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【高校数学のツボ】 商の微分公式。

2012-11-29 20:07:03 | mathematics
2つの微分可能な関数の商として定義される関数の微分可能性と導関数は,微分可能性の定義にしたがって平均変化率の極限を考えれば同時に得られる。

ここでは,そうした真正面からの議論を展開ではなく,商の微分公式以外の強力な知識を前提としてからめ手で商の微分公式を導いてみる。(ここに述べることの一部は4ヵ月前に書いたことがある。)


1. 1/x の導関数+積の微分公式+合成関数の微分公式

まず,1/x の導関数が -1/x2 であることと合成関数の微分公式を組み合わせて 1/g(x) の導関数が -g ' (x)/g(x)2 であることを導く。

その後,f(x)/g(x) を f(x) と 1/g(x) の積とみなして積の微分公式を適用する。


2. 積の微分公式+商が微分可能であると仮定する

h(x)=f(x)/g(x) とおく。h(x) が微分可能であることはなんらかの方法で示す必要があるが,もしそれがわかっていたとすると,分母を払って

f(x)=h(x)g(x)

とし,この両辺を微分すれば,右辺は積の微分公式により

f ' (x)=h ' (x)g(x)+h(x)g ' (x)

となるので,この式を h ' (x) について解けば

h ' (x)g(x)=f ' (x)-h(x)g ' (x)={f ' (x)g(x)-f(x)g ' (x)}/g(x)

を経て

h ' (x)={f ' (x)g(x)-f(x)g ' (x)}/g(x)2

に到達する。


3. 差の微分公式+合成関数の微分公式+指数関数と対数関数の導関数

h(x) は正の値のみを取る関数とする。

h(x)=elog h(x) なので,

log h(x) が微分可能ならば

合成関数 elog h(x) も微分可能であり,

したがって h(x) も微分可能であることになる。

f(x),g(x) は共に正の値のみを取る関数として,h(x)=f(x)/g(x) とおくと,

log h(x)=log f(x)-log g(x)

であるが,f(x) と g(x) が微分可能であれば,

合成関数 log f(x) と log g(x) は微分可能であり,

これらの差 log f(x)-log g(x) も微分可能である。

よって h(x) も微分可能であり,

(log h(x)) ' =f ' (x)/f(x)-g ' (x)/g(x)

であって,左辺は h ' (x)/h(x) に等しいから,最終的に両辺に h(x) をかけることにより商の微分公式が得られる。
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