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周囲で気がついてほしい子供のダブル・ビジョンの絵本『どうしてダブってみえちゃうの?』

2012-11-07 23:57:35 | 絵本・児童文学
どうしてダブってみえちゃうの?
ジョージ エラ・リヨン
岩崎書店


 子供にとって、自分が障害を持っていたり、人とは違うところがあると気がつくことが難しいことがあります。これは、他人との比較という要素が入ってくるからであり、「比較する」という行為がその子にとって、未体験の行動であったり、そもそも理解しがたい概念だったりするわけです。
 本を読むのが苦手な子供については、教師や親などの周囲の大人たちが気づいてあげる必要があります。本人にとっては、早いときは生まれてからずっとそうして状態でいることが「普通」になっているからです。
 ディスクレシアやLDのように、脳の機能障害の場合もありますし、内科的疾患が原因となるものもあります。気付きの後、専門家に診断してもらうことになります。
 この絵本の主人公の小学生のジニーは、ものがダブって見えるダブルビジョン(複視)の少女です。読書の大好きな女の子ですが、本の中の字や絵が二重に見えてしまいます。そのため、いつも同じ分を2回読んでしまいますし、はさみを使って絵を切り抜くことも苦手でです。読書会の時にすわる椅子もダブって見えてしまうため、椅子にすわるのも大変な作業でした。先生は、本を読むのに顔を近づけることや、文を2回読みことは必要ないと注意してくれますが、ダブル・ビジョンには気がついていませんでした。それに、ジニー自身、そうしたものの見え方は、物心ついたころからの感覚ですから、自分以外の人たちも同じような見え方だと信じていました。ただし、不便さは感じていました。
 でも、学校での眼科の検査の時に、症状が判明しました。その時のジニーのショックは大きかったのは、自分が周囲の人と違っていたということがわかったからでしょう。彼女の涙は、もっと早く気づいてくれる大人がいれば流れることはなかったでしょう。
 彼女の場合は手術は必要なく、矯正のための海賊のような黒い眼帯がお気に入りにもなりました。片目では、ダブって見えなかったので、眼帯による矯正の後は、メガネで障害は治るということでした。
 この絵本で、ジニーのような子供の周囲と自分との違いを知るまでの心の動きや、眼帯をつけた治療が「かっこいい海賊」というイメージにつながったという面白さも読み取ることができると思います。
 ダブル・ビジョンも片目で見たときにダブって見えるものや、治療に手術が必要なものなど、ジニーとは違った対処法を取らなければならないものもあるそうです。まずは、周囲の大人が気づいてあげて、絵本の中では教師が気づくべきでしたが。専門家の治療に結びつけることが必要ですね。
 また、この絵本を読む子供たちには、そうした障害を持つ友達のことや、障害を受け入れることの意味も感じ取ってもらえたらいいですね。


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