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若さのカギとなるタンパク質を発見

2019-04-21 10:28:20 | 自然
東京医科歯科大学の研究チームが、皮膚を若々しく保つ上で重要な細胞競合を促進するタンパク質があることを発見しました。

このタンパク質は「17型コラーゲン」と呼ばれ、細胞組織の適応度を維持する重要な過程である細胞競合を促進します。細胞競合により弱い細胞は駆逐され、強い細胞の複製が促進されます。

細胞競合という言葉はあまり聞かれませんが、簡単に言えば生態系における「適者生存」が細胞レベルでも起こることを言います。これは同じ細胞間や異なる性質を持った細胞間で多彩な「競合」現象が生じていることが、最近の研究で明らかになってきました。

17型コラーゲンは加齢によって減少し、弱い細胞が自己複製し皮膚が薄くなり、損傷を受けるとともに再生も遅くなります。今回の研究は、人間の皮膚と同じ特徴を多く有しているマウスの尻尾を用いて行いました。

研究チームは、17型コラーゲンの減少が起きた時点で、このコラーゲンを活性化することが可能かを調べ、皮膚の抗加齢を促進させる化合物を探索しました。

この結果「Y27632」と「アポニシン」という2種の化合物を単離し、皮膚細胞でテストしたところ、肯定的な結果が得られました。研究ではこれらを皮膚全層の損傷に塗布したところ、損傷の再生が著しく促進されたと指摘しています。

二つの化合物は、皮膚の再生促進と老化制御につながることが期待されると述べています。このうちアポニシンは、色々な植物から分離された天然の有機化合物でバニリン(バニラの香りのもと)と類似した構造を持っています。

NADPHオキシダーゼ活性を阻害し活性酸素の生産を抑制する作用があるため、抗炎症効果を持つとされている化合物です。

ここで調べられた細胞競合に関する詳細な研究は、これまでハエでしか行われていなかったようです。ここで見いだされた17型コラーゲンは、最近毛髪についての効果が知られています。この17型コラーゲンが欠損すると、白髪はもとより薄毛が進み、脱毛を引き起こすことが明らかにされています。

今回の研究は、哺乳類の正常細胞が成体組織を効果的に再配置し、弱い細胞や損傷した細胞を取り換えることができるという証拠を提供しています。研究チームは、二つの化合物が老化に対抗できることの原理証明が今回の研究で得られたと指摘しています。

さらに、他の組織における細胞競合のメカニズムを解明し、他の臓器における若返りを可能にする化合物を特定するには、今後さらに研究を重ねる必要があると述べています。

ここでは細胞競合の具体的な記載はありませんでしたが、17型コラーゲンのような若さを保つタンパク質が共通であるならば、老化防止に役立つ可能性があるような気がします。