けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

それは習近平による崔竜海政治局長への侮辱から始まった

2013-12-10 23:58:32 | 政治
先日のブログ「張成沢氏の失脚の裏に何がある?」では、張成沢氏の失脚の裏に何かあるとだけ書いて、何もツッコまずに終ってしまった。今日は、少しばかり気になったことを書かせて頂く。

最近のニュースやワイドショーでも相変わらず張成沢氏の失脚の記事には事欠かない。何せ、折角放送した金正恩がらみのニュース映像を思いっきり加工して、それまで存在したはずの張成沢氏の映像を完全に抹殺するなど、日米韓などの有識者が見れば一発でバレバレのことを、思いっきり金をかけて画像編集(しかも動画)するのだから、金正恩からすれば一世一代の大勝負的な雰囲気が立ち込めている。先日には、張成沢氏がばっちり写りまくっている金正恩の写真集が発売されたばかりらしいから、我々からすれば如何にも突然の出来事の様に思えるのだが、私の見立てでは春ごろから用意周到に練られた粛清劇ではないかと思っている。微妙な時系列が分からないので何処までの信憑性があるかは不明だが、まあ読んで頂きたい。

多くの専門家は、今回の粛清劇は煙たい後見人や実力者を一気に権力の座から引き降ろし、自らこそが唯一無二の存在だと誇示したいがための行動であったとの評価の様だが、私は少し違う見方をしている。私が考えている運命の分かれ道は下記の記事である。

東亜日報2013年6月13日「『崔竜海政治局長、軍服での習主席面会を拒否された』北朝鮮情報筋が明かす

今回の粛清で概ね、煙たい存在の権力者は一掃できたが、残った中での最大の権力を握ったのは崔竜海人民軍総政治局長である。比較的若いこの軍部の要人は、金正恩の前では比較的人懐っこい態度で接しており、金正恩からすれば口うるさい後見人とは違った気さくな存在だったのだろう。その崔竜海氏が、今年の6月に中国から見放されそうになっている北朝鮮のことを「見捨てないでくれ!」と中国に懇願するために派遣された訳である。崔竜海氏の中国訪問の記事はその当時も少し話題になったし、私も「何故、張成沢ではなく崔竜海なのだろう?」と不思議に思ったことを記憶している。何故なら、張成沢氏は中国との間に太いパイプを持っていたし、中国も張成沢氏が若い金正恩をたしなめてくれることを大いに期待していたから、張成沢氏が中国に派遣されていたら中国ももう少し歓迎してくれたであろう状況だった。しかし、この崔竜海氏は思いっきり中国に冷遇された訳である。記事によれば、「習主席との面会が帰国間際になった理由は、北朝鮮に圧力をかけようという中国側の意図的な行動だったが、崔政治局長が軍服を着ていたことも理由の一つだった」とのことで、軍服はともかく習主席との面会の日程が中国側の意図的なドタキャンで後ろにずれ込んだことを示唆している。ここには大きな駆け引きがあり、「中国側は、崔政治局長が軍服を着て中国関係者に会う姿を誇示することで中朝間の軍事的関係を強調しようという意図があると見た。」とあり、北朝鮮の思惑に対して中国は思いっきり手を払いのけた形である。

この記事の最後にある「当初午後5時10分に予定された崔政治局長の帰国便の離陸は2回延期され、午後9時頃になった。興味深いことに、順安空港で飛行機から降りた時、崔政治局長は軍服姿だった。」からは、崔竜海氏が相当な侮辱を受けて憤慨し、怒り心頭で北朝鮮に戻り、自らのプライドを保つために軍服で北朝鮮に降り立ったことを示している。ここには二つの事実があり、ひとつには金正恩は張成沢氏ではなく敢えて崔竜海氏を中国に派遣したかったこと、もう一つは金正恩と崔竜海氏はこの様な屈辱は「中国+張成沢」の組み合わせがあるが故の結果であると実感したことである。中国もそうだが北朝鮮も名誉を重んじる国だから、国家レベルでの冷遇は「まあ、しゃーない」では済まされない重たい出来事である。この出来事が、金正恩が「中国+張成沢」を忌まわしく思うきっかけとなったはずである。

では、そもそも何故金正恩は張成沢氏ではなく敢えて崔竜海氏を中国に派遣したかであるが、これも張成沢氏の掌の上で中朝関係が進むのを恐れ、いつしか中国が安定的・平和的に金正恩を外しにかかるとすれば、それは金正恩に代わる存在として張成沢氏が北朝鮮国内で実権を握っていることが条件となる。だから、中国とのパイプを張成沢氏から離れたところで確保したかったというのが金正恩の本音だろう。しかし、中国からは非常に辛辣な態度で「No!」を突き返してきたのである。これに崔竜海氏の愚痴(張成沢氏のせいで、北朝鮮が恥をかかされた)が加わり、金正恩は相当な危機感を持ってこの事態を捉えたことは間違いはない。しかし、そうは言っても中国の権威は強大だから、中国が絶好調の時に「No」とは言えないのである。だから、「No」といえるタイミングを金正恩は狙っていたのだと思う。ただ、張成沢氏が実権を握ったままで中国に「No!」などと言えば、中国がどう動きだすか分からないから、「No!」を突きつけるためには「張成沢氏の実権を剥奪した後」で且つ「中国が北朝鮮に手を焼いている暇がない時」という条件がセットで必要になる。このセットは、ほぼ同時に満たす必要がある。

今回の粛清の様にイザとなれば金正恩の鶴の一声で北朝鮮国内の人事は何とかなるから前者は比較的容易に実現可能であるが、問題は後者の方である。中々中国はポカをしてくれないから、後者の「中国が北朝鮮に手を焼いている暇がない時」というのは見つけ難いが、そんな中で中国の防空識別圏の設定が行われた。これは明らかに中国のオウンゴールであり、世界から総スカンを食った形である。張成沢氏の二人の側近の公開処刑は11月下旬ということで、多分、防空識別圏の設定(11/23)の前に公開処刑が行われたのではないかと予想されるが、中国から北朝鮮には防空識別圏の設定の事前通告位はあったかも知れないから、その情報から「下手すれば、中国と日米が戦争になる。少なく見積もっても、北朝鮮に圧力をかける余裕は一時的には無くなるはず」と読んで「今だ!」とばかりに行動(まずはジャブとして、本丸の張成沢氏を避けて彼の腹心に最初に手を出す)を起こしたのではないかと思われる。そして、世界と中国の反応を見定めて、公に張成沢氏の粛清のセレモニーを最近になって行ったのである。

このことから分かるのは、北朝鮮は米韓との対決姿勢は鮮明であるが、中国の支配下から独立するためには中国とも一線を画した関係でありたいと狙っているということである。幸いにも韓国の二股外交は破綻したことが確定的になり、中国とアメリカの板挟みで韓国は動き難い。中国も日米との対決が鮮明になり、北朝鮮としては願ったり叶ったりである。そんな中で張成沢氏を粛清し、中国、韓国、日米がそれぞれテンヤワンヤ状態の間に口うるさい後見人を排除し、一気に核開発&ミサイル搭載を完成させようと考えたのだろう。

まあ、ここまでの読みは素晴らしいところだが、しかし、張成沢氏なき後に緻密な戦略のシナリオライターが控えているとは考えにくい。だから、今回の金正恩の決断は中国の後ろ盾なしに弾けることの金正恩なりの宣言の様なもので、今後は次から次へとこの様な出来事が続くだろう。特に軍部をバックにしたあまり思慮深そうでない崔竜海氏がNo.2となることは、何らかの軍事アクションも十分想定される範囲である。

北朝鮮と韓国はいよいよ、危険水域に入ったと考えるべきであろう。

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