けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「とくダネ!」での橋下発言から最重要ポイントを読み解く

2013-05-17 23:58:28 | 政治
昨日の朝のフジテレビの「とくダネ!」に橋下代表が出演し、これまでの橋本発言について真意を語っていた。結局、番組のスタンスはここで橋下代表をコテンパンにやっつけて一旗揚げてやろうという下心が見えていて、議論が噛み合わなかった。しかし、このやり取りを慎重に聞けば、色々と問題点が見えて来るのでその点を整理しておこう。

まず、最重要なポイントはたったひとつであることが分かった。今回の戦(いくさ)は例えて言えば桶狭間の合戦で、織田信長の軍勢は今川軍よりも人数的には圧倒的に劣勢で、勝ち目がないのは明らかである。だから信長は今川義元の首を取ることだけに最大のエネルギーを割き、それ以外のことは捨てて一点突破型の戦を仕掛けた。今回の橋下代表の最大の狙いは何か?それは、たったの「慰安婦を集めるために強制連行の事実はあったのか、なかったのかを白黒ハッキリさせる」ということである。ここでは、「強制連行はなかった」と言っている訳ではない。閣議決定の中でも、「いろいろ調べたが、強制連行を示す証拠は見つからなかった」と日本政府が宣言している以上、日本政府はこの点に自信があるのであろうから、せめてここだけは日韓で色眼鏡で見ないで証拠だけに基づいて真実を明らかにしてくれ、そうすればきっと日本の言われのない侮蔑を振り払うことが出来ると言っているのである。あくまでも、主張としてはニュートラルなことを言っている。勿論、背後には強制連行の事実はないという確信があるのであろうが、その確信を相手に押し付けるのではなく、たった一点である「強制連行の有無」だけを丹念に調べてくれとお願いしているのである。

この様に聞くと、多くの日本人は違和感を感じるだろう。右翼の人達は「裏切られた」と感じるだろう。そんなことに何の意味があるのかと疑問に感じる人もいるだろうが、実はこれが最重要なのである。韓国や中国を相手にすれば、これはどうせ強制連行があろうがなかろうが、歴史カードは圧倒的に都合の良い日本叩きの武器だから、その結果がどう転ぼうとどうでも良い話である。しかし、実は問題は韓国、中国ではないのである。別に日本からすれば、明らかにチンピラの因縁の様な言われ方をしても無視するしかない。しかし、これらの国はアメリカを中心にロビー活動を熱心に行い、「日本とは酷い国だ」という誤解を催眠術の様に植え付けようとしている。これらの国からすれば、慰安婦の有無だけで言えば、本音では自分の国も同様なことをしていて、しかもそれは証拠を簡単にあげることができるのである。だから、そんな日本が酷いとなると、それはブーメランのように自国に戻ってくる。だから、人道的に許されることと許されないことの境界線として、「強制連行があったのか、なかったのか」という条件を設定し、強制連行がなければセーフ、強制連行があればアウトと整理をしたのである。これがフェアであるかどうかはここでは議論せず、あくまでも欧米の基準がそうであるならば、その基準に照らし合わせてセーフならば、それは韓国、中国の歴史カードは極めて限定的で、少なくともアメリカ国内で慰安婦像が建ったり、何処かの議会で変な決議案が可決されるなどということもなくなる。歴史カードを骨抜きにするには、「強制連行がなかった」ということを欧米に認めてもらうしかないのである。勿論、調べてみたら強制連行の証拠が見つかったということになるリスクはあるが、その様にはならないという確信がある程度あれば、勝負のしどころとしては妥当なのである。日本人からすると、強制連行の有無などというのは、それがあろうがなかろうが慰安婦の気持ちは癒されないから意味はないと感じるかも知れないが、欧米基準ではそんなことはないのである。その差は絶大なのである。

だから、これが全てと言えばそれだけである。橋下代表がこれだけケチョンケチョンに言われてブレずに戦えるのは、この一点だけなら勝負に勝てる(つまり、「強制連行の有無を、Factベースで調べてみよう」ないしは「強制連行の証拠はないのではないか?」と考えるようになる動きが欧米に生まれるということ)と信じているからである。

次に、誰もが無意識には気が付いている非常に重要な点を橋下代表は指摘している。これは慰安婦問題を着地させるにあたり、日本政府が慰安婦問題で死守しなければならない点についてである。当たり前のことであるが、戦争を完全に終結させるためには何らかの条約を結ぶ必要がある。例えば、交通事故を起こした後に、加害者は示談書にて「これが最後、これ以上は請求しません」という言質を取らなければ安心していられない。これは加害者側の言い分ではあるが、被害者側も示談書を交わさないと、何処までも青天井で請求したくなるという誘惑に駆られる。両者が、過去の問題に決着をつけ、その先の友好な関係を確立するためには、何処かで「これが最後」という線引きを交わし、それ以上の下心を持たない様に確認しあう必要がある。日本と韓国の間では、日韓基本条約がそれである。しかし、日韓基本条約には「完全かつ最終的に解決」と書かれているのに、後になって「あれも請求できる、これも請求できる」では友好関係を築くことはできない。金銭的な請求権はあの時点で解決し、これ以上の国家間の補償は存在しないことを確認してくれさえすれば、謝罪すべきことを謝罪しても日本は失うものは殆どない。以上、2点が有益な重要な点である。

ここから先はどうでもよい話であるが、折角だから書いておく。まず、橋下代表が犯した最大のミスは何か、である。それは、一点突破で「強制連行の有無」を確認することを問うべき戦いで、色気を出して沖縄の米軍による性的不祥事問題をもパラレルで何とかしたいと色気を出した点である。発想自体は誠意ある行動であるが、論点がボケたために敵に突くべき重箱の隅を大量に提供した形になってしまっている。しかも、「強制連行の有無」の方は極めてシンプルなのに、米軍の問題は解決策がいろいろ考えられる状況である。事件の頻度を減らすための実効的な効果は、確かに風俗を活用すれば減るのであろうが、多くの人が風俗には嫌悪感を抱くのは事実である。政治家も報道関係者も、日本も外国も、全ての人が建前上は合法的な位置づけでありながら、現実には巷には自由恋愛の名のもとに売春行為が氾濫していることを熟知しているし、それに対して声を上げて「けしからん」と言おうとしない。あたかも、「そんなこと、知らない」とブリッ子を決め込みながら、橋下代表が言葉を選んで「合法的な風俗」と言った途端に、「でも、どうせ売春なんでしょ」と物知った大人の顔をする。「だったら、お前が売春が横行している現在の制度の批判しろよ!」と言いたいところだが、そうなると急に身を引いて「アメリカでは、売春行為は法律で禁止されていて、米軍兵は間違っても買春なんてしない!」と開き直る。極めてご都合主義的な勝手な言い草だ。しかし、発言者はご都合主義の建前を語れば語るほど、世間に対して自分が如何に常識人かをアピールできるから、本能的に建前論を崩すことを嫌う。議論を噛み合わせる気がないから、結局堂々巡りになって、堂々巡りの場合には声の大きい反橋下派の勝利の印象を与える。戦いとしてはアンフェアである。

また、もうひとつのミスは、橋下代表が弁護士だからついつい弁護士的な発想で考えてしまうのだろうが、発言を正確に解釈すれば間違ったことを言っていないとしても、テレビや新聞で発言を聞いた人が、必ずしも正確に解釈してくれるとは限らないことに無頓着であったことだろう。「とくダネ!」の中でも、「慰安婦は当時は必要だった」という人が米軍の風俗活用を進言するのだから、どんなに橋下代表が「合法的な風俗」と言っても「売春しかありえない」と決めつけるのは自然な流れである。裁判なら裁判長が「確かに売春とは言っていないね」とジャッジしてくれるだろうが、一般市民はそうは考えてくれない。

今更言ってもおしまいだが、やはり一点突破の戦をするなら、仮に沖縄県民の気道を代弁したかったとしても、そこは心を鬼にして、この一点を突破した後で続きをやるべきだったのだろう。私は「レイプ被害を防ぐためには、その当時は慰安婦は必要であり、実際にその効果は当時の市民にとって有益だった」と感じているが、その当時「慰安婦が必要であったか否か」は、大局的には「強制連行の有無」に比べたら全く問題ではないということである。マスコミの報道は、マスコミ側がその部分を集中的に質問するからその部分の報道が自然と増えてクローズアップされるのだが、「とくダネ!」の中では比較的まとまって発言する機会を与えられていたから、その辺を整理してポイントを理解することが出来た。

(多くのマスコミに叩かれて微修正したこともあるのだろうが)冷静に「とくダネ!」の中で言っていることをかみ砕いて考えれば、本当は橋下代表の発言は極めて韓国、中国に配慮した言葉ばかりである。小泉元総理も中国、韓国にはすこぶる評判が悪いが、A級戦犯を戦争犯罪人と認めていたから、実際にはかなり中国、韓国に寄り添ったアジア重視派だった。マスコミは真実を報道する義務があるが、今回は日頃の朝日新聞社などに対する攻撃に対する鬱憤を晴らすかのような行動なのだろう。それが国益にとってどういう意味を持つかなど考えずに・・・。

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