体重が増えることになります。しかし生体は一番良い収支バランスを覚えているので、収支バランスを維持するようにエネルギー調節機構が働き、簡単には体重が減らないことになります。

この機構が働く理由は、生体は体重の減少をエネルギーの摂取が足りない状態、つまり飢餓状態の恐れがあると生体はみなすからです。人類を含めて生物は絶えず飢餓の危険にさらされて進化してきました。

現在も進化の過程にあり、余分なエネルギーを脂肪として蓄える仕組みは続いているのです。従って生命科学が進歩してきても、ヒトの生存に関わるダイエットの方法は玉石混交といえます。

肥満の原因の60%が遺伝的体質であるとされていますので、ほとんどの場合は肥満であることは健康であるといえるのです。

痩せている私がいっても説得力はないのですが、たとえ科学的なダイエット法であったとしても、体重減少は健康には悪いような気がします。

沈黙の臓器である「腎臓」と老化加速物質「リン」

2022-05-28 10:32:12 | 健康・医療
最近では健康に良いとされる物質やサプリメントなどが大いに宣伝されていますし、健康に悪影響を及ぼす物質なども取り上げられています。

私は通常の食事をしていれば、不足したり過剰になったりすることはないというのが持論です。新しい説として「リン」が老化加速物質であるという記事を見かけました。

この著者は「体内の環境を常に一定に保つ力」が健康に大切としていますが、私もこの恒常性維持機構が重要と考えています。体内への出し入れを精密にコントロールしている臓器が「腎臓」であり、不要なものを排泄する腎臓の力が衰えてしまうと、健康が損なわれ老化が加速します。

ここで過剰に摂ると良くないものとしては、塩分や糖分、脂肪分などが挙げられますが、もう一つ重要なものが「リン」としています。リンは生命に必要な6大元素(酸素、窒素、炭素、水素、硫黄、リン)のひとつで、カルシウムと共に骨を形成している成分です。

またDNAや細胞膜の主成分でもあり、ヒトが身体を維持していくうえで絶対欠かせない重要な物質といえます。リンは無味無臭のため加工食品やファストフード、スナック菓子などを多く食べていると気づかずに大量に摂取してしまいがちになるようです。

リンを摂りすぎると次第に腎臓の機能が低下して、血管や細胞がダメージを受けるようになります。この辺りのメカニズムには「クロトー遺伝子」が関わっており、これは体内の余分なリンを腎臓から尿中に排泄するのに必要な遺伝子です。

この遺伝子がないまたは働きが弱いマウスは、老化が加速しますがリンの少ないエサで飼育したところ一連の老化症状は治まりました。

腎臓は尿を作るだけの臓器ではなく、血液をろ過しながら必要なものを再吸収し、不要なものは尿中に排出して体内環境を一定に保つ働きをしています。つまり腎臓は血液をきれいにする「ろ過装置」といえます。

腎機能の詳細は省略しますが、ヒトにも身体にリンが溜まってしまう病気があり、それが「慢性腎臓病(CKD)」です。慢性腎臓病で血中のリン濃度が高い場合、リン酸カルシウムはタンパク質と結合したコロイド粒子のかたち(CPP)となって血中を移動するようになります。

このCPPが身体に数々の健康被害をもたらすとしています。例えばCPPは細胞にとって異物であり、排除しようと免疫システムが作動し、炎症反応が起こり「非感染性慢性炎症」の原因となります。

その他腎臓のネフロンの破壊などが挙げられていますが、このようにリンが老化加速物質であるというのは初めて聞いた理論です。

この仮説は納得性があるように感じますが、身体に必要な物質は厳密にコントロールされているというメカニズムには反しているような気がします。

今後この「リン悪者説」がどう発展するかわかりませんが、一つの仮説で終わりそうな気もします。

効果の低い対策が足を引っ張ると人は誤解する

2022-05-27 10:26:20 | 時事
新型コロナの感染者数は減少傾向にあるものの、第5波までの急激な減少パターンにはなっていません。

これについては説明なども出ていませんが、オミクロン株の特徴なのかもしれません。これから暑さに向かってマスクの着用について、政府からいろいろ緩和が出ていますが、感染者がほとんどいなくならない限りこれだけ定着したマスクはなくならないような気がします。

この皆がマスクをしているから自分もしようというのは、日本人の特徴的な感覚ではないでしょうか。たぶんマスクに対して嫌悪感も少ないのかもしれません。

私もマスクにこだわっていますが、この効果がはっきり出たのがインフルエンザで、今シーズンも全く流行がありませんでした。

さてこのコロナ対策をめぐり、複数の対策を組み合わせて実施すると、人は「効果の低い対策が効果の高い対策の足を引っ張る」と誤解しがちだという研究結果を同志社大学の研究チームが発表しました。

研究チームは日本人の成人100人を対象に、以下の8つの新型コロナ対策について感染防止にどれぐらい効果があると思うかを0〜100%の範囲で回答してもらいました。

また8つの対策すべてを実施した場合に、感染防止にどれくらい効果があると思うのかも0〜100%の範囲で回答してもらいました。

この8つの対策は、・外出時にマスクの着用、・こまめに手洗い、・手をアルコール消毒、・こまめにうがい、・密集場所を回避、・会話時に2m程度の距離、・こまめに換気、・ドアノブをアルコール消毒、というよく言われていることです。

その結果それぞれの回答者が最も効果があると評価した対策の得点(第1対策得点)の平均値と、8つ全てを実施した際の評価の得点(全体実施得点)の平均値を比較すると、全体実施得点が第1対策得点を下回ったということです。

また全体実施得点は、2番目に効果があると評価した対策の得点の平均値も下回りました。この結果について研究チームは「複数の対策を組み合わせると、相対的に効果の低い対策が効果の高い対策の足を引っ張る」と誤解しがちだと判断しています。

私はこの研究チームの判断は間違っていると思います。これは普通の「総論賛成、各論反対」(逆もありますが)と同じ一般的な思考だと思います。例えば私はマスク派ですので、マスクの着用は70%ぐらいと答えたとして、全体については十分ではないと考え60%と答えるでしょう。

これは私が効果が無いと思ううがいが足を引っ張ているからではありません。まあ私がここで批判しても何の意味もないのですが、往々にして専門家の意見というのは奇妙な結論を出すことが多いような気がします。

つまりひとつの研究結果をそのまま信じることは危険といえるのかもしれません。