『地球防衛軍』(1957年/東宝)
1957年8月、突如として宇宙人
が日本に空飛ぶ円盤でやって
来て、無線捜査の巨大ロボッ
トで富士の裾野にある町を蹂
躙した。
警察と防衛隊(自衛隊は1954
年発足)は世界的科学者を先
頭に調査に乗り出す。
ストーリーとは関係ないとこ
ろに着目。この防衛隊が所持
しているM1カービンはどう
見ても実銃。弾倉は装着して
いないが。
この保安隊のような制服の警
官の拳銃もどう見ても実銃。
当時は映画で実銃が使用され
るのは普通だった。警察も撮
影に協力して実銃拳銃を貸し
出したりしていた。
この拳銃もどう見ても実銃。
ミリポリだろう。
巨大ロボットが暴れるので、
防衛隊が防衛出動した。
どう見ても本職。自衛隊の
全面協力だろう。バーやガ
ーランドまで持ってる。
こら、本物だべ。
この時代、カートキャッチャー
などは着けない。バンバコ撃っ
てる。薬莢がピュンピュン飛ん
でる。ジャムった人もいて、手
動で排莢させて即射撃。
機関銃まで撃ちまくり。ベル
ト弾倉を見ると、空砲ではな
くどうやら実包を射撃してい
るようだ。
ボカスカ連射。反動がかなり
ある。
こんなのまで撃ってる。
対戦車砲は、後ろにいると死
にますよ、というのがよく分
かる例。
映画でハンドロケットランチ
ャーを機内や屋内で撃つシー
ンがありますが、撃った本人
が死んじゃいます。このよう
になるのだから。大体半径18
メートル以上離れないと死ぬ。
こんなのまで使ってる。
もう完全に自衛隊全面協力。
富士総合演習を撮影させて
もらったのかも知れない。
モノホン丸出し。
橋を爆破してどうにかようや
く巨大ロボットを倒すことが
できた。
陸上自衛隊、いや、防衛隊強し。
科学者が月から発進して来る
コスモクラフトを発見。全世
界が騒然となる。
宇宙人は翻訳機を使い、日本
人に呼びかけた。危害は加え
ない。ただ、半径3キロメー
トルの土地をくれ、と。
そして、自分らの子孫の生存
のために日本人の女性との結
婚の自由を認めろと。われら
には差別も貧困もない、と。
だが、地球人たちは、各国首
脳が東京に集結し、一致団結、
地球防衛軍を組織して、武力
で宇宙人を撃退することを決
定する。
ここらあたりまでが面白か
った。
1957年当時にあっては、世
界的にも最先端のSF作品作
りの真骨頂という感じ。
この後がただの特撮ドンパチ
になってなんともいけない。
最後にはまるで映画『マタン
ゴ』みたいな展開になってし
まうが、かろうじて母船の中
に侵入した科学者が宇宙船を
破壊する。また、地球防衛軍
の新兵器電磁波砲により母船
を加熱させる。
宇宙人は高温に弱かったから
だ。
同時に空からはサンダーバー
ド1号のような形の垂直離陸
ロケットが新兵器の砲を搭載
して飛行するエイリアンクラ
フトを撃墜して行く。
エイリアンという言葉はまだ
この時代には登場していない
ので、作品ではミステリアン
と呼んでいる。
やがて、母船を破壊されたミ
ステリアンたちは、小型スペ
ースクラフトで編隊を組んで
宇宙ステーションへと逃げて
行くのだった。
というオハナシ。
途中までは結構ほんとに面白
かった。
地球防衛軍が戦う段階になっ
てから突然なんだかストーリ
ーも幼稚になってしまった、
ちょい残念な作品。
しかし、昭和32年(1957年)
という時代を考えると上出来
だろう。
ロズウェル事件から10年後。
時代はアメリカはロックンロ
ールのロカビリー時代だ。
この映画でも若き優秀な科学
者が髪型をモロにリーゼント
にしている。
サイドバックで軍艦頭のリー
ゼント。
サイドはポマードでてっかて
か(笑)。
当時最先端のスタイルだった。
この映画作品、なかなか面白
く観ることができました。
当時の世情や風俗を知る上で
も面白い。
私が生まれる前の映画。