ごっとさんのブログ

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難病「ALS」を白血病薬で治験開始

2019-04-08 10:19:28 | 
全身の筋肉が衰える難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を、白血病の薬で治療する臨床試験を始めると、京都大学の研究チームが発表しました。

これは患者のiPS細胞を使った研究で、ALSの進行を抑える効果を確認しており、治験では20歳以上80歳未満の患者24人を対象に安全性を検証します。

この薬は、慢性骨髄性白血病の治療薬「ボスチニブ」で、京大病院を含む4医療機関で治験を行い、対象はALS発症から2年以内で、自立して日常生活を送ることができる患者を選択しています。

1日1回、1~4錠を最大12週間服用してもらい、主に副作用の有無を調べ治療効果も探るとしています。

ALSは身体を動かすための神経が徐々に失われる難病で、2017年度末現在患者数は約9600人と推定されています。この病気の進行を遅らせる薬はありますが、効果は限定的で根本的な治療法はありません。

京都大学iPS研究所の研究チームは、患者の皮膚から取った細胞からiPS細胞を誘導し、これから病気の特徴を持つ神経細胞を作ります。この細胞に1416種類の薬の候補と反応させ効果を調べました。

この結果2017年にボスチニブに神経細胞の死滅を抑える働きがあることを確かめ、治験準備を進めていました。

私はこのiPS細胞の応用として、このような創薬研究というのが、最も有効な使い方と考えています。病気の特徴を持つような細胞を患者から取り出しても、それを続けて培養することはかなり困難と思われます。

もちろん遺伝子が関与する疾患に限定されてしまいますが、iPS細胞を使えばこれがかなり確実に行えるのでしょう。薬探索に病態の細胞を使うというのは、実際問題としてはかなり大変な作業となります。

受容体や酵素の阻害を見るのは、色の変化といった明確な判断が可能ですが、細胞を観察して効果を判定するのは、判断基準や再現性でも問題が出そうな気がします。

それでも多くの特に難病と言われるような疾患では、その原因が分からなかったり特定なタンパク質をターゲットとすることはできません。多分こういった細胞を直接観察するしか方法がないような気もします。

今回見つかったボスチニブという薬剤は、チロシンキナーゼの活性を阻害することで、白血病細胞の異常増殖を抑制するものですが、これがなぜ神経細胞の死滅を抑えるのかといったメカニズムはこれからの課題かもしれません。

こういった研究により治らないと言われていたALSの治療の選択肢が増えるというのは素晴らしことで、安全性と効果がこの臨床試験で明らかになることを期待しています。