トッペイのみんなちがってみんないい

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アスペルガー症候群の本・学校編

2008-09-10 10:54:55 | 障害
 「アスペルガー症候群(高機能自閉症)の子どもを育てる本 学校編」
 監修 佐々木正美(川崎医療福祉大学特任教授)・講談社

 アスペルガー症候群をはじめとする発達障害について、社会の注目が集まるようになったのは最近の事である。テレビ等で取り上げる機会も増えてきた。一時、「自閉症」がその語感から誤解を受けることが多かったように、発達障害もなかなか社会に認知されていない。

 現在、全国にある発達障害の支援のための相談窓口はパンク状態で、順番待ちをしても、相談日がは半年先を超える地域が珍しくないという。また、平成19年度からは、全国の小・中学校で特別支援教育が始まったが、教育現場での発達障害児に対する理解も支援も、まだ十分ではないという。

 この本の前書きにもあるように、誰にも相談できず、不安な人にこの本を読んで欲しいというのが監修者の希望だ。相談をする前に、今すぐできることは、子供の行動をしっかりと観察して、彼らの本当の気持ちに寄り添うように対応することである。子供を理解すること、すべてはそこから始まる、この前書きの言葉が本書の意図をよく示していると思われる。姉妹編の(家庭編)と合わせて読まれることで、アスペルガー症候群が少しでも理解出来たら良いなと思っている。

 アスペルガー症候群は、生まれながらに脳機能に障害があることから起こり、発達の様々な面に偏りが出現する。高機能自閉症と同様の特徴を持っている。勉強も会話も日常生活も、一見すると偏りがあるものの、よく出来るために障害だと気付かれにくい。成人してから、診断されるてその時に初めて自分の生涯を知る例も少なくない。

 アスペルガー症候群の人は、同じ空間に他人といても、自分独自の世界に生きているようだ。と言っても、彼らが同じ1つの異世界にいる訳ではなく、10人いれば10の世界に生きていることになるのだろう。アスペルガー症候群でいう障害とは、本人の障害と共に、我々と彼らが誤解しあう時に生じる障害だ。だから、彼らの苦悩を解消するためには、両者が分かりあう事が求められる。本書は、そうした方法・対応の仕方を提示している。もちろん、同じアスペルガー症候群の子供でも、特性は一人一人異なることを理解することを強調している。ある子供にうまくいった支援が別の子供に有効でないことは当然起こりうる。専門家が提示した方法が、状況によってはうまくいかないことも本書では述べられており、特定の方法に固執しないで、自分の目の前にいる子供が何に困っているのかを判断することの大切さを述べている。こうした本の記載は、便宜上共通した傾向をまとめなされているが、あくまでも参考として活用するようにとちゃんと述べてある。あくまでも、今、自分の身近にいる子供が、何に困っているのかを具体的に把握してこその支援であるという。誤った支援は、子供をさらに苦しめるだけだという。

 具体的な対処の方法については、本書を読んでいただきたいが、最後にこの本の中で述べられていて、大事なことだと思われる個所を引用する。
 
 「アスペルガー症候群は、治療や教育によって、体からとりのぞけるものではありあせん。 治そう、なくそうとするのではなく、アスペルガーの特性を理解して、それにあった生き方を探っていきましょう。一人ひとりにあった幸福な人生が必ず待っています。自分らしく生きることこそが、アスペルガー症候群の人のゴールなのです。」


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2 コメント

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共に歩き共に見つめる。 (小町)
2008-09-10 13:53:24
理解すること、相手の立場に立ってみて、わかる気持ち、苦しみって、あるね。

私だったら、どうしたろう?
そう、考えるだけでも、優しい気持ちになれて、自分も頑張ろうとか、思えるねっ。

それは、同情とか、そういうんじゃなくて、深い愛だと思う(^^)よん。
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Unknown (トッペイ)
2008-09-10 16:57:34
アスペルガー症候群の子どもを傷付けないためには、子どもの気持ちを理解し、困っていることを探ること。自己肯定感を高めること。難しいことです。専門家でない僕たちに出来ることは、発達障害の人や家族の声を聞くことから始まると思います。
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