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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

老衰が医師にとって不名誉な病名なのはなぜ

2025-05-01 10:32:56 | 健康・医療
高齢になってくると死について考えますが、私はなんとなく老衰で死にたい気がしています。病気と違って老衰であれば苦しむことがなさそうです。

実際現在の日本の死因の第3位が老衰ということで、増加しているのかもしれません。ここでは現代の死生観について紹介します。

資本主義社会においては、お金がなくては生きていけません。お互いのコミュニケーションのための言語と、衣食住など生活必需品の確保にお金は必須のアイテムです。

お金至上主義から脱却して、別の価値である人々の共通の福祉、コモンズの増進を目指そうと叫ばれるようになってきてはいますが、それでも何はともあれ先立つものはお金です。

より大きな生活力を身に着けるためにはお金をためることが求められますが、その過程では一時的にせよ負債が生じます。住宅ローン、奨学金などは日常茶飯事であり、生きる上で負債はその多寡は別にして避けて通れないものです。

仏教では、生老病死・生まれること、老いること、病気になること、そして死ぬことを四苦としています。苦は苦悩なのですが、苦しいことというより意志ではどうしようもないことという意味が強く、ままならぬゆえ時には苦しいと感じることもあるという考え方です。

生老病死のライフコースにおいて、先祖代々受け継いだ遺伝子を日々使って生きています。血のつながりといいますが、遺伝子はこの血にあたります。遺伝子を使って様々な臓器を作りそれを維持管理し、動かすエネルギー源を供給し続けるのが生きるということです。

遺伝子を使うことは、お金を使うことに似ています。生きる以上負債が生じ、仏教では苦と表現されています。一時的な借り入れは即時返済して、健康な心身を維持するのですがこの返済行為がうまくいかなくなると、どんどん負債が溜まっていきます。これが老化です。

そしてついに多重債務になり返済不能になると、死に至ります。現在の医学では、生きることで必然的に生まれるこの老化負債について、その科学的な実態が明らかにされつつあります。

2019年全世界で最大の死因は虚血性心疾患であり、全体の16%を占めています。脳卒中及び慢性閉そく性肺疾患が第2位および第3位であり、総死亡の約11%および6%です。第4位は、下気道感染症で呼吸器の感染は世界で最も致死的な伝染病です。

アルツハイマー病などの認知症が死因の第7位となりました。このように主要な死因トップ10のうち7つが生活習慣病によっておこるメタボリックドミノの疾患で、深刻な医療問題となっています。

これまで人類の平均寿命は順調に伸びてきましたが、新型コロナ感染症が発生した2019年以降、経済活動が縮小し収入が減ったことなどにより、アメリカ、ブルガリア、スペイン、リトアニアなど少なくとも27の国で平均寿命が減少に転じました。

前置きが長くなりタイトルの話題になりませんでしたので、続きはまた書くことにします。

寝たきりになってしまう人が示す兆候とは

2025-04-29 10:32:45 | 健康・医療
ほとんどの高齢者は寝たきりなったりせず、ピンピンコロリを願っていますが現実はなかなか難しいようです。

ヒトの体には予備能力(余力)があり、病気やケガをして一時的に体力が低下しても、そこから回復する能力が備わっています。しかし高齢になると、その能力が著しく低下してしまいます。

この加齢に伴う身体諸機能の低下(余力の低下)は、特に75歳以上の後期高齢者で顕著となり、感染症の罹患や事故の発生頻度が高くなるとともに、そこからの回復力(復元力:レジリエンス)も低下します。

また消化器系、循環器系、整形外科(運動器)系を問わず、手術後の回復が遅れたり十分に回復しなかったりして、要介護状態に陥るリスクが高くなります。このような高齢者に特徴的にみられる脆弱性が高まった状態をフレイルと呼びます。

フレイルは日本老年医学会が2014年に新たに提唱した疾患概念です。身体的な面でのフレイルの原因としては、骨・関節・筋肉などの運動器の衰えが挙げられ、先に述べたロコモティブシンドロームやサルコペニアなどが関連します。

そして高齢者に多い慢性疾患や多剤併用などがこれらを加速させ、身体活動量の低下や食欲減退から、低栄養、筋量・筋力の低下を起こす悪循環(フレイルサイクル)が起きやすくなります。

一方心理的な要因としては、加齢に伴う認知機能の低下や抑うつ気分などが挙げられ、家事や買い物など様々な場面で適切な行動・判断ができにくくなることが問題となります。また社会面での原因としては、孤立しがちになることで、引きこもりや孤食が常態化しがちです。

フレイルの特徴は、このような3つの原因が重なることで、状態がどんどん悪化していくことです。たとえば身体機能の衰えによって外出が億劫になることで引きこもりがちの生活になり、それが社会性の低下を引き起こします。

また引きこもりがちな生活が続くことで、さらに身体機能や認知機能が低下することにもつながり、心身の機能がどんどん衰えていくという負のスパイラルに陥るのです。

フレイル状態にあるか否かを判断する基準としては、5つの項目が設定されており、3つ以上が該当するとフレイルとし、1,2個該当するとフレイルの前段階であるプレフレイルとされています。ここでは省略しますが、どうも私はプレフレイルかもしれません。

高齢者にとっては日常生活において、定期的に軽い運動・身体活動をするだけでもフレイル予防になりますが、タンパク質やカルシウム、ビタミンDなどの筋肉・骨を構成する栄養素の摂取不足を回避することにも十分な配慮が必要です。

フレイルにならないよう予防するか、歳のせいとあきらめるのかは微妙なところかもしれません。

認知症の予防効果がある身近なワクチンとは

2025-04-28 10:34:52 | 健康・医療
最近帯状疱疹のワクチンに認知症の予防効果があることが発表されました。

子供のころかかった水疱瘡の原因ウイルスが、治った後も神経節の中に残ってしまい、中年以後それが活性化して起きるのが帯状疱疹です。これは免疫機能が低下することによるとされていますので、ワクチンに効果があるか疑問に思っています。

つまりワクチンは正常な免疫が働くことによって効果が出るのですが、免疫がしっかりしていればウイルスが増殖した時抑えられるはずですので、帯状疱疹は発症しないはずです。

さて英国ウェールズで帯状疱疹ワクチンを接種した高齢者は、接種しなかった高齢者に比べて認知症の発症リスクが20%低いことが示されました。帯状疱疹は、水疱瘡の原因ウイルでもあるヘルペスウイルスによって引き起こされます。

このウイルスは、神経細胞内に潜伏し加齢や病気により免疫力が弱まると再び活性化します。帯状疱疹ワクチンは、高齢者のヘルペスウイルスに対する免疫反応を高め、潜伏中のウイルスが体表に表れて帯状疱疹を引き起こすのを防ぐ働きがあります。

最近の研究では、特定のウイルス感染症が認知症リスクを高める可能性が示唆されていることから、帯状疱疹ワクチンにも脳を保護する効果があるのではないかと考えました。

これを検討するために、2013年に高齢者に対する帯状疱疹ワクチンの接種が開始されたウェールズに目を向けました。当時はワクチンの供給量が限られていたため、この時の接種対象者は1933年に生まれた79歳の人に限定され、接種期間も1年間に限られていました。

研究グループはワクチン接種直後の80歳に達した接種対象者とその直前に80歳に達した接種対象外の高齢者を7年間追跡し、認知症の発症について比較しました。その結果接種群では対象群に比べて、追跡期間中に新たに認知症の診断を受ける確率が3.5ポイント低いことが示されました。

これは接種群では認知症の相対的なリスクが20%低下したことに相当します。この効果は教育レベルや糖尿病、心臓病、ガンなどの慢性疾患など、認知症リスクに影響を与える因子を考慮した解析でも変わらず認められました。

また確認された兆候は非常に強力かつ明確なうえに、持続的でもありました。ただしなぜ帯状疱疹ワクチンが認知症を予防するのかは明らかになっていません。

研究グループは、ワクチンが免疫システム全体を強化するか、あるいは特にヘルペスウイルスが脳の健康に及ぼす未知の影響を防ぐことで、脳を保護する可能性があると推測しています。

細胞微粒子改変で「ガンキラー」活性化に成功

2025-04-26 10:34:28 | 健康・医療
ほとんどの人がガンは恐ろしい病気で、早期発見に努めていると思われます。進行してしまったガンには良い治療法がないのが理由ですが、私も若いうちはガンの発見を優先していました。

しかし歳を取って「死」を考えるようになると、ピンピンコロリを望むようになってきました。そうなるとガンで急死というのも悪くないような気がしています。そのためガンの検診など受けず、緩和ケア以外の治療を受けないという選択肢もありそうです。

金沢大学ナノ生命科学研究所は、細胞が分泌する微粒子「エクソソーム」を人工的に改変し投与することで、ガンを特異的に攻撃する免疫細胞(キラーT細胞)を活性化することに成功しました。エクソソーム表面にガンの目印物質(抗原)と免疫細胞を活性化する因子を配置しました。

特定の免疫細胞を活性化し、攻撃すべきでない対象への攻撃(免疫暴走)をおさえる、新しいガン撃退技術につながる期待があります。エクソソームは、細胞膜と同じ脂質二重膜でできた、直径約100ナノメートルの微小な袋状の物質です。

体内でタンパク質や核酸を運搬し、細胞間の情報伝達を担い、医学や生物工学分野で注目されています。研究グループは、改変エクソソーム作成にあたり、エクソソーム膜に存在するタンパク質テトラスパニンに着目しました。

抗原と免疫活性化因子がテトラスパニンと結合した状態で産生されるように培養細胞の遺伝子を改変しました。テトラスパニンにつられ、抗原などは膜表面に配置されます。キラーT細胞は、抗原を認識して学習し抗原を持つ対象だけを攻撃します。

改変エキソソームは、抗原と免疫細胞をセットで運ぶため、特定のキラーT細胞を選択的に活性化できる、と説明しています。膜表面にある抗原などは、キラーT細胞の受容体で認識されます。

研究グループは、細胞実験で改変エクソソームがキラーT細胞を選択的に増やすことや、マウスに投与して生存期間を顕著に延長することを確認しました。

この技術を応用し、他の免疫細胞に関与して免疫応答を強化するヘルパーT細胞の活性化や、過剰に活性化した免疫細胞を選択的に抑制する技術の開発も期待されます。

この研究結果はガンだけではなく免疫が関与する病気の治療法となりそうですが、細胞を取り出して改変する技術は、iPS細胞研究などでもわかるように、非常に手間とコストがかかるもののようです。

これが実用化までには多くの時間がかかりそうですが、コスト面をどうするかはまた別の問題として浮上するかもしれません。

悪夢の原因は脳のある場所が関係していた

2025-04-24 10:31:09 | 健康・医療
ここでは夢の話を時々取り上げますが、そのたびに書いているように私は夢を記憶するという機能が欠如しているようです。

当然ですが私も夢を見ないわけではなく、夜中におかしな夢を見て目が覚めることもあります。その時は今見た夢についていろいろ考えるのですが、そこで寝てしまうと朝起きたとき全く夢を覚えていません。

これで別に不都合はないのですが、なんか損をしたような気が若干します。脳を手術されているとき、患者はごくわずかな電流によって夢を見るそうです。

なぜ夢を見るのか、夢はなにを知らせているのか、夢をコントロールすることはできるのか、夢の正体について脳神経科学者の意見を紹介します。手術室で覚醒下で脳の手術に臨むとき、いつもペン型の器具を使って患者の脳に直接微弱な電流を流しているそうです。

患者の意識ははっきりしていますが、痛みを感じることはありません。しかし電流を流すと一定の効果が生じ、どんな脳にも個性があり、触ると反応を示す場所が存在します。ある場所を触ると、患者は幼少期の思い出を語り始めました。

別の場所を触るとレモンの匂いがし、別の場所では患者は悲しみや恥ずかしさを感じ、そして欲望を感じると述べました。この処置の目的は、電流に反応しない場所、すなわち表面の組織を切り開いて下の腫瘍に触れても問題のない部位を特定することにあります。

大脳皮質と呼ばれるもっとも外側の層を数ミリずつ刺激すると、患者が奇妙で深遠な体験をすることがあります。大脳皮質の厚さは0.5センチにも満たないのですが、言語、知覚、記憶、思考など、人間たらしめる機能の多くをつかさどっています。

実際悪夢は電気刺激によって誘発されることがあります。脳の表面にある特定の隆起から電極を取り外すと悪夢は消えますが、同じ場所に電気を流すと再び同じ悪夢が呼び起こされます。

現在では繰り返し見る悪夢は、ニューロンの電気活動が恐怖体験を自律的にループ再生するようなものだと考えられています。このことからもわかるように、人類が古くから抱いてきた夢はどこから生じるのか、という疑問には明確な答えが示されています。

夢は私たちの脳、特に脳内の電気活動から生じるのです。また性的な夢は人間の本質の一部としています。抑えようと思って抑えられるものではなく、更年期を迎えても、化学的去勢を行っても抑えられるものではないようです。

このように夢は次々と疑問が出てきますが、本質的に単に電気活動であるならば、何の意味もないとすることのような気がします。