ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

海の中の小さい生き物が天候を左右?

2018-09-29 10:32:14 | 自然
海洋の中には肉眼で見ることのできない小さな生き物であふれています。

新しい研究によれば、あるウイルスに感染した植物プランクトンが雲の形成に関与し、地球の気候にも影響を与える可能性があるかもしれないようです。

これは花のような形をした円石藻(エミリアニア)という微細藻で、世界中のあらゆる場所に遍在する植物プランクトンです。2015年には、円石藻がEhVウイルスに感染すると大気中に広まり、そのウイルスを拡散させていることが、イスラエルのワイツマン科学研究所のグループによって報告されています。

さらに感染した植物プランクトンが膨大な量の円石(ココリス)を大気に放出することで、天候に影響を与える可能性があることを発見しています。

この円石藻や円石というものを全く知りませんでしたが、細胞直径が5-100μm程度の微細藻で、細胞の表面に円石という炭酸カルシウムの鱗片を持っています。この円石は通常円形から楕円形ですが、かなり色々な形状を持っているようです。

円石が空中に放出されることは珍しいことでは無く。日常的に放出されています。しかしウイルスに感染すると膨大な量の円石が放出され、海中の成分を含んだ微粒子「海洋エアロゾル」として大気中に漂います。それが雲の形成など気候に大きな影響を与えるとしています。

ワイツマン科学研究所の研究グループは、実際にどれほどの影響をしているのか調査をするために、実験室サイズの円石放出システムを作ってウイルスの円石藻に対する影響を定量化しました。

その結果生成された粒子について量が極めて多いこと、密度が高いこと、そしてサイズが大きいことが分かりました。研究グループは粒子サイズの円石が雲の形成に関わっていることはすでによく知られており、さらに円石は大気中でほかのエアロゾルや水滴に化学反応を示し、雲の水分凝結を助長する可能性があるとしています。

また実験室サイズのミニチュアモデルで示せることには限界があり、将来的にはこれらの植物プランクトンや海洋エアロゾルの排出を現実世界で観察したいと考えているようです。

今回の研究は人類がもたらした気候変動や地球温暖化への技術的なソリューションを模索するのに役立つ可能性もあります。そこで必要なのが、気候の複雑さや生物が果たす重要な役割を踏まえたうえで、議論されるべきだと指摘しています。

海洋中の植物プランクトンの量は想像を絶するほど大量だということは聴いていましたが、それから放出されるものが気候にまで影響しているというのはなかなか面白いことのような気がしています。
コメント

血液型とかかり易い病気

2018-09-26 10:15:25 | 自然
血液型というと日本では、「性格診断」や「占い」のイメージが強いのですが、海外の医療機関では、血液型によって「病気のリスク」が変わるという相関関係が最新研究によって明らかにされつつあるようです。

私は血液型というのは細胞の表面抗原の種類によって決まるものですので、それで性格が変わるというのは全く信じていません。このブログでも3か月ほど前に、血液型と免疫力の話しを取り上げましたが、それなりに科学的な証拠が出ているもののようです。

欧米では30~40年にわたって蓄積された患者の個人データを駆使した最新の研究により、血液型によって病気の発症リスクが異なることが明らかになりつつあります。

日本では「血液型性格分類」が好きですが、すでに大規模調査によって、血液型と性格に関連がないことは科学的に証明されています。どうも日本では性格との相関にばかり関心が集まり、世界の研究とは別な方向へ向いてしまったようです。

日本人の血液型は、多い順にA型が38%、O型が31%、B型が22%、AB型9%の割合で分布しており、この方法を「ABO式血液型」と呼ばれています。

血液型と病気との関連を理解する上で重要なことは、それぞれの血液型が血漿中に異なる「抗体」を持っていることです。抗体はウイルスや細菌などの異物を体内から追い出す働きを持っています。この抗体に関しては、前のブログで詳しく取り上げましたのでここでは省略しますが、この抗体が病気発症のリスクと関わっていると考えられています。

例えば血液型によって「罹り易い病気」とされている研究結果は、以下のようなものがあります。
「A型」胃ガンリスクは、最も低いO型と比較して約1.2倍高い(2010年/スウェーデン・カロリンスカ大学)
「B型」膵臓ガンリスクが、最も低いO型と比較して約1.7倍高い(2009年/アメリカ・国立がん研究所)
「AB型」脳卒中リスクが、最も低いO型と比較して1.83倍高い(2014年/アメリカ・バーモント大学)
「O型」胃潰瘍リスクが、最も低いA型と比較して1.15倍高い(2017年/医学雑誌)

こういった血液型に関する世界の研究機関による研究は上記以外にも多数存在しています。こういった研究結果を受け、血液型をどう考えるべきか難しいところです。しかし血液型による発症リスクの関係はあるようですが、日常の生活習慣の方が、はるかに病気ののリスクを左右することは確かです。

私の感じでは血液型(私はO型ですが)は生まれついてのものですので、面白い相関関係が出た程度に受け取っておけば良いような気がします。
コメント

徹夜一晩でも太る可能性

2018-09-16 10:26:37 | 自然
睡眠不足で太ることが知られているようですが、私は今まで聞いたことがありませんでした。

この原因はレプチンやグレリンといった摂食ホルモンの変調といわれていますが、最近一晩の徹夜といった短期的急速な睡眠不足により、代謝調節に必要な骨格筋の組織変化や後天的な遺伝子変異が影響して、太ることにつながるという報告が出ました。

慢性的な睡眠不足や海外旅行などの時差ボケの影響で睡眠障害が起きると、肥満やメタボリック症候群、糖尿病になるリスクが高くなります。これはサーカディアンリズムと呼ばれる体内時計が変調をきたし、身体の代謝機能に影響を及ぼす結果と考えられています。

今回スペインのウプサラ大学などの研究グループが、一晩の急激な睡眠不足、つまり徹夜が遺伝子レベルでどんな生理学的な影響を与えているか調べました。

体内時計も遺伝子によって制御されており、いくつかの遺伝子が見つかっています。この内ある遺伝子が重要で、この遺伝子を異常発現させたりノックアウト(切除)すると、マウスでの脂肪の代謝がおかしくなりますが、これは骨格筋のこの遺伝子が変調することが原因とされています。

またヒトでは睡眠不足で遺伝子が後天的に変化し(メチル化される)、体内時計に関連した遺伝子や骨格筋での遺伝子機能が減退することが分かっています。骨格筋は身体を支えたり骨格を動かすための筋肉であり、タンパク質などの栄養や水分をため、食べ物が少なくなったり水分が足りなくなったりする際に分解し補給する代謝機能を持っています。

研究グループは、健康な白人男性15人を対象に事前のアンケートで朝型か夜型かを調べ、交互に2回実験しました。徹夜群と睡眠群の実験を開始し、徹夜群は寝ないように監視され完全な徹夜状態にして翌朝7時まで脳波や心拍数を記録し、認知機能を評価する簡単なテストを行いました。

その後血液サンプル、皮下脂肪と骨格筋から生検サンプルを採って比較しました。その結果徹夜群の遺伝子を調べたところ、皮下脂肪の遺伝子の広い領域で後天的な変異(メチル化)が起きており、特に脂肪酸の取り込みに関連する遺伝子に変異が大きく出ていました。

またこうした変異は骨格筋では認められませんでした。この実験結果とマウスでの実験を組み合わせると、徹夜などでも肥満になったり糖尿病にかかるリスクが高まるとしています。

こうした遺伝子の変異はどの程度の時間で修復されるのか分かりませんが、肥満といった長時間かかって生ずる現象が、一時的な遺伝子変異で急激に加速されるというのはやや怪しい感じもします。私が睡眠不足になることはまずないのですが、良い睡眠が健康に必要なことは確かなようです。

コメント

アメリカザリガニで蚊が増加

2018-09-14 10:39:31 | 自然
日本でも侵略的外来種として扱われているアメリカザリガニが、人間にとって有害であるということが発表されました。

アメリカザリガニは外来種といっても、私が子供のころから釣りの餌として使っていました。それが毒性の強い農薬の使用によりほぼ駆逐されてしまいましたが、農薬規制により水辺に生物が戻ってきたのが私の息子が生まれたころでした。

子供たちが小学生ぐらいには完全に生態系が戻り、まだ近くには田や小川がたくさんありましたので、バケツ一杯ザリガニを取ってきたりしていました。

アメリカザリガニの原産地は米国南部の沼地ですが、現在ではオーストラリアと南極を除くすべての大陸に広がり、生態系を乱し在来種の脅威となっています。

昔からアメリカザリガニの脅威としては、穴を掘ることで土の堤防などに被害が出たり、水草を食べてしまい澄んだ湖沼が濁ってしまうなど指摘されていました。当然その土地原産のザリガニを駆逐し生態系が乱れるということもあります。

今回の研究を発表したカリフォルニア大学の研究グループは、ザリガニの駆除が目的のようでした。この時ザリガニがいる場所ほど蚊の幼生も多いことに気が付きました。ザリガニがいる場所では、トンボの幼虫であるヤゴがほとんど見つかりませんでした。

ヤゴは主なエサが蚊の幼生(ボーフラ)で非常にたくさん食べるようです。研究グループは、サンタモニカ山地で13カ所の川を調査した結果、ザリガニのいない川にはヤゴがたくさんおり、蚊の幼生は少なく、その逆でザリガニのいる川では蚊の幼生が多くヤゴが少ないということが確認できました。

研究グループはこの状況を調べるため、ザリガニとヤゴ、蚊の幼生を異なる組み合わせで入れてみました。ヤゴは単独では蚊の幼生をよく食べましたが、ザリガニと同じ水槽に入れると奇妙な行動をとりました。

当然ザリガニはヤゴを捕食しますが、ザリガニがいるだけでヤゴは「恐怖の光景」と呼ばれる状態に陥りました。これは自然界ではよくあることで、例えばイエローストーン国立公園にオオカミが戻ってきたとき、用心深くなったシカが食事のパターンを変え、若い芽をあまり食べなくなり、植物の背丈が高くなったりしました。

このようにザリガニがいることで蚊が増えるのが確認されましたが、こういった方向から人間の病気のリスクが増えるということもあるようです。

ただザリガニは悪い面ばかりではなく、ケニアでは住血吸虫症を引き起こす寄生虫の中間宿主である淡水生の巻貝をザリガニが食べるため、感染例が減っているという報告もあるようです。

この様に外来種が生態系を乱すと、予想外の現象が起きてくるという点でも自然というのは面白いものです。
コメント

夢を見ないマウスを遺伝子操作で作成

2018-09-08 10:36:47 | 自然
寝ている間に夢を見ないマウスを遺伝子操作で作ることに、理化学研究所などの研究グループが成功しました。

人間にもある睡眠との関係が深い遺伝子を特定したことで、睡眠障害などの治療薬開発につながる可能性があるようです。

睡眠には、身体も脳も休んでいる「ノンレム睡眠」と、身体は寝ているが脳は起きている「レム睡眠」の二つがあります。レム睡眠の時には夢を見たり、記憶が固定されたりすることが知られています。

レム睡眠を制御する分子としては、神経伝達物質のアセチルコリンが知られており、いくつかの薬理学的な証拠が得られています。しかしアセチルコリンがレム睡眠に本当に不可欠であるかどうかはこれまで不明でした。そこで研究グループは、マウスにおけるアセチルコリンの役割を、個体レベルの包括的な遺伝学的手法を駆使して評価することを試みました。

この詳しい手法は省略しますが、睡眠量の解析によって、二つのアセチルコリン受容体(Chrm1およびChrm3)を欠失したマウスにおいて、睡眠量の著しい減少が観察されました。

この遺伝子を欠失させたマウスの睡眠量を詳しく解析したところ、Chrm1遺伝子欠失マウスは、レム睡眠とノンレム睡眠の時間がともに減少(34分と117分短縮)していました。一方CHRm3遺伝子欠失マウスではノンレム睡眠のみが著しく減少(約153分)し、レム睡眠は1回の持続時間が短くなり頻度が増える影響がみられたものの、総量に変化はありませんでした。

この結果からChrm1遺伝子はレム睡眠、Chrm3遺伝子はノンレム睡眠を主に制御していると考えられます。そこで両遺伝子を同時に欠失させたマウスを作製し、睡眠量を解析したところ、レム睡眠量がほとんど検出できないという結果が得られました。

このマウスは記憶力が通常より悪いようでしたが、生きる上では支障がありませんでした。このようにレム睡眠が動物にとって本当に必須なのか、必須であるならばどのような役割を持っているのか、また睡眠はどこまで削れるのかという問いを、改めて検証するきっかけになるようです。

この両遺伝子を欠失させたマウスの検証は続いているようですが、こういった研究がさらなる睡眠研究ならびに睡眠障害に対する効果的な治療薬の開発が進展すると期待されています。

このように睡眠を含めた脳の働きについて最近は遺伝子の特定という方からいろいろ進んでいますが、現在は遺伝子が特定できれば簡単にゲノム編集技術により欠失させることができますので、複雑で難解な脳機能の解明も急速に進むことが期待できそうです。
コメント