ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

日本人の適応進化は酒に弱くなる?

2018-04-30 09:52:11 | 自然
日本人はアルコールに弱い体質が残るように進化してきたことが、理化学研究所などの研究で明らかとなりました。

これはかなり複雑な遺伝子解析の結果で、特にアルコールに関してだけではないのですが、分かりやすい部分だけを取り上げています。

生物の性質は、世代を経るごとに周囲の環境に対応して変化することがあり、その現象を「適応進化」と呼んでいます。人類の場合、高所に住むチベット人集団は低酸素環境に、アフリカ人集団はマラリアなどの病原体に強くなるように適応進化したといった研究結果が報告されています。

日本人集団における適応進化の詳細は解明されていなかったことから、理化学研究所や大阪大学・慶応大学などの研究チームは調査を開始し、日本人集団約2200人を対象に、遺伝情報の解析を行いました。

こういった適応進化の研究というと、古代の日本人と現代の日本人を比較するような気がしますが、現在の遺伝子解析技術ですと、現代人の遺伝子を解析し集団中に低頻度で存在する遺伝子変異の解析で結論を出すことができるようです。

今回の全ゲノムシークエンス解析の結果、日本人集団で過去数千年間において、適応進化の対象となった4つの遺伝子領域を同定することに成功しました。さらに、日本人集団の適応進化に影響を与えた形質について調べました。病気の発症や臨床検査値の個人差に影響を与える遺伝的変異において、適応進化の強さを網羅的に検討しました。

その結果、飲酒量などアルコール代謝と、脂質や血糖値、電解質、タンパク質、尿酸値や痛風など栄養代謝に関わる形質に影響を与えている遺伝的変異が、日本人の適応進化の主な対象になっていたことが分かりました。

これがアルコールを代謝する酵素を作る遺伝子が、適応進化の影響を受けて子孫へ残されてきたことになります。この酵素(アルコールデヒドロゲナーゼADH)は日本人の場合、欧米人よりも代謝の働きが弱い傾向があるようです。つまり日本人はアルコールに弱い性質を、環境に適応するために受け継いできたことになります。

しかし先のチベットやアフリカの人の適応進化は分かりますが、なぜ日本人だけがアルコールに弱くなるように進化したのか不思議な気がします。この記事は他の栄養代謝などは具体的どういうことが分からないため、分かりやすいアルコールに弱いという点を取り上げただけなのかもしれません。

別にこの結果を疑うわけではありませんが、非常に難しそうな遺伝子解析プロジェクトの割には、あまり納得できる結論にはなっていないような気もします。


乾燥に強くなるペプチドを発見

2018-04-29 10:45:17 | 自然
理化学研究所と東京大学、徳島大学の研究グループが、乾燥状態に置かれても簡単には枯れない「乾燥ストレス耐性」を高める植物ペプチドを発見したと発表しました。

このペプチドが根と葉の間で情報伝達の役割をして、乾燥ストレス耐性を高めているようです。地球温暖化により干ばつや乾燥地域が増えると予想されていますが、研究グループはこの研究成果が乾燥に強い農作物の栽培に役立つ可能性があると期待しています。

この記事は最近見たものですが、この研究については3月初めにあった財団の贈呈式のおり、徳島大学の先生が発表されておりいろいろと話をしました。やはりペプチドというのは分子サイズにもよるようですが、かなり単離同定が難しい物質のようです。

ペプチドとは、2つ以上のアミノ酸がペプチド結合によってできた化合物で、動物植物を含む生物体内でさまざまな生理活性を持っています。研究グループは、アブラナ科の一年草で全ゲノムが解読されているためにモデル植物になっているシロイヌナズナ由来の培養細胞を作製しました。

乾燥ストレスを模したストレスを与えて分析したところ、培養液に「CLE25ペプチド」と呼ばれる植物ペプチドが放出されることが判明しました。

さらに人工的に合成したCLE25ペプチドをシロイヌナズナの根に吸収させたところ、このペプチドは葉に移動して「アブシジン酸(ABA)」と呼ばれる植物の乾燥ストレス耐性を高める働きをする植物ホルモンを歯に蓄積させていることが分かりました。

ABAは乾燥ストレスを感じた植物の葉で合成され、葉の気孔の閉鎖を促して植物体内から水分が失われるのを防いでいます。このABAが葉に蓄積したのは、このペプチドがABAの合成に主要な役割を果たす酵素の遺伝子発現を上昇させたためと解析しています。

研究グループは、次にゲノム編集技術を使ってこのペプチドができないようにしたシロイヌナズナを作成して乾燥ストレス耐性を調べたところ、葉にABAが蓄積せず、乾燥状態に弱いことが分かりました。

土壌中の水分が減って植物が乾燥ストレスを根で感じたのちにどのようにABA合成が促進するか、その詳しいメカニズムは未解明でした。今回乾燥ストレスによって根の細胞がこのペプチドを作り、それを導管に放出し、これが葉に移動してペプチド受容体に結合してそのシグナルがABA合成を開始させる合図になっていることが分かりました。

こういった植物においても、ペプチド類がヒトでのサイトカインのように、情報伝達物質として利用されているというのはなかなか面白い知見と言えます。


自家培養軟骨で不治のケガを克服

2018-04-28 10:43:36 | 健康・医療
富士フィルムグループのジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)が、再生医療という先駆的な手法を使い、欠損した軟骨を再生する新たな製品を開発したと発表しました。

スポーツなどで大きな衝撃を膝に受けて関節の軟骨部分に欠損などが生じると自然治癒が難しいことは、長らく整形外科の世界では常識とされてきました。軟骨組織には血管がなく、傷を治す働きをする細胞・栄養を含んだ血液を運べないためでした。「不治のケガ」ゆえに引退を余儀なくされるスポーツ選手も少なくなかったようです。

この再生医療製品は増殖能力を持つ自分自身の細胞を用いた「ジャック」と呼ばれる自家培養軟骨の利用です。五百円硬貨くらいの大きさの白い円形の塊が、軟骨の機能を正常にする切り札となります。

ジャックは、患者の軟骨組織の正常部位から細胞の一部(0.4グラム程度)を採取し、J-TECの施設で培養、増殖させて作られます。4週間ほどして膝の軟骨が失われていた部分にジャックを移植すれば欠損部分が修復され、リハビリなどの後、半年〜1年で通常通りの歩行が可能になる流れです。

同社は「膝の荷重部の軟骨が傷むと自然治癒しないのが常識です。それを自分の細胞を使えば拒絶反応もなく再生できるのがジャックの利点です。」と力説しています。ひざの痛みなどに悩むアスリートや体を使う現場で働く人たちが患者となります。

例えば、膝のケガを負いプレーをあきらめかけていた30代のサッカー選手はジャックによる治療を受けて、再び運動を楽しめるようになりました。若いころにバレーボールで膝を痛めた30代の介護士も、現在は看護の現場で不自由なく力仕事をこなしているといいます。

治療で改善が見込まれる潜在患者は多く、2000人を上回るとみられています。「自家培養軟骨移植術」と呼ばれるこの手法は、膝関節外科を専門とする広島大学が確立したもので、この指導のもとJ-TECが製品開発を行い日本初の治験を実施しました。

2012年に国から再生医療等製品として承認され、翌年には保険適用となっています。ただ軌道に乗るまでは様々な試行錯誤が繰り返され、特にスケジュール管理が難しいようです。

採取した細胞は4週間程度で規定量の培養を行いますが、細胞の増殖の速さは個体差のため異なり工程管理が難しくなっています。また移植に際しては、細胞を低温管理下で仮死状態で運搬し、患者側もあらかじめ移植の手術日を決めて待つ必要がある等、スケジュールの調整が大変としています。

このように未来の医療とされてきた再生医療は、一歩ずつ現代の医療に近づきつつあるようです。


フリーセルゲーム5555クリア達成

2018-04-27 10:46:10 | 文化
フリーセルで5000ゲーム達成を昨年12月に書きましたので、大体半年で1000ゲームぐらいしているようです。次は6000ゲームクリアで書くつもりでしたが、今回ちょっとしたミスをやってしまいましたので、ゾロ目のところで書くことにしました。

私は朝食を摂ったのち一休みしてこのブログの入力をして、内職の特許翻訳をしますので、一日4時間程度はPCの前にいますので、何かが一段落した時などフリーセルをやるというのが日課になっています。

特にはまっているわけではないのですが、休憩的な気分でフリーセルを解くというのが楽しみの一つです。一題に数分程度が多いので、ちょっとした気分転換になるのかもしれません。

このフリーセルの良いところは、しっかり考えればすべてクリアできるところで、現在のシステムはやり直しができますので、じっくり取り組むような問題もあります。今回5500ぐらいのときにミスをしてしまいました。

枚数を間違えてうっかりフリーセルにカードを出したところ、「カードが動かせなくなりました」のメッセージが出ました。この時の選択肢として「最後のカードをもとに戻す」と「OK」があるのですが、うっかりOKをクリックしてしまったのです。そうするとそこでゲームは終わり「負け」として記録されてしまいました。

結局5555クリアといっても画面の表示はタイム3.28、ベストタイム1.09、プレイしたゲーム5557、勝ったゲーム5555、勝率100%ということになりました。つまり2敗したということになりますので、やや残念な感じです。

今回やったゲームの中で記録した難しかったものは、2月8日にやった5217回目の1503461というものがありました。これは7か8のカードがすべて後ろにあり、途中で動かなくなってしまうものでした。結局これは42分30秒でクリアできましたが、このくらいの時間だとかなり疲れます。

さらに難しかったのが4月14日にやった5526回目の4241910という問題で、それほど難しそうなパターンではないのに途中詰まってしまうのです。これは途中休みながら挑戦しましたが、なんと1時間1分2秒という時間で何とかクリアできました。やはりこのフリーセルは奥が深い感じがします。

この解きかたが歳のせいかやや変わってきた気がします。昔はかなり先まで考えてからカードを動かしたのですが、最近はあまり考えずこのあたりからという感じで始めてしまうことが多くなりました。これは囲碁のときもそうですが、じっくり考えるということができなくなってきたようです。

別な言い方をすると集中力を維持するのが難しくなってきたのかもしれません。こういった傾向はあるのですが、次の6000クリアを目指して頑張ります。

触媒反応によるアルツハイマー病治療

2018-04-26 10:44:16 | 健康・医療
科学技術振興機構(JST)と東京大学の研究グループが、マウスの脳内のアミロイドβペプチド(以下アミロイド)の凝集体を近赤外光の照射によって減少させる光触媒の開発に成功したと発表しました。

今後アルツハイマー病に関する触媒反応を用いた新たな治療法の確立が期待されます。アルツハイマー病は、アミロイドの凝集体による細胞障害性がその発症につながると考えられています。これまで研究グループは、光照射によってアミロイド凝集体のみを選択的に酸素化し、アミロイドの凝集性や細胞障害性を抑制させる触媒を開発していました。

しかしこの触媒は細胞障害性が高いため人への応用は難しく、臨床への応用が可能で、生体組織への透過性が高い近赤外光で作用する光触媒の開発に取り組みました。

この光触媒の構造は明らかにされていませんが、基本となるものはスパイスなどに使われるウコンに含まれるクルクミンという化合物のようです。クルクミンはアミロイドと親和性が高いことが知られており、この性質を利用してアミロイドとの結合により蛍光を発する色素も開発されています。

触媒機構としてはアミロイドに酸素化を起こすことが必要で、クルクミンの構造を基に近赤外光を照射することにより酸素を効率的に産生する光触媒を開発したとしています。この光触媒により、生きた細胞が存在する状況でも機能し、アミロイド凝集体由来の細胞障害性を低減させることができました。

また近赤外光を照射すると、マウスの皮下に存在するアミロイドが酸素化されました。さらにアルツハイマー病モデルのマウスの脳内に触媒を投与し、近赤外光を照射しました。その結果触媒による処置をしていない場合に比べ、脳内のアミロイド凝集体の量が約半分に減少しました。

これらの成果は、アルツハイマー病に加え、糖尿病のようにタンパク質の凝集が原因となる様々な抹消系の疾患にも、触媒反応による治療法を応用できる可能性を示しています。

今後はマウス体内でのアミロイド凝集体の酸素化が、アルツハイマー病特有の症状を改善するかなどを検討していく予定です。また触媒を経口から投与可能な構造に改編するなど、さらに医薬品として適合した形へと改良を進めるとしています。

アミロイドを破壊するというのは色々な薬剤で試みられていますが、このように触媒によって無毒化する試みというのも面白いような気がします。まだ基礎的な知見が得られただけの状況ですが、アルツハイマー病という治療困難な病気に対しての新たな選択肢となることを期待しています。