里山ガーデンという名前を目にしたのは、昨年の今頃のことです。
ポスターの内容を見てみると、里山に自生する野の花や樹木たちをガーデン仕立てに見せるというものではなく、里山に園芸植物を大量に持ち込んで広い花壇を作っているというものでした。
私は、これに非常に違和感を感じ、考えると頭がおかしくなりそうなので、気にしないようにしていました。
里山ガーデンという名の緑区にある緑地(?)に行ってきました。
「里山ガーデン」(緑区に所在)とは、里山という豊かな森を切り開き、園芸植物を植えて作られた広い花壇でした。
背景の森林と比べると花壇の緑の量は圧倒的に少ないです。
森は木陰をつくり、林内や林床の小動物や野草たちを保護してくれます。その点、花壇はお花が綺麗なだけです。
緑の量や、その働きにおいては、森林の方が優れています。その森林は年々減少しているので保全される必要性があるはずなのですが・・・。
里山ガーデンが公開されるというのは昨年行なわれた「全国都市緑化フェア(in横浜)」(確かこういう名称だったと思います)でのこと。
ひろくPRされていたので知ってはいました。
開催期間を終え、もう無くなったものと思っていました。
ところが、まだある様子。
さすがに、放っておけない気持ちになりました。
それには理由が二点ほど理由があります。
⓵里山ガーデンフェアは横浜市民税で行なわれている?
もし横浜みどり税(市民税の内訳の一つ)で行なわれているとしたら、私は黙っておけない気持ちがあります。
なぜなら横浜みどり税というのは、もともと市民の森を買い取るために導入されたものだからです。
横浜市の緑被率は年々減少しています。その中にあって、私有地の緑によって、何とか緑被率が確保されている状況なのです。
私有地の緑として大きな役割を担っているのが市民の森です。
駅前の小さな花壇に「この花壇は横浜みどり税の助成を受けて作られています」とのパネルが掲示されているのを見たことがあります。
このような小さな花壇ならまだ仕方ないと思えますが、里山ガーデンのような大規模な花壇を作るのに一体どれだけお金(税金?)を使っているのでしょう。
ほんらいの目的でないことにお金(税金?)を使うというのは納得いきません。早く市民の森を買い取るなり、もっと質の高い緑を確保してほしいと思います。
⓶里山の緑の重要性
これまで各種テレビ番組でも書籍でも、また環境に関わる講演や資料・論文などでも述べられてきているのですが、里山というのは日本人が日本の自然と共存しつつ自給自足的な生活をしてきた環境で、その歴史は大変古く、弥生時代の始まりのころからとも、縄文時代から始まっていたのではないかという話もあります。そして、その循環型のライフスタイルは持続可能であることが大きな特徴です。
持続が不可能であると言われている現代日本社会のライフスタイルの中で、里山の環境や、私たち日本人がその中で暮らしてきたライフスタイルを見直す必要があると言われているのです。
必要なのは里山に花壇を作り出すことでなく、里山の環境を保全し、その大切さを来場者に広めることのはずです。
このような理由で、放っておけない気持ちになり、足を運び、この目で見てきました。
そして、私としては次のような結論に達しました。
★★★里山を切り開いて花壇をつくるのは本末転倒★★★
そこは竹林やスギ植林もありましたが、樹高の高いシラカシが主体となった、成熟した照葉樹林となっていました。
ガーデンの園路を歩くと、園路沿いにはコナラの実がたくさん芽生えていました。
ホウチャクソウやキンランも確認しました。
キンランは神奈川県のレッドデータ(絶滅が危惧される生物リスト)で絶滅危惧Ⅱ類となっています。
里山ガーデンというのは、緑豊かで絶滅危惧種も生育している森を切り開いて作られたものだということが見てわかりました。
このような質の高い緑を壊して、園芸植物を植えるなんて本末転倒だと思います。
もしも「森なんていらない野草なんてなくていい。そんなものつまらないから綺麗なお花畑を作ってほしい。」という市民の多くの声があったとしても、そういう意見を本当に反映させたら、ますます自然を壊し生きものたちを絶滅させていくということを市は認識すべきではないかと思います。
市は、市民が「自然の森林や野草なんてつまらないから失くしてほしい。」「昆虫類や両生類なんて気持ち悪いから絶滅させてくれ。」と言えば、本当にそのとおりにしてしまうのですか?
環境問題のこと、森林や里山の重要性、そこに生育生息する動植物などのことについて楽しくPRしつつ、啓蒙啓発していくべきではないでしょうか。
近隣には四季の森公園や新治市民の森など、優れた公園や市民の森があるというのに一体どうしてしまったというのでしょう。
里山環境を活かして運営している、これらの事例を参考にしない手はなかったと考えますし、こうした場所で里山環境を保全するために懸命に活動している人たちがいらっしゃるというのに、逆の方向性の内容となっていることが非常に残念です。
どんな緑を守るべきなのかをしっかり認識していただきたいですし、跡地こそはそのような場として有効に活かしてほしいです。
舗装された園路沿いの地面には、あちこちにキンランが咲いていました。
キンランは神奈川県で絶滅危惧種となっています。
その他ホウチャクソウも生育していましたし、コナラもたくさん種から芽生えていました。
「里山ガーデン」はこうした植物たちを潰して整備されたようです。緑アップと言っている横浜市ですが、本末転倒なことは間違いなさそうですね。
なんでこんなことをしたのか理解が困難です。仮に「自然の森林は失くせ!」「野草なんか滅んでかまわない!」などと多くの市民からの声があったら、市は本当にそのとおりにしてしまうのでしょうか?
谷戸の環境や生きものについての説明パネルが設置されてはいました。
ただ「里山ガーデン」の入り口の広場やメインの花壇周辺には、このようなパネルはなく、奥の谷戸のエリアまで入っていかないと見ることはできませんでした。
パネル1
パネル2
パネル3
谷戸についてのパネルはあったのですが、里山についての説明パネルはみつけられませんでした。
探せばあったのでしょうか?
最後に・・・
来場時に現地の概観を眺めた後、受け付け本部(?)にて「里山ガーデンということですけども、里山に生えている野草は見られないのですか?」と聞いてみました。
「ここはお花を楽しんでいただく場所となっていますので。」とのことでした。
野草の花は花のうちに含まれていないみたいなのがおかしいと思ったので、重ねて聞くと「キンランが外周路に咲いています。」と教えてくれました。
会場のスタッフさんに責任はないと思うので、強く疑問を投げかけはしませんでした。
ポスターの内容を見てみると、里山に自生する野の花や樹木たちをガーデン仕立てに見せるというものではなく、里山に園芸植物を大量に持ち込んで広い花壇を作っているというものでした。
私は、これに非常に違和感を感じ、考えると頭がおかしくなりそうなので、気にしないようにしていました。
里山ガーデンという名の緑区にある緑地(?)に行ってきました。
「里山ガーデン」(緑区に所在)とは、里山という豊かな森を切り開き、園芸植物を植えて作られた広い花壇でした。
背景の森林と比べると花壇の緑の量は圧倒的に少ないです。
森は木陰をつくり、林内や林床の小動物や野草たちを保護してくれます。その点、花壇はお花が綺麗なだけです。
緑の量や、その働きにおいては、森林の方が優れています。その森林は年々減少しているので保全される必要性があるはずなのですが・・・。
里山ガーデンが公開されるというのは昨年行なわれた「全国都市緑化フェア(in横浜)」(確かこういう名称だったと思います)でのこと。
ひろくPRされていたので知ってはいました。
開催期間を終え、もう無くなったものと思っていました。
ところが、まだある様子。
さすがに、放っておけない気持ちになりました。
それには理由が二点ほど理由があります。
⓵里山ガーデンフェアは横浜市民税で行なわれている?
もし横浜みどり税(市民税の内訳の一つ)で行なわれているとしたら、私は黙っておけない気持ちがあります。
なぜなら横浜みどり税というのは、もともと市民の森を買い取るために導入されたものだからです。
横浜市の緑被率は年々減少しています。その中にあって、私有地の緑によって、何とか緑被率が確保されている状況なのです。
私有地の緑として大きな役割を担っているのが市民の森です。
駅前の小さな花壇に「この花壇は横浜みどり税の助成を受けて作られています」とのパネルが掲示されているのを見たことがあります。
このような小さな花壇ならまだ仕方ないと思えますが、里山ガーデンのような大規模な花壇を作るのに一体どれだけお金(税金?)を使っているのでしょう。
ほんらいの目的でないことにお金(税金?)を使うというのは納得いきません。早く市民の森を買い取るなり、もっと質の高い緑を確保してほしいと思います。
⓶里山の緑の重要性
これまで各種テレビ番組でも書籍でも、また環境に関わる講演や資料・論文などでも述べられてきているのですが、里山というのは日本人が日本の自然と共存しつつ自給自足的な生活をしてきた環境で、その歴史は大変古く、弥生時代の始まりのころからとも、縄文時代から始まっていたのではないかという話もあります。そして、その循環型のライフスタイルは持続可能であることが大きな特徴です。
持続が不可能であると言われている現代日本社会のライフスタイルの中で、里山の環境や、私たち日本人がその中で暮らしてきたライフスタイルを見直す必要があると言われているのです。
必要なのは里山に花壇を作り出すことでなく、里山の環境を保全し、その大切さを来場者に広めることのはずです。
このような理由で、放っておけない気持ちになり、足を運び、この目で見てきました。
そして、私としては次のような結論に達しました。
★★★里山を切り開いて花壇をつくるのは本末転倒★★★
そこは竹林やスギ植林もありましたが、樹高の高いシラカシが主体となった、成熟した照葉樹林となっていました。
ガーデンの園路を歩くと、園路沿いにはコナラの実がたくさん芽生えていました。
ホウチャクソウやキンランも確認しました。
キンランは神奈川県のレッドデータ(絶滅が危惧される生物リスト)で絶滅危惧Ⅱ類となっています。
里山ガーデンというのは、緑豊かで絶滅危惧種も生育している森を切り開いて作られたものだということが見てわかりました。
このような質の高い緑を壊して、園芸植物を植えるなんて本末転倒だと思います。
もしも「森なんていらない野草なんてなくていい。そんなものつまらないから綺麗なお花畑を作ってほしい。」という市民の多くの声があったとしても、そういう意見を本当に反映させたら、ますます自然を壊し生きものたちを絶滅させていくということを市は認識すべきではないかと思います。
市は、市民が「自然の森林や野草なんてつまらないから失くしてほしい。」「昆虫類や両生類なんて気持ち悪いから絶滅させてくれ。」と言えば、本当にそのとおりにしてしまうのですか?
環境問題のこと、森林や里山の重要性、そこに生育生息する動植物などのことについて楽しくPRしつつ、啓蒙啓発していくべきではないでしょうか。
近隣には四季の森公園や新治市民の森など、優れた公園や市民の森があるというのに一体どうしてしまったというのでしょう。
里山環境を活かして運営している、これらの事例を参考にしない手はなかったと考えますし、こうした場所で里山環境を保全するために懸命に活動している人たちがいらっしゃるというのに、逆の方向性の内容となっていることが非常に残念です。
どんな緑を守るべきなのかをしっかり認識していただきたいですし、跡地こそはそのような場として有効に活かしてほしいです。
舗装された園路沿いの地面には、あちこちにキンランが咲いていました。
キンランは神奈川県で絶滅危惧種となっています。
その他ホウチャクソウも生育していましたし、コナラもたくさん種から芽生えていました。
「里山ガーデン」はこうした植物たちを潰して整備されたようです。緑アップと言っている横浜市ですが、本末転倒なことは間違いなさそうですね。
なんでこんなことをしたのか理解が困難です。仮に「自然の森林は失くせ!」「野草なんか滅んでかまわない!」などと多くの市民からの声があったら、市は本当にそのとおりにしてしまうのでしょうか?
谷戸の環境や生きものについての説明パネルが設置されてはいました。
ただ「里山ガーデン」の入り口の広場やメインの花壇周辺には、このようなパネルはなく、奥の谷戸のエリアまで入っていかないと見ることはできませんでした。
パネル1
パネル2
パネル3
谷戸についてのパネルはあったのですが、里山についての説明パネルはみつけられませんでした。
探せばあったのでしょうか?
最後に・・・
来場時に現地の概観を眺めた後、受け付け本部(?)にて「里山ガーデンということですけども、里山に生えている野草は見られないのですか?」と聞いてみました。
「ここはお花を楽しんでいただく場所となっていますので。」とのことでした。
野草の花は花のうちに含まれていないみたいなのがおかしいと思ったので、重ねて聞くと「キンランが外周路に咲いています。」と教えてくれました。
会場のスタッフさんに責任はないと思うので、強く疑問を投げかけはしませんでした。