けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

OSをバージョンアップせよ!

2012-01-12 23:59:28 | 政治
昨年読んだ本の中に、大前研一さんが翻訳したダニエル・ピンク著の「モチベーション3.0」という本がある。

少々乱暴な内容紹介をすると、人間の行動を大きく左右する「モチベーション」の捉え方をコンピュータ用語のOSという言葉で例えるなら、OSのver1.0ではサバイバルが最も主要なモチベーションであり、生き抜くために様々な行動をとっていた。文明が発達し、そのOSがバージョンアップして、賞罰が主要な動機づけとなり、これをOSのver2.0と呼んでいる。成功報酬をニンジンとしてぶら下げれば人々は頑張ると信じて、最近は多くの企業が成果主義を導入してきたが、イマイチ、思ったような効果が上がらず「何故だろう?」と不思議がる人たちが増えているという。最初は日本だけの特殊な現象かと考えたかも知れないが、米国を中心とする多くの実験データが、このOS ver2.0にはどうしても超えられない不備が内在されており、さらなる発展のためにはモチベーションのOSを ver3.0にバージョンアップしなければならないことを示唆しているという。そのOS ver3.0とは内的動機づけであり、報酬を与えるから働きなさいとニンジンの様に外的にぶら下げられる動機ではなく、世の為人の為になっているとか、自分なりの成長などの満足感など、外的には見えないところにある内的な動機が、特にクリエイティブな世界では重要なのだそうだ。

私は、データに基づく論理的な説明が非常に面白いと思ったのであるが、それ以上に、このモチベーション以外にも、様々な分野でこれまで信じられていた「基本原理」というOSを、早期にバーションアップすることが喫緊の課題になっているのではないかと感じた。

例えて見よう。例えば農業の世界はどうなのだろうか?OS ver1.0は何に例えたら良いのか分からないが、OS ver2.0は戦後の農業において、農協を中心とする共同体の中で何をやるにも皆が歩調を合せ、農薬から肥料も共同で購入し、生産された作物も農協を通して販売するという強固な体制の維持が農業の発展に役に立つと信じられてきた。しかし気がつくと若者は農業を離れ、高齢化によりジリ貧状態である。農業だけの専業農家は減り、多くの人は働きながらの兼業農家だ。農業技術が世界最高水準と思っていたら、米の単位面積あたりの収穫量すら米国に太刀打ちできず、収益の効率で比較すれば既に補助金なしではビジネスとしては成り立たない状況である。そんな中でも勝ち残る農家とは、農協を離れ、自らが販売ルートを開拓し、ブランド化された付加価値の高い作物を世界に対して販売し、大きなビジネスとして成り立っている。そこには間違いなくOS ver3.0へのバージョンアップがあったはずだ。

年金にしてもそうだろう。OS ver1.0では「家制度」の中で、家長である高齢者は何も言わなくても子供たちが養ってくれた。戦後「家制度」が崩壊し、OS ver2.0の年金は非常に重要な役割を果たした。団塊の世代が勤労世代であった10年までであれば、働く世代が高齢者世代を養ってもなんとかなったが、我々が年金をもらう時代には、その様なOS ver2.0では生きてはいけない。積立方式や根本的な改革が求められるが、それがOS ver3.0なのかver2.1なのかは分からない。人口の40%以上が60歳以上の時代では、もはや年金で生活していこうなどという時代ではなく、80歳になっても積極的に働ける限り働くという考え方がOS ver3.0なのかも知れない。低賃金の労働力を中国やアジア諸国に求めるのではなく、65歳以上でリタイヤした世代に対し、時給600円程度で1日6時間程度の労働を求め、極端な話、国が大規模な派遣ビジネスを全国レベルで展開するイメージである。少々、というより大分無理がある話であるが、例えて言えば労働力の「ニューディール政策」(国内での囲い込み)とでも言おうか・・・。

この様に考えていくと、究極のOSバージョンアップはエネルギー政策であろう。途中をすっとばして言えば、エネルギー政策は既に一国の問題ではないのだろうから、例えば世界共通のインフラ設備を開発して宇宙空間での24時間大規模太陽光発電を行い、宇宙から地上にマイクロ波送電を行い、世界中の砂漠や広大な荒野に沢山の半径数キロの大規模受電設備を設け、そこを起点に高温超伝導体を利用した直流のロスレス電力伝送で世界中に無料で電力を提供するといった超大規模プロジェクトを、30年後を目標に進めるのである。米国、欧州、日本でこのプロジェクトを成功させ、ほぼ無料で世界中に電力を供給すれば、もはやこの世界共同体を抜きにして生きていくことはできない。一方で、中国やロシアなど単独では、これだけ大規模且つ高度なプロジェクトは立ち上げられないだろうから、タダで電力を供給してもらう側に甘んじなければならない。これほど強烈な戦略物資はないから、核兵器以上の強力な抑止力にすらなるかも知れない。これがエネルギー政策OS ver5.0ぐらいであろう。

いろいろ書いたが、思考実験的に色々考えれば面白いアイデアが出てくるかも知れない。如何だろうか?

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