身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

菅野徹先生の講演会で菊名池の生きもの展示をしました

2011年10月30日 19時42分22秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室
10月15日の土曜日、地元の書店の石堂書店さんで、菅野徹先生の講演会が行なわれました。
この講演会は、地元の著者を招いて年に何回か行なわれる石堂書店さんのイベントです。
私が参加申し込みをした時点ですでに定員をオーバーしていたこともあって、このブログでの案内はしませんでした。
菅野先生は地元篠原・菊名の自然や生きものたちを長年観察し続けてきた方で、執筆された本や新聞の連載記事もあります。

当日の2日前のことです。
私にも5分間くらい話をしてほしいと石堂書店さんから依頼がありました。
早速資料を持って打ち合わせに行ったところ、この夏菊名池公園プールの施設内で行なった、菊名池公園の自然と生きものについての展示もすることとなりました。

当日の内容は2本立てでした。
1本目は講演・お話の部。始めの2時間ほどはメインとなる菅野先生の講演があり、最後の5分間で菊名池の概略と最新の情報について、私からお話をさせていただきました。
(私の話については、同じ内容がこのブログの記事にも載っています。)
そして2本目は、菊名池に移動しての自然観察でした。


会場の入り口です。


菅野先生講演会のサブ的な催しとして「菊名池ミニ水族館」の展示をさせていただきました。
この夏、菊名池公園プール施設内で行なった「菊名池公園の自然と生きもの展」とほぼ同じ内容です。


このように関心を持って見てくれる方が何人もいらっしゃいました。


メインとなる催しの菅野先生の講演会の様子です。


約2時間にわたる公園の後、菊名池公園の自然観察会が行われました。


私は池の中に生息する魚介類をトラップを用いて捕獲し、参加者のみなさんにお見せしました。


菅野先生の説明を聞いている15分くらいの間にモツゴ(クチボソ)、スジエビなどが捕獲されました。
説明を聞いている10分単位の時間でこんなに魚介類が捕獲されたこと、菊名池にこのような魚介類が生息しているということについて、参加者の方々は驚かれていました。

・・・そうなんです。身近にある決して大きくない、そして決してきれいとはいえないこんな池にも、このように色々な生きものたちが生息しているのです。
昔は身近にいて当たり前だった生きものたちが、どんどん姿を消しています。
(私たち人間が、自然を破壊して生物を滅ぼしているということなのですが。)
だからこそ、このような身近な自然とそこに昔から生息している生きものたちとを守っていくことが、今、大切なのです。




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篠原池に今年の初ガモ

2011年10月10日 20時27分53秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室
この時期、毎年そろそろ冬の渡り鳥のカモたちが渡ってくるころです。

そこで今日は、横浜市北東部の五つの池を回って、カモが飛来しているか確かめてみることにしました。

菊名池はプールにカルガモが数羽いましたが、菊名池本体ではカモの仲間も、バンも、カワセミも確認できませんでした。白幡池も同様でした。

篠原池に移動すると、オナガガモがオス1羽メス1羽飛来していました。
カルガモもいましたが冬鳥ではなく、留鳥(季節に関係なく年間をとおしている野鳥)なので除外です。

続いて二ッ池と三ッ池へ。
二ッ池はバンの声は確認できましたが、やはりカモの仲間は飛来していませんでした。
三ッ池に移動すると、中之池に2羽の水鳥の影が。
しかし、よく見てみるとカモの仲間でなく、カイツブリ(カイツブリ目カイツブリ科)でした。

菊名池(港北区)、白幡池(神奈川区)、篠原池(港北区)、二ッ池、三ッ池の五つの池を巡って観察しましたが、1番早く冬鳥のカモが飛来したのは篠原池で、オナガガモでした。


今日(2011.10.10)に確認した篠原池のオナガガモ
横浜市北東部の五つの池の中で、今年初めてのカモ(冬鳥)の飛来となります。


三ッ池では、カイツブリ2羽が確認できました。
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菊名池の生きもの自然調査報告(後半)

2011年10月09日 08時05分31秒 | 1-1.菊名エコクラブの町なか自然教室
「菊名池公園の自然と生きもの展」終了後の課題として考えていた、菊名池の生きもの自然調査。
今回は池の水深とワナによる小型魚介類の捕獲を行ないました。

水深の調査結果は以下のとおりです。
今の菊名池には浅瀬がないことが明確になりました。
菊名池から絶滅または絶滅に近い状態となっている小魚、小エビ、植物が、再び生えてきたり数を増やしたりすることがなかなかできずにいるのは、このことが原因していると考えられます。



部分的に水深の浅めのヵ所もありますが、全体として池の淵からすぐに0.8m程度の水深になっているのです。
池には元々、いろいろな生きものたちが生息しているものです。そしてこれらの生きものたちはそれぞれ、いろいろな環境に生息します。
水深もその環境の一つ。菊名池元来のいろいろな生きものたちが菊名池に住み続けていけるようにするためには、水深の浅い場所、深い場所…と、いろいろな水深が必要です。

近年話題となっている生物多様性の保全。それはその土地元来のいろいろな生きものが生息し続けていくことができるように、いろいろな環境(生息環境)を回復させたり、維持していくことなのです。

生きものの調査に関してですが、次のような経緯があります。



2008年にハスが菊名池の全水面を優占して以来、菊名池に昔から生息している生きものたちは絶滅またはそれに近い状態となっていました。
それが今年2011年はバンが7年ぶりに子育てをしたり、今回調査(2011年9月27日調査)でトウヨシノボリが1匹のみ確認されたりなど少しずつは回復してはいます。
しかし、限界もあることは確か。
以前のような生息に適した環境ではないのに、なんとか適応し子孫を絶やさないようにしようとする野生生物の力強さに、私たちがどう応えるかだと思います。
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菊名池の生きもの自然調査報告(前半)

2011年10月09日 07時17分09秒 | 2-4.菊名池
9月27日、菊名池の簡単な生きもの自然調査を行ないました。
これは「菊名池公園の自然と生きもの展」終了後の課題として考えていたことの一つです。

23日の活動の樹名板を付ける活動に参加の方々に、この調査の参加も呼びかけたのですが、なかなか人が集まりません。
当日9時からを予定していましたが、午後2時から行なうよう変更しました。
参加者は私のほか、菊名池の自然環境保全に強い関心を寄せる地域住民の古川さんと、港北土木事務所の職員の方となりました。

9時過ぎに一時撤退作業をしていると、小学校の児童たちが先生に連れられて自然観察を始めました。
私はサービス精神で、池の中の小魚や小エビを捕獲して見せることにしました。
公園内に生えている野草たちにも目を向けてもらえるよう、「ここにもこんなのがあるよ。」などと声をかけ、質問にも答えるようにしました。
興味を持って聞いてくれたので、調査の参加者に見せようと用意していた昔の菊名池の写真なども見せたところ、大変関心を持って見てくれました。
このように地域に残された貴重な自然にふれながら学ぶ自然体験学習は、子供たちの健全な育成のため、また大人が自然の素晴らしさや大切さを再認識するためにも、とても大切なことで、地域の自然を守っていく土台になもなります。

ところが、子供たちに話をしている私に向かって突然「子供たちの前で柵の中に入るのは良くないねぇ!」と文句をつけてきた通りがかりの人がいたのです。
私が「子供たちに池の生きものを説明するのに入っているんです。」と説明しても「許可は取ってるのか?!」などととしつこくからんできます。
「子供たちに授業の一環で生きものの説明をしてるので妨害になります。やめてください。」
「許可は港北土木事務所に取ってるので。」と言っても納得せず引き下がりません。
「港北土木事務所に電話してください!」と3度ほど強く言うと、ようやくあきらめたのか、去って行きました。

活動目的等を理解しようともせず、この人は一体どういう立場でこんなことをしてきたのでしょうか。
嫌がらせだと思います。子供たちもいるのに大変迷惑しました。
この人も会社や家庭で何かあってイライラしていたのかも知れませんが、八つ当たり的な行為は他人に迷惑をかけずにやってほしいと思います。
子供たちには、「自然のことを勉強するためにみんなでやっているので、いいのです。酔っ払いみたいだね。」とアフターフォローしておきました。

菊名池には時折こうした人もいるようです。
菊名池公園の自然や生きものたちとふれあう活動が安全に楽しくできるよう、管理行政や地域との間などで協力体制をつくることも必要だと思います。
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「菊名池公園の自然と生きもの展」 終了後の課題 (後半)

2011年10月08日 08時33分46秒 | 2-4.菊名池
菊名池は数年ほど前までは、昔ながらの色々な生きものたちの生息する良好な自然環境が形成されていましたが、この数年ですっかり変わってしまいました。
それは、テレビなどでも外来種問題として取り上げられている、ブルーギルやブラックバスなどが菊名池にも持ち込まれた上に、同様に外来種である植物のハスまでもが入れられたためです。

↑写真解説
菊名池公園内に設置されている「菊名池の生きもの」パネル。
このパネルは今となっては、数年前まで多種多様な生きものたちの生息場所となっていた時期の菊名池の模式図、過去の菊名池の状態を示したものとなってしまいました。

2008年に行なわれた菊名池の浚渫工事で、これらの外来種は駆除されました。
しかしながら、菊名池で絶滅または激減してしまった生きものたちの保護や生息環境を回復するための措置は行なわれませんでした。
このことを重く見た私は、この工事中に調査を申し入れ、その結果をまとめて提出するということもしています。

↑写真解説
2008年3月、菊名池の浚渫工事の際に行った生きもの調査結果。
私をはじめ、三ッ池公園でボランティア活動する方、地域の子供や父兄の方たちで集まり、生きもの調査を行いました。
ブルーギルやブラックバスは確認されましたが、菊名池に昔から生息していた小魚であるモツゴ(クチボソ)、ヨシノボリ、ドジョウ、小エビであるスジエビ、テナガエビ、ヌマエビは1匹も確認されませんでした。

また、その直後には正式に調査協力依頼を受けて、「(仮称)菊名池改修工事に伴う水生生物補足調査業務委託報告書」を作成。
この時、依頼を受けた調査員の立場で菊名池の中にも入りました。
報告書の中では、これらの調査結果を踏まえて、目標とすべき菊名池の将来像(下図参照)やそれに必要な作業内容、全体のフローチャートも記述しています。
これらも、こうした項目を報告書に入れてほしいとの要望が行政からあったからです。
ですが、3年経った現在になっても菊名池の自然環境を回復させるための措置は何も行なわれていません。



港北区には「まちづくり基本方針」というものがあり、「菊名池の生物生息環境を保全する」ことも目標の一つになっています。(下図参照)



「目標とすべき菊名池の将来像」はこれをベースに設定されています。
しかしこれは、始めに示した菊名池公園内に設置されている「菊名池の生きもの」パネルに描かれている自然環境にほかなりません。
つまり「目標とすべき菊名池の将来像」とは、数年前までの自然環境の良好だった菊名池の姿を回復させるということなのです。

なかなか自然環境回復措置が行なわれない理由の一つとして、行政の方も予算が限られていて、なかなかそこまでできないということがあります。
こうしたことも理解している私としては、それならば仕事(一時的な内職)となるかボランティアとしてやるに関係なく、地元の自然を次世代に残していきたいという強い思いを持つ市民ボランティアの立場で、調査をしようということになったのです。

この調査は27日に実施しましたので、次の記事で結果を報告することにします。
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「菊名池公園の自然と生きもの展」 終了後の課題 (前半)

2011年10月08日 07時32分53秒 | 2-4.菊名池
この夏、菊名池公園プールのプール施設内にて「菊名池公園の自然と生きもの展」を行ないました。
準備の際、展示のために菊名池に昔から生息している小魚や小エビを捕獲しましたが、捕獲できなかった種類もいたのです。
そのため、これらの生きものが本当に菊名池から絶滅してしまったのかどうかなど、環境調査を行なう必要があると考えていました。



写真解説
「菊名池公園の自然と生きもの展」で展示した生体(生きた生きものの飼育展示)はモツゴ(クチボソ)、トウヨシノボリ、スジエビ、ヌマエビでした。
しかし、トウヨシノボリとヌマエビは菊名池では捕獲できず、市内の他の池で捕獲しました。

この調査は池の中に入る必要があるため、実施の時期としては生きものたち、特に水鳥たちの生息を邪魔しない時期を選ぶ必要があります。
具体的にはバンの子育てが終了する9月下旬から、キンクロハジロが飛来する前の10月上旬に限られ、この期を逃すと、また1年先を待たなければなりません。

喜ばしいことに「菊名池公園の自然と生きもの展」は多くの方たちに見ていただけて、人気がありました。
このような菊名池の自然や生きものに関心のある人々に参加を呼びかけ、みんなで「菊名池の環境調査」を行なえれば良いなと思っていましたが、そこまで参加を呼びかけられるような意見や感想は寄せられませんでした。
そこで、管理行政の立会いのもとで、単独に近い形で行なう可能性が大きくなっていきました。


写真解説
今年は7年ぶりに菊名池でバンが子育てをしました。また冬になるとキンクロハジロの群れが飛来します。
池の中に入っての調査はこれらの水鳥たちに影響のない時期を選ぶ必要があります。
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