けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

テレビで愛想を振りまく金正恩の背景にあるもの

2013-03-12 23:06:03 | 政治
今のところ、北朝鮮に動きがない。冷静に考えて、戦争に発展しながら金正恩体勢を維持できるシナリオは考えにくい。しかし、金融制裁において金正恩の隠し口座だけでも5000億円ほどの資産を凍結するとも言われているぐらいだから、戦争に発展させずに北朝鮮国内の不満の捌け口を探すことも不可能だろう。ただでさえ、実績のない金正恩がNo.1として君臨し続けるためには、それなりの威厳を保つために弱みなど見せられない。そこで、いったい北朝鮮が現在どの様な状況に置かれているのかを整理してみたい。

まず、北朝鮮があのような強気の姿勢でいられるのは明らかに、何かあれば中国が一緒に戦う(戦わざるを得ない)と考えているからなのだろう。というのも、中国と北朝鮮との間には中朝友好協力相互条約というものがあり、一方が侵略を受けたら他方も軍事介入して一緒に戦うということになっているからだ。だから、休戦協定の破棄を一方的に通告したのも、この様な後ろ盾があることが背景にある。しかし、下記の記事を読んで私は「おやっ?」と思った。「これでは北朝鮮は戦争など決して起こせない!」ということに実はなっていたのである。

中央日報2013年3月12日「北との関係維持か放棄か…中国政協会議で激しい討論

実は、他国から侵略を受けた場合には上記の通りなのだが、北朝鮮が韓国、アメリカを挑発して仮に先に北朝鮮が手を出そうものなら、その際には中国は参戦する義務がないのである。既に「ワシントンを火の海に!」とか「核攻撃を!」と言った挑発を繰り返しているから、この状況では韓国に一方的に非があると思わしき状況でもない限り、中国が参戦せずに済ませる可能性がある。つまり、(アメリカなどが北朝鮮の核が既に実戦配備され、先方から先制攻撃を受ける可能性があると判断しない限り)韓国に対しても「先に手を出すな!」という方針を徹底しているはずであるから、現実として戦闘状態になるとすれば北朝鮮が先に弾けた結果ということが予想される。この時、中国は北朝鮮を切り捨てるというシナリオは現実的なのである。先日もイギリスのファイナンシャルタイムズへの中国側からの寄稿の話を書いたが、上記の中央日報の記事によれば、その様な北朝鮮切り捨ての議論が、政治諮問機関の人民政治協商会議と国会に相当する全国人民代表大会でなされていたという話が外に漏れ伝わってくるのだから、これはかなり本気度が違ってくる。もともと、北朝鮮に中国軍が駐留している訳でもなく、日米同盟などの強い軍事同盟とは異なる緩い関係であり、一蓮托生というニュアンスからは程遠いものであるという。

 北朝鮮の核保有は中国への核の威嚇に繋がる可能性もあるし、北朝鮮が核を持って韓国、日本が核を持たないということは(中国サイドから見れば)考え難い。中国にとって最悪のシナリオは台湾の核保有だろうが、周辺諸国が全て核保有国になったら何かの際に暴発するリスクは限りなく高まる。何処かが核を間違って使えば、自動的な報復でさらに被害が拡大する。この様な状況を中国が許容できる訳はなく、その諸悪の根源が北朝鮮となれば切り捨てるしかないのは考えるまでもない。

さて、この様な北朝鮮切り捨ての言い訳は中国側に十分にあるから、北朝鮮は中国を戦争に巻き込むにはそれなりの理由がいるのである。だから、昨日から何も起きずに今日があるのが現状である。多分、北朝鮮は色々なシナリオを考えたのだろう。最も考えやすいのは、大掛かりなサイバーテロを行うのである。例えば韓国金融機関へのハッキングなどで経済に大混乱を起こしたり、現在4つほどある原発の制御システムや軍事施設へのハッキングでシステムを暴走させたりとか、様々なことが考えられる。「ミサイルや鉄砲玉が飛ぶわけではないから中国も大目に見てくれるだろう!」と期待している部分もあるのだろうが、先日のアメリカからの中国を名指しにしたサイバー攻撃に対し、中国は「我々はそんな戦闘行為に類似の行為はしていない。むしろ中国の方こそサイバー攻撃を受けている。我々は被害者で、決してこのような攻撃を許さない!」といったニュアンスで「サイバー攻撃=準軍事攻撃」という認識が示されたから、北朝鮮が明らさまなサイバー攻撃を韓国、アメリカに行ったら、これは先制攻撃に相当して中国の軍事介入の義務は発生しないと考えられる。多分、中国側はこの辺の条件を北朝鮮に通知済みだろうから、結果的に弾けたくて仕方がない最前線の兵士が身動きとれずにじっとしているということなのだと思う。

ここまで来ると、この状況はしばらくはこのまま続き、国連決議に基づく兵糧攻め(資金のシャットアウト)に何処まで北朝鮮が我慢できるかという状況である。北朝鮮が持つ数少ないカードは、次から次へと核実験を繰り返し、移動可能な短中距離ミサイルなどへの核搭載が疑いもないという証拠、ないしは長距離ミサイルの射程がワシントンまで届くことの証拠を早期に諸外国に示すことぐらいだろう。しかし、このままでは北朝鮮が干上がる(国民および軍部が金正恩へ愛想つかす)までに半年まではかからないだろうから、スピード勝負的には北朝鮮はかなり厳しい。核を拡散させて外貨を稼ぐ作戦に出たくても、国連決議を中国もそろって忠実に実行すれば、それも防ぐことができる。

この様な状況で、北朝鮮内部では必死で生き残りをかけた選択肢の模索を行っているはずである。答えが見えないから、必死で金正恩は軍部を鼓舞するためのピエロの様な役割を続け、時間を稼いでいるのだろう。昨日今日の金正恩のニュースにはその様な背景が垣間見れる。しかし、そんな姿を1週間も見せ続けられれば国民も「おやっ?」と国民も思うはずだ。この様な視点でニュースを見ると、かの国の少しは裏側が見えて来るかも知れない。

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