身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

新年にあたってのメッセージ ~ 自然を守るわけ ~

2012年01月12日 17時15分59秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室
(1)私たちの生存に必要不可欠な生物資源

今日あなたは朝食に、また昼食や夕食に何を食べましたか?
今、どんな衣服を着ていますか?
お部屋にある机やイスは何でできていますか?

魚介類、野菜、お米といった食物をはじめ、綿(コットン)などできた衣服、家具や建築物の材料となる木材など・・・。
これらのものは、私たち人間に利用される前までは海で泳いでいたり、畑で育ったり、森で育ったりしていた生きもの、生きている動植物でした。
これらの生きものたちはみな太陽の光を浴びたり、雨水の恵みを受けたり、またそうして育った他の生きものたちを食べたりして育ったものです。

何が言いたいのかというと、これらはみな自然環境に由来した生物資源で、私たち人間が生存し生活する上で必要不可欠なものだということ。
そして食物や衣服、建材などの物質的資源、民芸品や芸術などの文化的なもの、森林浴や自然の中での癒しなど精神的なものにいたるまで、
私たち人間にとって、あらゆる面での環境資源となっているということです。
これは私たち人間も、これらの動植物たちによって成り立っている自然環境がなければ、生存できないということを意味しています。


(2)都会という場所

都市・都会の生活はとても便利です。
でもそこには動植物が自然に育つ環境、生物資源が生産されるような場所は全くないに等しいです。
都会はアスファルトやコンクリート、金属といったものでできた建物や道路ばかり。
都会は、こうしたものでできた巨大な箱とパイプの集まりのようなものです。
都市・都会がそれでも成り立つことができるのは、都市の近隣にある自然環境に恵まれたところから水がパイプで運ばれてきたり、
先ほど述べた色々な資源やその加工品が輸送されてくるからです。

このように都市・都会もまた、自然環境がなければ成り立つことができない存在です。
宇宙物のSF作品にはよく、全体が機械化されたり都会化されているような惑星が登場します。
しかし、いったいどのように大気や水の循環があり、生物資源が生み出されているのでしょうか。
つきつめていくと現実にはありえない話です。
ですので、都市・都会だから自然がなくてもよいなどということにはならないし、
まだ豊かな自然環境の残っている都市郊外や地方も、その自然を大切にしていかなければなりません。


(3)地球規模の環境問題は私たちの近くでも起こっています

今、地球上では急速に生きものたちが絶滅しています。
そしてこれは地球温暖化と並び、地球規模の大問題となっているのです。
これは決して遠く離れた外国や有名な場所だけで起こっていることではありません。
私たちの身近でも起こっていることなのです。

このホームページから発信している私たちの住む町、菊名も、かつては自然環境が豊かで、人々は自然と共存しながら生活してきました。
それが都市化するに伴なって次第に自然環境が失われ、同時に自然と共存しなくなってきたのです。
その過程でたくさんの生きものたちが、この地域でも絶滅してきたことでしょう。
問題はそれが食い止められることなく現在でも進んでいることです。

せめて今残されている自然について、よりよい状態で残していけるよう利用・管理をしていかなければ、私たちの身近にあって、
その土地で人々が昔からが共存してきた自然環境は、すっかり姿を消してしまうでしょう。


(4)自然環境と共存した持続可能なよりよい社会づくりに貢献するために

自然を大規模に壊してしまうと気候変動が起こったり、農作物や水産物が不作になったりします。
モアイ像で有名なイースター島の文明も、マヤ文明も、それが原因で滅びたということが解明されてきたそうです。
持続可能な社会づくりののためにはまず、自然環境(身近な自然や生きものたち)と共存するライフスタイルが大切なのです。
現代の私たちがそれをするには、まず楽しみながら自然や生きものたちとふれあい、その魅力を少しずつ知っていくことです。

私は休日を利用して、よく自然とふれあうようにしています。
また写真を撮ったり、データを記録したり、考察したりもします。
でもこれらの写真や記録を私が一人で保存しているだけでは、何の役にも立ちません。
そこでこれらを元にして参加者を募って行なう自然観察会を開いたり、現地に掲示したり、このブログに記事を載せたりしているのです。

このような地道な活動によって、参加者のみなさんやこのブログをご覧になっているみなさんに
身近な自然と楽しく親しもうとする気持ちをもっていただけるようにすること。
それによって少しでも自然や生きものたちに理解を深めていただけるようにすること。
このことが地域の自然を守っていく土台となり、自然環境と共存した持続可能なよりよい社会づくりに貢献することになる。
私は、そう信じてやっています。


(5)おわりに

自然を守っていこうとする上で、非常に気になることがあります。
それは自然は汚いとか、生きものは気持ち悪いという声もたくさんあることです。
しかし、だからといって平気で自然を壊してしまったり、当たり前に生きものたちを殺してしまったりするような社会を私は決して良い社会だとは思いません。

しかしながら残念なことに、そのような社会になってきてしまっていることは事実として認めざるを得ません。
昔から「自然を大切に」といわれてきましたが、今の時代、そんな言葉はどこかに吹っ飛んでしまった感じがします。
本当はその言葉とおりに自然を大切にできる社会であるとよいと思います。

私も自分の生活のため仕事をしています。
このような一般市民の一人としてできることを私はやっています。
何をしているのかといえば、自然と親しむ催しを開くことで、そういう機会を人々に提供すること。
自然や自然の生きものたちとふれあっていただくことで、
自然や生きものをやたらと汚がったり気味悪がったりするものではないということを体感としてわかっていただくことです。

そして「かわいい!」「かっこいい!」「きれい!」「すごい!」など、自然や自然の生きものたちに対して

色々なことを感じ取っていただきたいと思います。
自然とは元々そういうものなのですから。

長々と文章を書いてきましたが、最後に私のいいたいことをもっと簡潔にお話しましょう。
今の時代、守ろうとしなければ自然はすっかりなくなってしまいます。
そして一度壊してしまったら、二度と戻ってはきません。
本当になくなってしまってよいのですか?
そんなはずはないでしょう。


新年おめでとうございます

2012年01月03日 08時11分30秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室
新年、あめましておめでとうございます。


昨年は私にとって、約10年ぶりに菊名池で活動を再開できた記念すべき年でした。

横浜市の行政改革があって、菊名池公園の管理が北部公園緑地事務所から港北土木事務所に変わってからときうもの、菊名池の自然環境保全の話をしようとしても、冷たく突き放されるようになったことが主な原因です。

現在では良好な関係を保っており、昨年は小規模ながら良い活動をすることができました。
また2005年以降、良好ではなくなってきていた菊名池の生物的な自然環境も、少しだけですが回復の兆しが現れてきました。

さて菊名池での昨年の活動をふりかえります。

まず3月に公園愛護会と協働で、池周りの樹木に樹名板(木の名札)を付けました。
6月には菊名公園プールでは初の「プールのヤゴ救出」。
7~8月には菊名池公園プールの施設内で「菊名池公園の自然と生きもの展」と行ないました。
9月には再び樹名板付けと、菊名池の中の簡単な自然・いきもの調査を行ないました。
そして、10月に行った石堂書店さんでの「菊名池 ミニ水族館」が締めくくりの活動となりました。

今年はまだスケジュールを立ててはいませんが、4月には大体の年間スケジュールが決められると思います。


本年も、どうぞよろしくお願いいたします。