トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

リアルな世界へ その2

2008-06-07 22:13:44 | 社会
 「アイヌ民族を先住民とすることを求める決議」が昨日、衆参両院本会議でそれぞれ全会一致で採決された。これを受けて町村官房長官は、政府として初めて認める所信を述べた。何故、こんなに時間がかかったのだろう。フィクションとしての単一民族説にこだわっていたからなのだろうか。昨年9月に国連で「先住民族の権利に関する国連決議」が日本政府も賛成の上採択されたことを踏まえた決議は、「アイヌ民族の長年の悲願を映したものであり、同時に、その趣旨を体して具体的な行動をとることが、国連人権条約監視機関から我が国に求められている」「政府に対しては、アイヌの人々を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること、及び有識者懇談会の設置を求める」内容となっている。

 「おい地獄さ行(え)ぐんだで!」
 二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛が背のびをしたように延びて、海を抱え込んでいる函館の街を見ていた。――漁夫は指元まで吸いつくした煙草を唾と一緒に捨てた。  そんな出だしで始まる、小林多喜二のプロレタリア小説「蟹工船」が売れているという。新潮文庫では新たに5万部増刷して、2か月で合計24万部の売上だという。意外な展開だった。今、これ程売れるとは。確かに、本屋に行くとまとめて置かれているのを目にする。今年は、多喜二の没後75周年だが、このような現象が起きるとは予想もつかなかった。
 蟹工船とは、北洋に出てカニを捕獲、そのカニを直接船上で缶詰に加工していた船である。400人近くが乗船し、一度漁に出ると、半年近くは戻らなかったという。小説では、船上での過酷な労働と虐待から労働者がストライキに立ち上がるまでを描いている。(1953年に、俳優の山村聡監督で映画化されている。また、現在、マンガ化もされている。「30分で読める…大学生のための 蟹工船」(藤生ゴウ・東銀座出版社)、「蟹工船(まんがで読破)」(イーストブレス)の2冊)。
 一部の派遣やフリーターの若者の共感を読んでいるらしい。自分たちも劣悪な労働関係に置かれている状況が、蟹工船の世界につながっていると感じ取ったのであろうか。
 最近も、グッドウィル課長らが職業安定法、二重派遣幇助の疑いで、警視庁保安課により逮捕されている。港湾運送業務に従事した労働者から一人当たり約2000円を東和リース社は得ており、さらにグッドウィルもピンはねをしていた。

 「ロスジェネ」と「m9」の2誌ともに、創刊号で「非正規労働者」の問題を取り上げている。両誌には、「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。
希望は、 戦争。」を書いた赤木智弘さんが対談で登場している。「フリーターの中で戦争待望論が起きているらしい」との憶測を呼んだ当人である。前者の雑誌は「左」、後者は「右」という立場。

 「ロスジェネ」の介護労働者ライターの杉田俊介氏の指摘。赤木氏の10年以上に書き継いできたウェブ日誌を読み説いた結果からのものだ。赤木氏の地元の北関東的風土へ、両親へ抱く執拗な怒り・嫌悪・殺意。両親の仕送りが1日遅れただけで、激怒し、ネット上で両親への批判を書く。父親の会社の給料支払いが1日遅れたためと翌日判明。「両親の存在は、生活財や家事労働力を無償提供するホスト/メインバンクでしかない。ここでも親子関係の比喩は寄生虫(パラサイト)に傾斜する。実際これ(所得移転=相続の格差〉はフリーター問題のコア、躓き(つまづき)の石であり、むしろぼくらは卑近な親との戦争を通過し損ねているからがゆえに抽象的な戦争希望に迷い込んでしまうのではないですか。金銭問題を親の世代に押し付け、現実的な敵を敵と見すえてこなかったゆえに、空想の敵を捏造してしまうこと―ぼくらにとってそれは「強権を敵とし得る境遇の不幸よりもさらに一層不幸」(啄木「時代閉塞の現状」1,910年)ではないですか。」

 今度は、赤木さんの対談を読み取っていきたい。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。