西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

シューベルト 「セレナーデ」(続)

2016-03-03 17:41:23 | 音楽一般
Hörst die Nachtigallen schlagen?
Ach! sie flehen dich,
Mit der Töne süßen Klagen
Flehen sie für mich.

Hörst die Nachtigallen schlagen?
Ach! sie flehen dich,

Hörstはhören(英 hear、意味は「聞く・聞こえる」)の単数2人称現在形です。その後に主語のduが省略されています。疑問符があり疑問文です。Nachtigallは英語のnightingaleと同語源で意味は「サヨナキドリ」、ここはその複数4格です。schlagenは、ここでは自動詞で「さえずる・鳴く」の意で、不定詞です。sieは複数3人称の代名詞でここはもちろんdie Nachtigallenを指しています。flehenはここでは他動詞で使われていて「~に懇願(嘆願)する」です。dichはdu(「君」)の4格です。

Mit der Töne süßen Klagen
Flehen sie für mich.

der Töneは「第9」で出てきました。Ton(「調子・音調・メロディー」)の複数2格形です。süßen Klagenはsüß(「甘い」)、Klage(「悲嘆・・悲しみ・悲しみ(苦しみ)のうめき[声]」)の複数3格形です。mitは「~と・~で・~を持って」の意の3格支配の前置詞です。次のflehenは自動詞(「懇願(嘆願)する」)で使われています。fürは英語のforと同語源の4格支配の前置詞です。意味は「~のために・~の味方で[代理で]」です。

Sie verstehn des Busens Sehnen,
Kennen Liebesschmerz,
Rühren mit den Silbertönen
Jedes weiche Herz.

ここは主語Sie(=die Nachtigallen)の動詞が3つ続きます。
verstehnは辞書にある形はverstehen(「理解する」の意)です。弱音節のeは頻繁に略されるようです。アポストロフが置かれるかと思いますが、これも略されるようです。Busenは英語のbosomと同語源で、「胸(とくに女の)・心・心の中」と辞書に意味が出ています。Sehnenは元は動詞sehnen(「あこがれる・慕う」の意)で、そのまま名詞化され使われています。この動詞の名詞はSehnsuchtで「あこがれ・憧憬」の意となり、ベートーベンはこのタイトルの2人の詩人(ゲーテとライシッヒ)の詩にそれぞれ1810年と15年に作曲しています。
2つ目の動詞は、kennenで「知っている」です。Liebesschmerzは辞書にありません。Liebeは英語のloveと同語源で「愛」です。Schmerzは「苦痛・苦悩」です。
3つ目の他動詞rührenは英語のtouchに訳され、「動かす・感動させる」の意です。Silbertöneはもちろん辞書にありません。Silber(英 silber)は「銀」です。動詞の目的語はJedes(元はjeder(「おのおのの・すべての」)で不定代名詞) weich(「柔和な・思いやりのある」)Herz(「心」)です。

(続く)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿