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彼は早稲田で死んだ 追記1~4

2021-11-29 09:21:20 | ③好きな歌と句と詩とことばと
長くなってしまったので、追記を分けます。

追記1
この本の中に懐かしい名前を見つけた。
作者は非暴力で革マル派に対抗するため、全学部の学生数千人を結集
させる学生大会を計画する。
その前夜、「臨時執行部」の候補者を決めるための会合があった。
候補者の中に民青系の人たちがいて、作者は革マル派の妨害を怖れて
立候補を取り下げるよう彼らに要請する。
その中の一人が小此鬼(おこのぎ)則子さんだ。
作者は小此鬼さんの言葉を次のように書いている。

 「私も立候補は辞退します。でも、こんなことは本来、あってはならない
  こと。誰にでも立候補の権利はあるはずです。自治会の未来に
  禍根(かこん)を残すことを心配しています」

 川口君の事件が起きる以前に、私は文学部キャンパスで彼女が革マル派に
 取り囲まれても、一歩も引かず、理路整然と反論している姿をみかけた
 ことがあった。小此鬼さんの発言は的を射ていただけに、その言葉は
 私の胸の奥に棘(とげ)のように刺さった。
 小此鬼さんは後に児童文学編集者として多くの仕事をしたが、
 病のため五三歳で逝去した。
 あの集会での彼女の発言を、民主主義とは何かを考えるときに
 今も思い出す」                 (引用ここまで)

小此鬼さんと私は、一年生の時に1Mで同じクラスだった。
そしてたまたま入ったサークル・WTC(早大テニスクラブ)でも
一緒だった。
常に人を包み込むようなやわらかい笑顔が印象的な人だ。
美人で運動神経がよく、どこでも憧れの的だった。
1年生の時には彼女の家に泊まりに行ったりもしたが、2年生になり
私が演劇にのめり込むようになってからは疎遠になってしまった。
一度電話があり「文学部に入れなくなってしまったのよ」と話していたが、
留年せざるを得なくなったようだ。
その後、クラスメートの林太郎君と結婚したことまでは知っていた。
1年前に彼女の名前を検索したところ、小此鬼さんも林君も亡くなっていた。

樋田さんの文章から小此鬼さんの凛とした佇まいや、スコートを穿き
日焼けした小此鬼さん、手紙の最後に必ずある「鬼」の印、
そして涼やかな声を思い出した。

追記2
この作品は「第53回大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞しました。
おめでとうございます。
(2022年5月14日 記)

追記3
樋田毅(ひだつよし)著『彼は早稲田で死んだ 
大学構内リンチ殺人事件の永遠』が原案の映画が製作されたそうです。
代島治彦監督、『ゲバルトの杜~彼は早稲田で死んだ~』
金平茂紀さんはフェイスブックに、「時代の狂気のせいにしてはならない
今につながるテーマだ」と書いています。
一般公開は2024年5月中旬です。
私は映画館には行けないので、DVD化されるのをひたすら待ちます。
(2024年2月9日 記)

追記4
2024年5月24日の朝日新聞の夕刊に、この映画の記事が載っていた。
公開は25日から東京・渋谷のユーロスペースで、その後各地で順次
公開されるそうです。
公式サイトは保護されていないみたい(?)なので、YouTubeを載せます。

①『ゲバルトの杜 ~彼は早稲田で死んだ~』本予告編/5月25日㊏より
  ユーロスペース他全国順次公開
         ↓
https://www.youtube.com/watch?v=5mpXoHv79-E&t=6s

②5月25日㊏~公開『ゲバルトの杜 ~彼は早稲田で死んだ~』代島治彦監督、
 鴻上尚史、20代出演者座談会
      ↓
https://www.youtube.com/watch?v=L0efPGLlWTI&t=21s

③ポリタスTV『彼は早稲田で死んだ』と統一教会|
 『彼は早稲田で死んだ』『記者襲撃』の著者・樋田毅さんを迎え、
 今だから語れる取材秘話、「銃撃事・・・」
          ↓
https://www.youtube.com/watch?v=MDxYXmc1Z4o

④Air Revolution 鴻上尚史氏出演!『学生運動とはなんだったのか?』
 (2024年5月23日生放送)
               ↓
https://www.youtube.com/watch?v=OFmrzuDm-Xo
(2024年5月24日 記)
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