
先日,内田康夫の『砂冥宮』(すなめいきゆう)を読みました。
宣伝の粗筋では、
鏡花「草迷宮」のモデルになった三浦半島の旧家で、
浅見光彦が取材をした老人は「金沢へ行く」と言い残して数日後、
死体となって発見された。浅見は死の真相に近づくため、金沢に向かうが…。
浅見光彦シリーズ書き下ろし。

プロローグ
第一章 お旅まつりの夜
第二章 鉄板道路
第三章 砂の記憶
第四章 庄川峡へ
第五章 迷宮への道程
第六章 4番目の男
エピローグ

この「砂冥宮」の前は,京都を舞台にして京都新聞に連載された
「壺霊」がありました。
壺霊(これい)
忽然と消えた老舗骨董店の若夫人と、
貴重な高麗青磁の壷。錦繍の古都にその行方を追う浅見光彦の前に、
20年前の祇園祭を脅かした「事件」と、寂光院放火の謎が…。
源氏物語千年紀に贈る文芸ミステリー。
… … …
内田康夫作品に登場する「浅見光彦」は
次の作品から登場します。
「後鳥羽伝説殺人事件」
広島県の三次駅で女性の死体が発見された。
被害者は後鳥羽法皇にまつわる伝説のルートを旅していた正法寺美也子。
捜査は難航するが、8年前に彼女が遭った同じ事故で命を落とした
浅見祐子の兄・浅見光彦が捜査協力を申し出…。
2月10日は浅見光彦の誕生日です。
『後鳥羽伝説殺人事件』が名探偵として
浅見光彦のデビュー作品の出版日らしいのです。
西村京太郎の旅情ミステリーと同じく,
この作品から日本のあちらこちらへ事件の解決に出発します。
『後鳥羽伝説殺人事件』に登場した浅見光彦は33歳でした…。
最近の『砂冥宮』まで100以上の作品で27年経っていますから,
実際の年齢は…。
… … …
子供のころ横山隆一の『フクチャン』の4コマ漫画で
活躍した大学帽を被った「フクチャン」が歳をとらないのが
不思議に思ったことがありました。
… … …
推理小説に限らず読者からすれば、作者が考案したヒーロー,ヒロインは
何年経っても年をとってもらいたくありません。
… … …
浅見光彦は優しい若者です。旅情ミステリーの旅先で,
美女からモーションをかけられますが、
持ち前の気の弱さからかそれとなく逃げます。
20数年独身を貫きますから、歳を取りません。
作者の内田康夫が、次の作品にどのように浅見光彦を登場させるのかが、
楽しみです…。
… … …
テレビ時代劇「水戸黄門」最後の「この印籠が目に入らないか…」や
遠山の金さんがもろ肌脱いで「この桜吹雪に覚えがあろう…」と、
毎度、同じパターンはいつ見ても,心地よいものです。
批評家が「心地よいマンネリ」と言いました…。
浅見光彦の登場と事件解決にも、パターンを感じるときもあります。
私には心地よいものです…。
