身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

自然と一体になるということについて(その2)

2021年04月10日 17時18分45秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室

前回の記事では暗くなるにつれて、カラスウリの花も開いてくるということをお話ししました。

カラスウリの花は真夏の夜にしか咲きませんので、真夏の夜にしか見ることができません。

翌朝にはしぼんでしまう一日花なのです。しかも前回写真で紹介したとおり、レースの衣装の花嫁にも例えられる神秘的な花をしています。

さて、これで終わりではありません。続きがあります。

このようにして、すっかり暗い夜になったところで、ある昆虫が現れます。前回でも紹介した、一番最後の風景写真にも小さく写りこんでいます。

写真の上の方、真ん中の左寄りに1匹の昆虫のようなものが飛んでいるのがおわかりになるでしょうか。

その正体はスズメガの仲間です。スズメガの仲間は昼間に活動するものもいるのですが、夜に活動するものも少なくありません。

この夜に活動するスズメガはカラスウリの花の蜜を目当てに飛来し、あっちの花、こっちの花と飛び回って、ハチドリのように空中静止(ホバーリング)をしながら蜜を吸うのです。

カラスウリの花を見ると花びらどうしがくっついて一体となったタイプの花(合併花類)であることがわかります。そして元の部分が筒状になって長く伸びているのがわかりますね?

スズメガの口はチョウの口のように、いつもはクルッと巻いていますが、ストローのようになっています。この長いストローのような口を伸ばしてカラスウリの花の筒のようになった部分の奥の方にある蜜を吸うのです。

夜にしか花を咲かないカラスウリが受粉して実を成らせることができるのは、スズメガがいるからなのです。

カラスウリは秋になると、だいだい色の、いかにも秋らしい実を成らせますが、残念ながら以前撮った写真がなかなか見つからず、すぐにお見せすることができません。見つかるころには実の成る秋になっているかもしれません・・・。

カラスウリの種なら、1月に採取したものがありますので、次の記事でお見せします。

おぉ、大事なことをお話しするのを忘れていました。みなさん、思わず、写真に見入ってしまったのではありませんか?

自然観察会では写真でなく、実物に見入ることになります。

辺りが暗くなってきて、それに合わせて活発に活動を始める生きものたちがいる。こうした自然の中で、これらの生きものたちの様子に見入りながら、時を過ごす。それが自然と一体になるということです。

「真夏の夜の自然探検」の魅力としてお伝えした「探検(調査と言い換えても良いかもしれません)」「共有(分かち合い)」「自然と一体になる(自然との一体感を感じる)」の三つは、そのまま自然観察会の大切さでもあると考えています。

 

 

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自然と一体になるということについて(その1)

2021年04月10日 17時18分01秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室

さきほどの記事で「夜の自然探検の」魅力の三つ目として、「自然と一体になる」ということをお話ししました。

このことについて、もう少し詳しくお話ししていきます。

昆虫、特に蛾の苦手な人もいらっしゃると思いますが、たいへん貴重な写真だと思います。

場所は横浜市内の住宅街に残った崖地(所有者あり)で、カラスウリというツル性の植物が茂っています。

この翌年、カラスウリは全部刈り取られて茂みがなくなってしまったので、もう撮影できません。

 

ある年の8月20日、夕方の6時30分ごろ。白くポツポツ見えるのはカラスウリの花のつぼみです。

白くポツポツ見えるカラスウリのつぼみをアップで写すとこのようになります。

6時45分ごろです。暗くなるにつれて、カラスウリのつぼみも開いてきました。

6時50分ごろ。この日が沈んで暗くなってくると、一気に暗くなってきます。

カラスウリの花がさらに開いてきました。

そしてすっかり暗くなった7時過ぎ。

カラスウリの花もすっかり開きます。

カラスウリの花には神秘的な美しさがあります。まるで白いレースのような飾りを付けているのです。白いレースのドレスの花嫁に例えられるそうです。

つづきはまた明日。

 

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