身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

失われていく種の多様性

2018年04月29日 12時22分19秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
植物や地面の少ないことが原因で起こるヒート・アイランドという都市や市街地特有の環境問題。
その解決策として期待されるのは、やはり緑化なのですけれども、緑化をしたからといって元の緑が戻ってくるわけではないのです。
そこに生育する様々な木々や草花などの植物から緑が構成されているのに、緑化がそれらと同じ植物で行われるわけではないからです。

元の緑を戻す方法が全くないわけではありません。
植物の移植や、植生移植という土ごと移植する方法、土に種子が埋まっていることを見込んで行なう表土移植、そしてその地域に生育している植物の種子を集めて育て植える方法など、いろいろとやり方はあるものなのです。

小さな野の草花を含めて元々あった緑を守るために、そこまで行なうケースは少ないようです。
今回の写真の場所でも、元々生育していた自然の植物たちは守られませんでした。
しかしながら、それをやっていかないと種の多様性が失われ、私たちの身近から次々と生きものたちが絶滅していくということに留意すべきではないでしょうか。


緑はそこに生育する様々な植物たちから構成されています。
・和紙の原料の一つで、初夏に橙色の綺麗な実を成らせるコウゾ
・秋になると青黒い実を成らせるツル性植物のアオツヅラフジ
・マメ科の植物で、赤い鞘から黒い豆が目玉のように飛び出る様子のかわいいトキリマメ
・長いツルを伸ばし秋に赤い実をつけるサルトリイバラ
・日本の美しい果実という意味の学名が付けられているムラサキシキブ


上の写真と同じ場所の現在。
生育地の土手が崩れる恐れがあるということで、土手に生育していた植物は一掃されました。
緑化ブロック工法(緑化用のブロックに植物を植える緑化工法)によって緑化は行われましたが、使用されたのはサツキでした。

以前の記事に書いたことの繰り返しになりますが、自然は元々、小川や池、雑木林や草っぱらなど、町なかの色々なところにもありました。
これらは元々、一まとまりの里山と呼ばれる環境で、人が自然と共存してきた場所でした。
しかし都市化、市街地化がさらに進んで行くにつれて、こうした身近な自然や生きものたちは姿を消していきました。
町に住む私たちがすっかり忘れてしまい、振り返えろうともしなくなってしまったこと。
それは自然の営みに対する畏敬の念と、自然の恵みへの感謝、そして、そこに生きる限りある生命を持った生きものたちへの優しい眼差しです。

私たち一人一人の心にそうしたものを取りもどしていこうとする意志がなければ、温暖化とか緑の減少、生きものたちの絶滅といったことに改善策を立ててもどうにもならない気がします。



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緑化と花壇づくりの違い

2018年04月28日 08時00分29秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
緑化は緑のないところ、緑の必要なところに緑を定着させるために行ないます。
緑とは植物すなわち木や草花のことで、木や草を植えたり、種子を吹き付けたりするのです。
定着させることによって様々な効果を得ることが目的なので、枯れてしまって定着させられなかったら、その緑化は失敗。適切な緑化ではなかったということになり、経費が無駄になってしまいます。
この場合、補償として植え替えが行われることがあります。

緑化によって得られる様々な効果は、今私の頭に思い浮かぶだけでも次のとおりで、これらがそれぞれ緑化の目的となります。
これらの目的からも、緑すなわち植物が様々な機能を持っているということがわかるでしょう。

・緑の景観の形成
・緑陰の形成、緑陰による夏場の暑さの軽減
・根による土壌流出防止
・窓などの外側に植えることによる目隠し機能
・防音防風防塵(音や風、埃の飛散を和らげる)
・小鳥や昆虫たちを呼び寄せることによる生きものたちの賑わいの形成
・剪定や雑草むしりなどによる植物や土とのふれあい
・緑化に使用される植物の種類によっては花も咲かせますから花も楽しめます

私は花を否定するわけではありません。
個人的にはチューリップも好きですし、育てています。
けれども、植物によって得られる重要な機能の多くは花ではなく、緑の葉を中心に幹や枝、また根など植物全体によって得られるということが重要な着目点となります。
その機能とは主に実用的な環境調節機能です。

一方、花壇は、植え替えが前提となっています。
花壇に使用される花の多くは一年草であり、多年草であっても花を咲かせた翌年は綺麗に花を咲かせてくれないので、季節ごと一年ごとに植え替えが必要となるからです。
花壇の草花は基本使い捨てなのです。
苗や球根の値段はバカになりませんから、花壇を続ける限り多額の経費をかけ続けなければなりません。
花を育てることはガーデニングとして市民権を得ていますが、彩り鮮やかな景観の形成が大きな目的であり、植物の持つ様々な機能を求めるものではありません。

・花による彩り鮮やかな景観の形成
・植え替え作業、雑草むしり、枯葉や花殻の除去作業による植物や土とのふれあい
・根による土壌流出防止(効果としてはあるが、それ自体を目的としてはいない。年に1~2回植え替えをするので、その点では効果は弱い。)
(・セイヨウミツバチの吸蜜による蜂蜜の生産)・・・花壇では花以外の生きものを排除するケースが多いので()付けとしました。

緑化の緑と比べると花壇の効果や目的は限定されていることを考えると、花壇は花の少ない緑化の緑に彩りを添えるくらいの程度で行なうのがベストというのが私の考えです。
工法的な技術で、花で緑化のような効果を引き出すにしても限度がありますし、何より経費がかかります。
また環境問題は現代社会の大きな問題となっており、その改善は重要な課題。向き合う必要があります。
その場合、改善策として期待されるのは花壇というよりも緑化であり、緑の回復であると考えます。

まとめると
⓵目的、効果、機能
⓶経費(対費用効果)
⓷環境問題
の三つを総合的に考えて、広い面積で花壇を何年も継続するのは、いかがなものかと思います。


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「里山ガーデン」には考えさせられます

2018年04月27日 22時47分52秒 | 篠原園地
「里山ガーデン」には本当に考えさせられます。
どうしてこんなことが「良い」こととして進められているのかが、理解困難なのです。

緑、自然環境の保全というのは大切な課題で、緑の変遷や現状、将来のあるべき姿など、十分に議論を重ねた上で実施していく必要があります。
「里山ガーデン」(及び「里山ガーデン」的な緑化)は、このような手順を経て実施されているとは感じられないのです。
ですが、行政内にも優秀な人はたくさんいるはずですから、疑問を投げかける人、間違った点を指摘する人もいかたと思われます。
すると市役所内も何かどこかがおかしいのではないか。そうした賢明な意見を無視したり、そういう意見を持つ人を排除したりと、力関係でねじ伏せて進めているのではないかとも想像してしまいます。

繰り返しになりますが重要な課題ですので、有識者、環境問題や自然環境保全に明るい人などによる議論を重ねる必要があるかと思います。
市を上げてやっていることに反論をするのは少々勇気のいることではありますが、私も自然環境保全に関わる人間として、自分なりの考えをここで少しずつ述べさせていただきたいと思います。
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古い資料ですが、緑の減少がなぜ問題なのか、なぜ緑が大切なのかは、今になっても変わらないと思います。

2018年04月26日 11時44分12秒 | その他
25年くらい前、港北区(港北区役所)から「港北区の自然とわたくしたち」という本が出版されました。
その際、執筆者を募集しており、当時から環境問題や自然環境保全に関心を持っていた私は、それに応募することとしました。
私はそれ以来、港北区また横浜市の行政とも関わりながら、自然環境保全関連のボランティア活動を始めるようになったのです。

15年ほど前には港北グリーンプログラムという施策がありました。
その委員となる人材を募集していたため、それにも応募し参加しました。
初年度では港北区の自然をいかにして保全していくかの議論が月1回のペースで行われ、次年度は区内各地の現地で「港北 水と緑の学校」を行なうことになりました。
私は篠原池の自然観察及び砂田川の自然観察を担当しました。

このころ同時に、港北区庁舎の屋上緑化をすることも決定され、港北グリーンプログラムの一環として行なわれるとのことでした。
グリーンプログラムと同様、委員会のような形式で参加者を募り、どのような緑化にするか計画段階から議論が行われました。
私はこの時、屋上に小屋があることに着目、その屋根から雨どいを引いて、小さな池のビオトープを設置することを提案しました。
また、港北区の緑が減少しているのは、ただ緑が減少しているというだけでなく、自然の樹木や野草の種類が減少しているということ。
だから地域に昔から生育している植物を保護していくことも必要なのではないかと提案していました。
それは屋上緑化がグリーンプログラムの一環として位置づけられており、しかもグリーンプログラムの委員でもあったという立場からの提案でもありました。

グリーンプログラムの次年度の施策が終了し、屋上緑化も完成して間もなく、港北区の緑被率の現状の付いて発表する機会があり、その時の投影したものが今回の記事の内容です。


👆港北区では(もちろん横浜市全体がそうですが)年々緑(緑被率)が減少しています。

👆どうして緑の減少は問題となるのかをまとめました。

👆平成9年の港北区の緑被率は31.8%。公園と農地を合わせても4.71%。残りの27.09%は・・・?

👆港北区の緑のほとんどは民地によって確保されているのです。

👆こうした緑の推移と現状から導き出される課題は、このような内容と考えられました。

👆始めになぜ緑の減少が問題なのかをまとめたので、最後になぜ緑が大切なのかをまとめました。

👆緑つまり木々や草花たちの生物多様性の一例です。緑はこのようにいろいろな自然の木々や草花によって構成されています。
緑の減少とは、こうした野生植物が、その生育地・生育環境もろとも消失させられることを意味しているのです。
また、そこには昆虫や野鳥もいるものです。そうした生きものたちの生息場所も奪うこととなります。

👆よって、緑化に際しては園芸植物のみならず、元々その地に生育していた草花や木々の生育を回復させることも重要なのでは・・・?
ということで、屋上緑地でのビオトープを例に挙げました。

その後、8年くらい前でしょうか。
横浜市から委員として選ばれ、横浜市の自然環境保全を今後いかに進めていくかの議論に参加する機会がありました。
そこでも、ビオトープすなわち生物生息環境の保全が大きな課題となっていました。

あれから何年も経ちましたが、横浜市の自然環境保全施策は、いったいどうなってしまったのでしょう。
こうした議論というのは大事です。
真剣に考えなくてはいけない内容だと思います。
里山ガーデンの事例に見られる方法は、環境問題を改善しようと思慮深く行なわれているようには見えないのですが・・・。

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本当に守られるべき横浜の自然 横浜エコ・シティ構想とグリーン・ネットワーク

2018年04月25日 10時25分46秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
横浜市は、原産地が外国の園芸草花で花壇を作り、それを自然(自然環境)と位置付けてグリーンネックレスとして繋ぎ、自然環境保全施策としてガーデン・シティ横浜を推進していくとしています。


横浜市は園芸植物を植えた花壇を自然と位置づけ、グリーン・ネックレスと名付けて、ガーデン・シティ横浜を推進しようとしています。

「里山ガーデン」の事例に見るように、本当の意味での野の花たちは花のうちに数えられず、森も花壇づくりのために切り開かれていってしまうのでしょうか。また、自然の植物も園芸植物も区別なく、自然に植物が生えているところに植えられていってしまうのでしょうか。
私は、これから横浜の自然が、木々が、野の花たちがどうなっていってしまうのか、森に棲む小動物のような気持ちになっています。
これからどうなっていくのかが、とても不安で、森の仲間たちと肩を寄せ合いたいような気持ちでいるのです。

園芸植物を植えて作られた花壇は、決して自然ではありません。緑化としても横浜元来の自然環境に調和しているものとは言えません。
横浜市がかつて目指していたはずなのは横浜エコ・シティでした。
その中でグリーン・ネットワーク(緑の回廊)は、郷土の森の樹種や草花によるもので、人ばかりでなく野鳥や昆虫などの通り道にもなるというものでした。
現都筑区や緑区などで見られるこうした事例こそ推進していくべき内容だと考えるのですが、横浜市はどうしてこうした素晴らしい構想を捨ててしまったのでしょう。
大変残念でなりません。


かつて横浜市は横浜エコ・シティ構想を持っていました。
その事例の一つが都筑区で見られる街づくりです。
こちらの方を目指すべきだと私は考えるのです。
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緑とお花とはちがいます

2018年04月24日 16時03分09秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
緑化は緑のないところ、緑の必要なところに緑すなわち植物を定着させるために行なわれます。
植え替えは定着させることができなかった場合に補償として行なわれます。
植物を定着させられない緑化は適切な緑化(良い緑化)とは言えず、緑化の失敗を意味します。

これに対し、花壇づくりは植え替えを前提として行なわれます。
なぜならある花というのは基本的に種類によって季節限定のもの。そして多くが一年草だからです。
そのため、苗は使い捨て。根があるために切り花よりは長く生育してはいますが、緑化の緑と比べたら、その命の短さは切り花のようなものです。
苗や球根の費用はバカにならず、毎年また年中植え替えを行なっていたら、多額の経費がかかるはずです。

緑とお花、緑化と花壇づくりとはちがいます。混同ぜずに明確に分けて考えないといけないと思います。
緑を定着させようというのではなく、使い捨ての花を広い面積に大量に植えること。・・・入場料等を徴収する民間企業のアミューズメントパークなどなら理解はできるのですが、市として多くの税金を投入して行なうことには、疑問を感じずにはいられません。
決して使い捨てでではない緑化を中心に行い、花壇づくりはそれに花を添える程度の必要最小限に抑えてほしいと個人的には考えます。
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「里山ガーデン」と里山

2018年04月23日 16時57分16秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと


これは緑区で公開されている「里山ガーデン」内にある谷戸のエリアに設置された説明パネルです。
「里山ガーデン」と名付けられていますが、会場で里山についての説明パネルを見つけることはできませんでした。
しかし、この写真のパネルが里山についての説明に一番近いと思われます。

周りを森に囲まれた浅い谷状の地形を谷戸といいますが、その森や湧き水、田畑などの周辺環境も含めた全体の環境を里山といいます。里山には地域の歴史や文化、豊かな自然としての大きな価値があるのです。

では、なぜその里山の一部を壊してまで、里山ガーデンを整備する必要があったのでしょうか。
谷戸の手入れは必要かもしれませんが、それ以前にこうした全体の環境が残った里山に価値があるとパネルでも説明されているではないですか。

このエリアとこの説明パネルがあったから、まだ救いですが、会場の奥の方の小さなパネルで、どれだけの人が見てくれたでしょうか。
この内容こそ、里山ガーデンの中心に持ってくるべきではなかったかと考えます。

「里山ガーデン」が公開されたのは、昨年の今頃、全国都市緑化フェアでのことでした。
しかし会場は都市的環境ではなく豊かな里山が残された場所です。都市緑化ということなのに都市的環境で行なうのではなく、このような里山の一部を壊してまで行われたことに憤りを感じます。
逆に都市的環境であっても、そこも昔は里山的な環境であったはず。都市緑化の一部に里山の環境を復元したものも取り入れて、つり合いが取れるくらいだと思います。

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里山ガーデンって何か変

2018年04月23日 12時53分06秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
里山ガーデンという名前を目にしたのは、昨年の今頃のことです。
ポスターの内容を見てみると、里山に自生する野の花や樹木たちをガーデン仕立てに見せるというものではなく、里山に園芸植物を大量に持ち込んで広い花壇を作っているというものでした。
私は、これに非常に違和感を感じ、考えると頭がおかしくなりそうなので、気にしないようにしていました。


里山ガーデンという名の緑区にある緑地(?)に行ってきました。


「里山ガーデン」(緑区に所在)とは、里山という豊かな森を切り開き、園芸植物を植えて作られた広い花壇でした。


背景の森林と比べると花壇の緑の量は圧倒的に少ないです。
森は木陰をつくり、林内や林床の小動物や野草たちを保護してくれます。その点、花壇はお花が綺麗なだけです。
緑の量や、その働きにおいては、森林の方が優れています。その森林は年々減少しているので保全される必要性があるはずなのですが・・・。

里山ガーデンが公開されるというのは昨年行なわれた「全国都市緑化フェア(in横浜)」(確かこういう名称だったと思います)でのこと。
ひろくPRされていたので知ってはいました。
開催期間を終え、もう無くなったものと思っていました。
ところが、まだある様子。
さすがに、放っておけない気持ちになりました。
それには理由が二点ほど理由があります。

⓵里山ガーデンフェアは横浜市民税で行なわれている?
もし横浜みどり税(市民税の内訳の一つ)で行なわれているとしたら、私は黙っておけない気持ちがあります。
なぜなら横浜みどり税というのは、もともと市民の森を買い取るために導入されたものだからです。
横浜市の緑被率は年々減少しています。その中にあって、私有地の緑によって、何とか緑被率が確保されている状況なのです。
私有地の緑として大きな役割を担っているのが市民の森です。
駅前の小さな花壇に「この花壇は横浜みどり税の助成を受けて作られています」とのパネルが掲示されているのを見たことがあります。
このような小さな花壇ならまだ仕方ないと思えますが、里山ガーデンのような大規模な花壇を作るのに一体どれだけお金(税金?)を使っているのでしょう。
ほんらいの目的でないことにお金(税金?)を使うというのは納得いきません。早く市民の森を買い取るなり、もっと質の高い緑を確保してほしいと思います。

⓶里山の緑の重要性
これまで各種テレビ番組でも書籍でも、また環境に関わる講演や資料・論文などでも述べられてきているのですが、里山というのは日本人が日本の自然と共存しつつ自給自足的な生活をしてきた環境で、その歴史は大変古く、弥生時代の始まりのころからとも、縄文時代から始まっていたのではないかという話もあります。そして、その循環型のライフスタイルは持続可能であることが大きな特徴です。
持続が不可能であると言われている現代日本社会のライフスタイルの中で、里山の環境や、私たち日本人がその中で暮らしてきたライフスタイルを見直す必要があると言われているのです。
必要なのは里山に花壇を作り出すことでなく、里山の環境を保全し、その大切さを来場者に広めることのはずです。

このような理由で、放っておけない気持ちになり、足を運び、この目で見てきました。
そして、私としては次のような結論に達しました。

★★★里山を切り開いて花壇をつくるのは本末転倒★★★

そこは竹林やスギ植林もありましたが、樹高の高いシラカシが主体となった、成熟した照葉樹林となっていました。
ガーデンの園路を歩くと、園路沿いにはコナラの実がたくさん芽生えていました。
ホウチャクソウやキンランも確認しました。
キンランは神奈川県のレッドデータ(絶滅が危惧される生物リスト)で絶滅危惧Ⅱ類となっています。
里山ガーデンというのは、緑豊かで絶滅危惧種も生育している森を切り開いて作られたものだということが見てわかりました。
このような質の高い緑を壊して、園芸植物を植えるなんて本末転倒だと思います。
もしも「森なんていらない野草なんてなくていい。そんなものつまらないから綺麗なお花畑を作ってほしい。」という市民の多くの声があったとしても、そういう意見を本当に反映させたら、ますます自然を壊し生きものたちを絶滅させていくということを市は認識すべきではないかと思います。
市は、市民が「自然の森林や野草なんてつまらないから失くしてほしい。」「昆虫類や両生類なんて気持ち悪いから絶滅させてくれ。」と言えば、本当にそのとおりにしてしまうのですか?
環境問題のこと、森林や里山の重要性、そこに生育生息する動植物などのことについて楽しくPRしつつ、啓蒙啓発していくべきではないでしょうか。
近隣には四季の森公園や新治市民の森など、優れた公園や市民の森があるというのに一体どうしてしまったというのでしょう。
里山環境を活かして運営している、これらの事例を参考にしない手はなかったと考えますし、こうした場所で里山環境を保全するために懸命に活動している人たちがいらっしゃるというのに、逆の方向性の内容となっていることが非常に残念です。
どんな緑を守るべきなのかをしっかり認識していただきたいですし、跡地こそはそのような場として有効に活かしてほしいです。


舗装された園路沿いの地面には、あちこちにキンランが咲いていました。
キンランは神奈川県で絶滅危惧種となっています。
その他ホウチャクソウも生育していましたし、コナラもたくさん種から芽生えていました。
「里山ガーデン」はこうした植物たちを潰して整備されたようです。緑アップと言っている横浜市ですが、本末転倒なことは間違いなさそうですね。
なんでこんなことをしたのか理解が困難です。仮に「自然の森林は失くせ!」「野草なんか滅んでかまわない!」などと多くの市民からの声があったら、市は本当にそのとおりにしてしまうのでしょうか?


谷戸の環境や生きものについての説明パネルが設置されてはいました。
ただ「里山ガーデン」の入り口の広場やメインの花壇周辺には、このようなパネルはなく、奥の谷戸のエリアまで入っていかないと見ることはできませんでした。


パネル1

パネル2

パネル3
谷戸についてのパネルはあったのですが、里山についての説明パネルはみつけられませんでした。
探せばあったのでしょうか?

最後に・・・
来場時に現地の概観を眺めた後、受け付け本部(?)にて「里山ガーデンということですけども、里山に生えている野草は見られないのですか?」と聞いてみました。
「ここはお花を楽しんでいただく場所となっていますので。」とのことでした。
野草の花は花のうちに含まれていないみたいなのがおかしいと思ったので、重ねて聞くと「キンランが外周路に咲いています。」と教えてくれました。
会場のスタッフさんに責任はないと思うので、強く疑問を投げかけはしませんでした。
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雑草むしりだけど、雑草むしりじゃありません!

2018年04月19日 17時19分31秒 | その他
庭の整備をしつつ、雑草むしりをしました。
そういう言い方をしても雑草むしりであり、雑草むしりではありません。
カキドオシは古くから薬草と知られており、薬草の収穫でもあるのです。

この植物の名はカキドオシ、垣根の下を這ってくぐるように生え広がる、この植物の様子から、そう名付けられているようです。
乾燥させてお茶にしたものを飲用すると血圧及び血糖値の抑制効果があるそうなので、お茶にしようと思います。


草むしりをしましたが、これは古くから薬草として知られるカキドオシ。
薬草の収穫を兼ねた草むしりです。


水洗いをして軽く目に見える細かな落ち葉や土などを取り除きます。
この時、しばらく水に浸けておくとしなびたものはシャキッとします。
その後ハサミで細かく刻んだ後、もう一度水洗いをして、さらに細かなホコリなどを落としていきます。


ネットに入れて乾燥させます。


かなりの量が採取でき、全部処理するにはまだ時間がかかりそうです。
自分で飲用するお茶にする以外にも、ホワイト・リキュールに浸けて薬湯などにできるか試してみたいと思います。
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こども110番の家

2018年04月19日 16時43分17秒 | その他
夜勤の連続で寝ていたらピンポーンとインターフォンが。
出ないで寝続けようと思ったけど、何度も鳴ります。
誰だろう、何だろうと思って出たら、ランドセルを背負った小学生の女の子が玄関の外に立っていました。

以前、別blogでも記事にしたとおり、我が家は「こども110番の家」となっています。犯罪に巻き込まれそうになるなど危険を感じた小学生が駆け込み寺的に逃げ込める場所として、地元小学校から指定された場所となっているのです。
その小学校の児童が、お礼を兼ねて挨拶に来てくれたのです。
これは昨年病気のため急に亡くなった私の母が、長年、社会貢献活動の一つとして行なっていたことで、小学校から母あてにお便り(印刷物)を持ってきてくれました。

お便りが時折ポストに入っていたのは知っていますが、我が家に挨拶を担当する児童の女の子と会うのは初めてでした。
一応、母が亡くなったことを伝えた上で、「でも、母が喜ぶと思うので、この名前でこれからも持ってきてもらって良いよ。」とお話ししました。
そうしたら、その女の子は母と会ったことがあるといいます。
母は折り紙の講師もしていたため、折り紙で作った作品をもらった記憶があると言っていました。

もうすぐ5月でショウブ湯があります。
私も何か、あげられるものはないかと思い、自宅で育てている。ショウブの葉と、学校で育てても良いのでは?と根付きのショウブの株を渡しました。
ショウブ湯の季節になるとスーパーマーケットやお花屋さんで販売されているショウブですが、水生植物で、昔は近所の湿地や池などで採取して使っていたはずなのものです。
家に持って帰り、また学校に持って行って、喜んでもらえるといいんだけどなぁ・・・。
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我が家松田家の小さな自然観察スペース -箱舟の庭-

2018年04月19日 11時46分48秒 | その他


私の自宅の庭は、庭と呼ぶには小さすぎる庭なのですが、それでも地面を大事にしています。
また一つ前の記事などにも書いてきたとおり、昔は当たり前に近所に生育していたのに、次第に生育地もろとも消失してしまった野草たちを集めて、この庭に植栽しています。

4月に入ってから、これらの植物たちにネーム・プレートを付け始めました。
まだ整備中なのですが、このスペースには、これまで紹介してきたような樹木(2~3メートルに高さは抑えてあります)や野草を集め、たらいのビオトープ池も配置。腰掛けて眺めることができるように、そばには縁台も設置しました。

このスペースは「ミニ自然観察園(ビオトープ池と在来の野生植物たち)~箱舟の庭~」と名付けて、自分自身が楽しむことはもちろんですが、家に来てくださったお客様にも、少しでも緑や水面とふれあっていただき、自然や自然の生きものたちのことを知っていただけるようにしたいと考えています。

このためネーム・プレートのほか、年内には解説版も作成して設置するつもりでいます。
また、より詳しい解説のための資料も作成していくつもりです。

いきなり知らない方をお呼びするのは抵抗がありますが、多くの方々に松田家に来ていただき、こうした庭を楽しんでいただいたり、解説板や資料などに目をとおしていただけると嬉しいなぁ・・・という目標を持っています。
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今、我が家松田家で見られる花たち

2018年04月19日 11時14分58秒 | その他
3月25日の記事に書いたとおり、私の住む町もどんどん緑が減ってきています。
10年20年前は当たり前に近所で見られた野草たちが見られなくなってきています。
既に住宅密集地となっている町なのですが、さらなる宅地化によって、これらの野草たちが生育していた土手など、生育地そのものが消失してしまったためです。

私はこうした緑の減少をたいへん残念に思い、4月11日の記事に書いたとおり、かつて近所で普通に見られた植物たちを集め、自宅の庭に植栽しています。
中には近所には生えてはいませんでしたが町から離れた県内の山などで見られる植物や、反対に今でも町なかの地面の残った道端などで見られる植物もあります。

既に花期が終わってしまったものもありますが、そうした中で、今見られる花を紹介します。


クサイチゴ(バラ科)
写真を撮ろうと思っているうちに、花が散ってしまいました。
日本の野生の木苺(きいちご)の一種です。低木ですが草のように背が低いため、この名があります。
赤い実は甘く食べられます。
昨年、横浜駅前の鶴屋橋の付け替え工事現場で、帷子川分水路の縁に生育しているのを見つけました。
ゴミも捨てられていたこともあるでしょうけれど、何より雑草扱いされたためだと思います。上から砂利をかぶせられて生えないようにされていたため、残っていた株を抜いてきて、自宅にて育てたものです。


キケマン(ケシ科)
キケマンの仲間は何種かあり、これが何キケマンかまでは、今の時点では私には特定できません。
地域の野草が姿を消していっていることを危惧して、種子を採取して育てている方たちから譲り受けました。
毒草ですので、食べてはいけません。


ムラサキケマン(ケシ科)
町なかでも地面が残っているところならば見かけることのある野草です。
キケマンもそうですが、高山植物として名高いコマクサの仲間です。
やはり毒草ですので、食べてはいけません。


ウラシマソウ(サトイモ科)
湿原の植物として有名なミズバショウを思い浮かべていただけるとわかりやすいかと思うのですが、同じサトイモ科で同様の構造を持っています。ただし、ミズバショウと違うのは仏炎苞と呼ばれる花を包む部分の中から長い糸のようなものが出ていいる点で、これを浦島太郎の持っていた釣り竿の釣り糸と見立てて、この名があると言われています。
私の幼少期には、自宅からすぐの近所のお宅の庭の隅にも生えていました。
この株(個体)は何年か前、宅地化工事の始まった農地の隅に生えていたものを、工事でもろとも潰されてしまう寸前に採取してきたものです。
採取し鉢植えの際、環境が変わってしまったためか花穂が出なかったのですが今年は知らぬ間に出ていて、気づいた時には花はもう枯れかけていたため、この個体の良い写真は撮れませんでした。


サワフタギ(ハイノキ科)
山野の沢沿いに、沢にフタをするように覆って生えるということからこの名がありますが、尾根沿いにも生育するといいます。
近所で見かけたことのある植物ではありませんが、関東の山野にも自生する落葉低木であり、山の沢沿いの自然を連想させます。
昨年、横浜公園の植木市で購入しました。
このように花を咲かせてくれたので、今年はコバルトブルーで美しいと言われる実を我が家でも見ることができるでしょう。



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補足事項

2018年04月15日 10時25分24秒 | 2-5.篠原池
補足事項です。

5月12日(土)の篠原池のごみ拾いと生きもの調べでは、参加者の方たちにショウブ湯に使用するショウブを差し上げたいと思います。
これは、ショウブは篠原池に生育しているアシ(ヨシ)やガマなどのように水面から湿地に生育する水生植物だということと、ショウブ湯を行なう5月だからということにちなみます。
参加者数によってはみんなで分けて、一人当たりの量が少なくなる場合も考えられますが、ご了承ください。

また、6月の篠原池でのごみ拾いと生きもの調べは、まだ日程が決まっておりません。
これは、近隣にある六角橋公園プールや篠原園地のプール、また菊名池公園プールでのヤゴ救出を活動として行なうためで、これらとのスケジュール調整が必要となるためです。
決まり次第、お知らせいたします。
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篠原池での6月の活動予定

2018年04月15日 09時23分40秒 | 2-5.篠原池
篠原池には季節によって、いろいろな生きものたちを見ることができます。
次回は5月の12日(土)に活動しますが、この時では時期的に見ることのできない生きものもいます。
そこで6月にも、ごみ拾いと生きもの調べの活動を行ないたいと思います。

篠原池の生物保護区は立ち入り禁止となっています。
それは人の立ち入りによって、篠原池の生きものたちを脅かさないためです。
ただし、その生きものたちが生息し続けていることができているかを定期的に確認することも、池の自然や生きものたちを大切にしていくために欠かせない作業なのです。

篠原池では6月になると、胴体が黄色い綺麗な色をしたキイトトンボというイトトンボの仲間が生物保護区内の茂みで飛び交うようになります。
その姿が今年も見られることを参加者の方たちと現地で確認したいと考えています。
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次回の篠原池での活動の課題

2018年04月15日 08時55分37秒 | 2-5.篠原池
次回の活動は5月12日の土曜日、午後1時から篠原池でごみ拾いと生きもの探しを行ないます。

実は今回、魚介類捕獲用のトラップ(エサを入れて仕掛ける網の罠)を活動に持ってくるのを忘れてしまいました。
前回記事のように今回の活動では、手ですくう網で魚介類が捕獲できたので良かったのですが、このトラップを使うとよりたくさんの魚介類が一度に捕獲することができます。

次回の活動では、このトラップを使って、たくさんの魚介類、特に今回捕獲することができなかった魚も確認することが課題です。

ゴールデンウィークの後の週になり、池にたくさんのごみが落ちている可ことが予想されますので、ぜひご参加ください。
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