けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

同じニュースが異なって伝えられる不思議

2013-05-27 23:58:20 | 政治
本日、橋下代表が日本外国特派員協会の記者会見に臨み、米軍に風俗を活用すべきと提言した部分に対して謝罪すると共に、これまでの彼の主張を繰り返した。日本でも報道されているが、各マスコミはこの記者会見が今後どのような方向に展開されて行くかを模様眺めしている感じで、特に何らかの反応を示してはいない。今日はこの辺の事情についてコメントしたい。

実は夕方、海外でこの辺の報道がどの様になされているのだろうかと思い検索をかけた。時差的な問題でその時点では海外の報道はReuters(ロイター)のものしか見つからなかった。ちなみにロイターは日本語版も提供されているので下記の二つの記事を見比べてほしい。

Reuters 2013年5月27日「Japan's Mayor Hashimoto denies he meant to excuse wartime brothels
ロイター 2013年5月27日「橋下氏「慰安婦を正当化する意図ない」、風俗活用発言は撤回

英文を読むまでもなく、単純に見比べれば気が付く点があるだろう。文章量の違いである。また、どうも新聞の英語というのは論文などの英語と異なり読み難いところがあり、全体を理解して言っている訳ではないが、英語版の方をさっと目を通した感じでは、淡々と橋下代表の説明を紹介している感じがある。細かな所ではどうか知らないが、大勢としてはそこにはあまり色眼鏡のようなものが感じられない。一方、日本語版の方はどうだろうか?非常に短い記事の中で、細かなニュアンスを全てそぎ落として結論だけ書けば、弁解を繰り返したというニュアンスの記事になる。そこには既に橋下代表の真意は含まれておらず、中途半端に誤ったふりをしただけ・・・というニュアンスが垣間見れる。

ところで、この記者会見に先立ち、「私の認識と見解」というペーパーを出している。この全文は、例えば下記のサイトで見ることが出来る。

毎日新聞2013年5月27日「橋下徹氏:『私の認識と見解』日本語版全文

先ほどのロイターの記事はこの内容に沿って、今日の記者会見の報告を伝えている。非常にフェアな対応と思った。しかし、日本版の記事などはこのご丁寧な「私の認識と見解」などは読み込んでいないようで、これまでの報道内容をベースに紹介をしている。報道ステーションでも今日の記者会見の後の世界各国の記者のコメントを紹介していたが、これが全てかどうかわからないが、事前の「私の認識と見解」や今日の会見内容などを本当に反映しているのか疑わしいものばかりだった。

ちなみに、先ほど記事の検索を行った中では、CNNの記事が引っかかった。

CNN2013年5月27日「Japanese mayor apologizes to U.S. over sex industry suggestion

しかし、驚くことにこの記事は事前の「私の認識と見解」と真逆のことを書いている。例えば、橋下代表が沖縄で風俗の利用を提言したことに謝罪したことを伝える記述に続き、下記の記述を行っている。

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But he didn't back down over comments he made about the Japanese military's use of forced prostitution during World War II.(しかし彼は、第二次世界大戦中の日本軍による強制された売春婦の使用に関する彼のこれまでの発言を撤回することはなかった。)
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これは確かに事実を伝えているが、橋下代表は「日本軍による強制された売春婦の使用」を示す証拠が未だに見つかっていないという事実を撤回していないのであって、慰安婦の女性に多大な苦痛を与え非人道的なことを行っていたことに対して弁解の余地がない、謝罪すると発言し続けている。この意味でも、日本軍の非を認めている点も「撤回していない」ので、明らかに事実を伝えてはいるが、決して真実を伝えてはいない。さらにこの分に続く文章は次の通りである。

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Japanese politician calls wartime sex slaves 'necessary'(日本の政治家が、戦時中の性奴隷の必要性を声高に叫んでいる)
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実はこれは、この日の会見や「私の認識と見解」ではなく、過去の記事の引用なのであるが、今日の記者会見の紹介の脈絡の中で、明らかに過去の記事を書いた時の思い込みをそのまま引用し、今日の記者会見との整合性など確認せずにそのまま発表した形である。なお、このサイトでは映像が埋め込まれているのだが、それは今日の記者会見の映像ではなく、多分、1週間以上前の映像で、そのタイトルは「Mayor: ‘Confort women’ were necessary」である。当初は誤報を受けてのニュースなのだろうが、これだけ英文でのご丁寧なペーパーまでもらってこの報道である。

「何処の誰が言うてんねん!」と突っ込みを入れたくなるようなボケなのだが、それを平気でやっている。ちなみに、この記事を誰が書いたのか調べてみると笑ってしまう。

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CNN's Yoko Wakatsuki reported from Tokyo, and Jethro Mullen reported and wrote from Hong Kong.
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なんだ、日本人と中国(香港)人じゃないか・・・。つまり、橋下代表に失脚して欲しい人たちが、悪意を込めて情報をミスリードしようとしているのだ。これでは誤報は訂正されない。

中国や韓国が情報を捻じ曲げるのは分かるが、日本人が捻じ曲げるというのは困ったものである。例えば「日本が慰安婦を利用したのは決して許されることではない。しかし、アメリカや韓国も同様の経験がある。女性の人権を守るためには、世界各国が過去を直視しなければならない!」と橋下代表が説明すると、「他国がやれば許されるのか!」というステレオタイプの反論が返ってくる。しかし、この文脈の中で「許されない!」と宣言しているのにこの様な返事が返ってくるということは、「絶対こいつは、『他国がやれば日本も許されはず!』と確信しているに違いない!」と思い込んでいることになる。この思い込み、レッテル張りが諸悪の根源なのである。

話は変わるが、例えばある小学校でイジメがあり、その苛めっ子と先生との間で次の二つのケースで会話がなされたとする。その時、あなたはどう思うだろうか?

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【ケース1】
先生「お前のやったイジメは悪いことだ!」
生徒「だって俺だけじゃないよ!○○君だって同じことをしてるじゃないか!」
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【ケース2】
先生「お前のやったイジメは悪いことだ!」
生徒「わかりました。反省します。反省して××君に謝罪します。ただ、○○君も僕と同じ様にイジメをしてるよ!××君を助けるためには、僕だけじゃなくて○○君にも『それはいけないことだよ』と伝えてあげて下さい。」
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このケースで、(1)の場合には誰でも「うるさい、ごちゃごちゃ言うな!素直に罪を認めろ!」と返すだろう。しかし、(2)の場合にも同様に「うるさい!」と言って○○君に対して何も対処せずに放置して良いのだろうか?似たような言い分かもしれないが、ケース2は結構、筋が通っているのである。報道の立場にある者は、是々非々で物事に当たらなければならないが、残念ながらそうはなっていないのである。

ただ、ロイターがそうであったように、正確に内容を把握して報道しようとする人々がいるのも事実だろう。であれば、「何か、おかしくない?」と思う人たちも(アジアにはいなくても)世界にはいるはずである。ひょっとしたら世界の方が議論をしやすいのかも知れない。日本の報道各社がそうであるように、もう少し模様眺めが必要なのかも知れない。

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