西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

「第九」の歌詞

2016-02-07 10:30:11 | 音楽一般
昨年暮れには、毎年のことだが、ベートーベンの第9交響曲が各地で歌われた。私も口ずさんで歌いたいところだが、ただ文字を読んでいるようなことはしたくない。ドイツ語の構造を知り、語彙を知り、それで和訳のようになるんだ、と理解しながら歌いたいものだ。といっても合唱団に入り歌おうなどとは考えていない。全然自信ない。ただベートーベンが曲を付けた歌詞を理解して口ずさめればいいといったところ。

ドイツ語は、結構カタカナ書きを読んでも相手に通じるなどと言う。しかしやはり細かいところ、日本語にはない口構えでないと正確に発音できないものなどはある。大学でドイツ語を第2、(第3と言うべきか)外国語として、初級、上級を取った私はこの2ヶ月ほどドイツ語の再勉強に乗り出した。大学で学ぶ前にも、ラジオ講座などで勉強していたが、ほとんど身についたとは言えなかった。大学に入ってからは、その後も文法書を結構専門的なのを3冊手元に置き勉強した。そしてそれらの本を使い再度取り組み始めた。

語学の勉強では、語形変化、特に動詞の変化(Konjugation)を覚えなくてはならないが、すっきりわかりやすく教えてくれる本は残念ながらない。自分なりにそれを組み立てることから始めた。動詞変化では、口調上のeというのが入ったり、あるいはやはり口調の関係で綴りが省略されることがある。私はどういう時にそういうことが起こるか、それを知りたく思い、(もちろん文法書にはそれは書いてあるが)どんなふうに動詞を分類したらいいかなどと考え、自分なりに整理してみた。

第9の歌詞は、ドイツの詩人・劇作家のシラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller)によるものである。4人の独唱者、および4部合唱により歌われるが、その前にベートーベン自身による、

O Freunde, nicht diese Töne!
Sondern laßt uns angenehmere
anstimmen und freudenvollere.

という歌詞がある。

FreundeはFreund(英語のfriend)の複数形。

 *英語とドイツ語は同じゲルマン語派、特にその中の西ゲルマン語派という同じ系統の言語になり、同じ源から出る単語が、当然ながら数多くある。そのような語にはそれに当たる英語を書いてみたい。

nicht(英 not)は否定語「~ない」で、sondern「~(なく)て」とここでは組になって使われている。

その前のTöneはTon(英 tone)の複数形。「音」であるが、ここでは「音調・ふし・メロディー」となる。

 *同系の英語の表示、語の和訳は「最新コンサイス独和辞典」(三省堂)による。ずっと以前に買い、愛着のある辞典。今もっといろいろ辞典は出ているだろうが、書店で見ればいいのだが、購入することもないだろうから、見ていない。もう一冊手元にある「木村・相良 独和辞典 新訂」(博友社)を参照することもある。

laßt uns はlet usに当たる。laßtは、不定詞はlassen(英 let)で「~するにまかせる・~させる」の「話法の助動詞」の命令法の複数2人称である。直説法の複数2人称も同形だが、ここは命令法になる。angenehmereとfreudenvollereにある-erは形容詞に付いて「よりいっそう~な(比較級)」の意で、英語の比較級を作る語尾(-er)と同じ。angenehmは「快い・愉快な」の形容詞。freudenvollは私の辞書には出ていず、freudevollなら「喜びに満ちた」の形容詞とある。もちろん同じことなのだろうが、なぜ辞書にないのか? Freudeは「喜び」でjoyと訳されている。英語に同語源はない。このFreudeはこの後にも出てくる、大切な第9のテーマと言っていいだろう。vollは英語のfullと同語源で「いっぱいの・みちた」の意の形容詞。anstimmenは「歌い始める」の意。

最初に書いたように、自分の勉強・理解のため書いている。これでいいのだろうと思うけど、と言ったところ。もしお読みになっている人で何か参考になることがあれば嬉しいし、また浅学ゆえに間違いがあればお教えいただければと思っています。ドイツ語大家のN氏(いやM氏と言うべきか)、何かご助言あったらいただければと思います。

まだシラーの詩には入ってなかった。

(続く)

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