ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

体温の変化でわかる病気のサイン

2018-06-30 10:45:33 | 健康・医療
体温は健康のバロメーターといえるようです。

普段の平熱から上下するようなことがあったり、長期的に見て平熱が変化していたりする場合には、体の中で何かの異変が起きているサインだと考えた方が良いと言えます。

重大な病気としては白血病があるようです。白血病の症状としては、微熱、体重減少、寝汗というのが基本のようで、原因不明の微熱が何日も続いている場合は、疑ってみた方が良いようです。

その他のガンでも、「腫瘍熱」といって微熱が続くことがあります。特に腎細胞ガン、転移性の肝ガン、リンパ腫などでは腫瘍熱が出やすい傾向があるようです。

ただ平熱というのはなかなかわかりにくいもののような気がします。私も風邪をひいたかなどと思ったときは熱を測りますが、大体37℃代から場合によっては38℃というときもあります。こういったときは病院に行ったり薬を飲んだりしますが、良くなったかどうか頻繁に熱を測り、36℃ぐらいになると良くなったと判断します。

しかしこれは治りかけの時で、平熱はもっと低く35℃代のような気がしていますが、何でもない時には測りませんのでよく分からないというべきでしょう。何か若干不調の時だけに測るものかもしれません。

ガンと並んで、日本人の死因の上位を占めるのが脳血管疾患と心疾患です。両方とも血管や血流の問題に起因する病気ですが、実際は血流と体温には密接な関係があります。代謝がいいと体温は高くなりやすいものですが、代謝が良いというのは血流も良いということで、血行が良くないと体温は低くなりがちです。

高血圧は血流を悪くし、低体温を引き起こす可能性があります。体温が下がっている場合には、血液の循環に問題があったり、毛細血管のレベルで血液がスムーズに流れていなかったりする可能性が高いようです。

このように長期的に体温が下がっているときには、動脈硬化が進行している恐れがあります。血行が悪く体温が低い状態だと、体は熱の発散を防ぐために末梢血管を収縮させます。するとさらに血液が体に行きわたりにくくなり、体温が低い状態が解消されなという負のスパイラルに陥ってしまうようです。

体温に異変が起きている際には、その調節を司る器官が異常を起こしているケースもあります。特に突然体温が高くなったり低くなったりする場合には、甲状腺異常を疑った方が良いとされています。

甲状腺は喉にある鳥が翼を広げたような形の器官で、ホルモンを分泌することで体温調節を行っています。甲状腺の異常としては、橋下病やバセドウ病などが代表的です。その他体温を調節している器官には副腎皮質があり、これが異常を起こすと低体温になります。

体温は高くなる時だけ注意していますが、変調を感じたら体温を測る必要があるのかもしれません。


「セミ」共生菌で栄養補給

2018-06-29 10:48:11 | 自然
日本に生育するアブラゼミなどに、漢方薬の原料となるキノコの一種「冬虫夏草」に近い菌類が共生し、栄養を補っているという研究成果を、産業技術総合研究所などの研究チームが発表しました。

「冬虫夏草」そのものに寄生されたセミは死んでしまいますが、セミに進化の過程で、一部が共生するように進化したと考えられます。

この冬虫夏草というのは、かなり昔の話ですが、不老不死の妙薬としてこれをめぐる争いの漫画を読んだことがあり、興味を持っていたことを思い出します。結論としては昆虫やその幼虫に寄生するキノコで、漢方薬や薬膳料理にも使われ、特に不老不死という程のものではないようです。

現在では健康食品(サプリメント)としても売られている、ありふれたものになってしまいましたが、当時は非常に珍しい高価なものになっていたようです。

研究チームが国内に生息するセミ24種を調べたところ、アブラゼミやミンミンゼミ、ヒグラシなど15種の体内に共生する菌類を検出しました。この共生菌の遺伝子配列を調べたところ「冬虫夏草」に近いことが分かりました。

キノコの類は担子菌と分類され菌類(カビ)の仲間の一種です。ツクツクホウシから取り出した共生菌は培養にも成功し、必須アミノ酸やビタミン類を合成する能力を確認できました。一方ニイニイゼミなど9種からはこういった共生菌は検出されませんでした。

アメリカのセミを対象とした研究結果では、セミには体内に微生物を保有する器官があり、必須アミノ酸やビタミン類を合成する2種の細菌が共生し、地中にいる幼虫期に必要な栄養素を補っているとみられています。

今回の研究で、寄生関係から共生関係への進化が繰り返し起こったことが実証され、寄生微生物と共生微生物の間の予期できない深い関係が明らかとなりました。つまり冬虫夏草はセミの幼虫や蛹に一方的に寄生し、寄生されたセミは死んでしまうわけですが、この菌類が進化することによって、セミとの共生関係が出来上がったようです。

セミの成虫は樹木から、セミの幼虫は根から植物の導管液を吸って生きていますが、導管液にはわずかなアミノ酸や糖を含む程度で栄養的には極めて乏しいものです。またセミの細胞内の共生菌はゲノムが著しく縮小し、セミの体外では生存できません。

こういった菌類はいくつかの必須アミノ酸とビタミンの合成に特化しており、こういった共生菌の助けによりセミは導管液という栄養的に貧弱な食物でも生存できているようです。

冬虫夏草からはいくつかの生理活性物質が見つかっており、こういった共生菌も面白い化合物の探索源となるかもしれません。


「記憶の移植」に成功か

2018-06-28 10:42:40 | 健康・医療
色々な記憶を他に移植するということは、長らく典型的なSFのテーマでしたが、最近の研究によって現実味を帯びてきたようです。

アメリカのカルフォルニア大学の研究グループはこのほど、海にすむ軟体動物のアメフラシの個体から別の個体に、遺伝子のRNA(リボ核酸)を使い記憶を移植することに成功したと発表しました。

研究グループは、まずアメフラシに刺激に対する防御反応を起こす訓練を行いました。その個体から取り出したRNAを訓練を受けていない別の個体に移植すると、刺激に対して訓練された個体と同様の反応を示したようです。

この研究結果は、記憶を形作る物理的な仕組みについて新たな知識を提供する可能性があるとされています。高分子のRNAは、タンパク質生成や遺伝子情報を形質に反映させるという、より一般的な働きを含み、生物上の仕組みに関わっています。

研究グループは、アメフラシの尻尾に軽い電気ショックを与え、防御反応で体を縮ませるよう訓練しました。訓練されたアメフラシは、体に触られると約50秒にわたって収縮したが、訓練されていない個体が体を縮ませたのはわずか10秒程度でした。訓練された個体は、電気ショックに敏感な状態になっているのが分かります。

この訓練されたアメフラシの神経からRNAを取り出し、訓練を受けていないアメフラシに移植すると、その個体も体を触られると約40秒にわたって収縮するようになりました。感覚神経を使ったシャーレ上の実験でも、同様な結果が出ました。

この結果について研究グループは、「記憶を移植したかのようだった」と述べています。長期記憶はこれまで、脳内の神経細胞同士の接合部にあるシナプスに蓄えられていると考えられており、一つの神経細胞には数千のシナプスが存在するようです。

しかし研究グループは、もし記憶がシナプスに貯蔵されているだけならば、この実験が成功するはずはないと語り、記憶という分野に新たな展開を示しています。記憶は神経細胞の核に蓄えられている可能性を示したものと言えそうです。

今回の研究は、RNAが記憶にどう関与するかについて、従来の研究内容を補強する可能性があるとしています。研究対象となったRNAの種類は、生物の成長や病気に関係する細胞の様々な機能の制御に関わっていると考えられています。

アメフラシの神経細胞の数は約2万なのに対し、人間には約1000億あるとさていますが、研究チームはアメフラシの神経細胞や分子の動きには人間に近いと指摘しています。

こういった記憶の蓄積方法について理解が進めば、より多彩な形で記憶の様々な側面を調べられるようになるという期待が持てるようです。

抗ウイルス薬の進歩

2018-06-27 10:45:54 | 
エイズや肝炎のほか、今話題のはしかや重篤な病気を引き起こすウイルスに対する薬は近年大きく進歩しているようです。

このウイルスと戦う薬が世に出たのは、1980年代になってからで、帯状疱疹などを引き起こすヘルペスウイルスに効く「アシクロビル」でした。

ウイルスは感染した細胞の機能を利用して増殖しますので、細胞に害を与えずにウイルスだけを倒すのは難しい戦略が必要です。ですからウイルス対策は治療薬ではなく、抗体を前もって作っておくというワクチンが主流となっていました。

実は私も昔(40代半ば)抗ウイルス薬の開発をやろうと試みたことがありました。研究所の同僚で評価を担当しているグループとも相談し、ある戦略で進めようというところまで行ったのです。ところが大きな壁がありました。

ウイルスは危険な微生物ですので、それを扱うためには外と完全遮断できる、当時の規制で言うとP-3という設備が必要でした。こういった実験室に改造するためには、かなりの大がかりの改築が必要で、すでにある研究所内の改築では難しいということになってしまいました。

研究所幹部だけでなく、本社などにも働きかけたのですが、この設備投資の額があまりにも大きくなってしまうということで実現できませんでした。この時の我々の戦略は、現在発売されている抗ウイルス薬と非常に近く、もしやっていればと残念な記憶です。

さてアシクロビルが効く仕組みは、ウイルスが感染した細胞に入り、ウイルスの遺伝子(DNAやRNA)を作るのを妨げるというものです。ウイルスはヒトの細胞にある遺伝子の部品をつなぎ合わせて、自分自身の遺伝子を作り出しますが、この薬を間違えてつなぐとそれ以上遺伝子ができなくなるという仕組みです。

これは当然人間本来の遺伝子合成も妨げてしまいますので、重症の貧血などの副作用が出てしまいます。こういった点の改良が進み、現在ではほとんど副作用が無くなっているようです。

またエイズウイルス研究では、新たな戦略が用いられました。ウイルスは自身の遺伝子を基にタンパク質を作り出しますが、この酵素の働きを妨げるという薬も開発されました。これが2013年に発売されたものですが、体内での分解を抑えるなど様々な工夫により、耐性ウイルスが生じにくい薬となっています。

その他、長いウイルスタンパク質を良い大きさに切断する、プロテアーゼという酵素を阻害する薬などが開発されています。

細菌の病原菌に対しては、抗生物質によって完全に治療できるようになっていますが、次の難敵であるウイルスも薬での治療が可能となる時代に入ってきているようです。

ウインブルドン前哨戦若干の波乱

2018-06-26 10:31:18 | テニス
ウインブルドンテニス(グランドスラム、芝)の前哨戦として先週いくつかの芝のコートでの大会が開催されています。

前回ドイツのハレで開催されているゲーリーウエバーオープン(ATP-500)の2回戦で錦織は負けてしまったものの、杉田が好調ティエムを破ったところまで書きました。杉田の準々決勝の相手は、予選勝ち上がりでランクも100位以下の選手でしたので、問題なく勝てるだろうと思っていました。

ただこういった選手は好不調の波が激しく、悪い時にはほとんどがミスになるのに好調だと無理なショットでも入るいう怖さがあります。このアメリカのクドラという選手もまさにそれで、1セットはいわゆるスーパーショットの連発で、杉田もよく拾ったのですが2-6でクドラが取りました。

2セットに入りさすがのクドラのショットもミスが出てきたのですが、それでやっと杉田と対等の試合となりました。このセットの途中でクドラはメディカルタイムアウトを取り、右脚付け根あたりを治療しました。ところがこれでクドラの動きが良くなり最後に押し切られ5-7で負けてしまいました。

準決勝での杉田-フェデラー戦を楽しみにしていたのですが、ここで敗退となりました。杉田はすぐ移動してトルコの大会に臨みますが、ここは杉田が昨年優勝していますので、出ざるを得ないようです。

さてこの大会の決勝は芝の王者フェデラーと21歳新鋭のコリッチの戦いとなりました。フェデラーはここまでかなり難しい戦いを制して決勝までコマを進めています。

うまさの光るフェデラーは常に安定した試合展開でしたが、今大会はタイブレークにもつれ込んだり、フルセットになったりと絶好調とは言えない状態でした。それでもそういった接戦を制して決勝まで勝ち上がるのはたいしたものです。

一方コリッチは躍進する若手の一人として期待されていたのですが、このところ負けが続き30位程度まで落ちていました。ですからコリッチの試合を見るのはこの決勝戦が初めてでした。

始まってみるとコリッチはサーブもよく、非常に深いショットでフェデラーもてこずっていました。1セットは互いに譲らず6-6のタイブレークとなりましたが、これをコリッチが取ったのです。

芝の戦いでは、コートの端は芝が傷み土地が露出したりでこぼこになりますので、イレギュラーも多くなります。2セットはフェデラーがこういったことを利用したわけではないでしょうが、深いショットを連続し6-3でとりファイナルセットとなりました。

ここでフェデラーが疲れたのかやや動きが悪くなり、ミスも出始めました。結局動きの勝るコリッチがこのセットを6-2で取り初優勝となりました。フェデラーの芝の連勝記録も20で止まったのですが、ここまで連勝していたフェデラーはすごいものです。

この1戦で世代交代とは言えませんが、次のウインブルドンではどんなドラマがみられるか楽しみになってきました。