1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

The Stanley Clarke Band and Hiromi

2011-02-28 07:53:49 | 音楽
グラミー賞の best contenporary jazz album受賞作です。

Return to Foreverの名曲'NO MYSTERY'からベースのソロ曲'BASE FOLK SONG'まで、スタンリー・クラークのビートのきいたエレクトリック・ベースと熟練の技巧を十二分に堪能することができます。とてもいいCDだと思いました。

上原ひろみも、自らが作曲した'LABYRINTH'など4曲で参加。'LABYRINTH'は、曲も演奏も、上原ひろみらしさがとてもよくでていると思いました。上原ひろみの参加した4曲からは、スタンリー・クラークと一緒に演奏できることが、楽しくてしかたがないというひろみの思いが伝わってきて、聴いていてとてもハッピーな気持ちになりました。

来月は、上原ひろみの新作「ヴォイス」が発売されますね。発売が待ち遠しいです!!



七回忌

2011-02-27 15:37:31 | 日記
今日は、87歳で他界した父の七回忌でした。

七回忌というと、他界してから丸六年。この六年間は、ほんとうにいろんなことがあった六年間でした。お経を聞きながら、「おとうちゃん、長い間ほんまにありがとう」と声をかけた時に手を握り返してくれた父のことと、この6年間の出来事を一つ一つ思い返していました。

葬式も七回忌も残された者のためにあると、今日は、改めて思いました。

85歳の母は、この二三ヶ月、法事の企画に燃えていたそうです。「次の13回忌には、もうおれへんかもしれんなぁ」とは、母の言葉。13回忌も、みんな元気で集まることができればほんとうにいいのにと心から思いました。

「マリアビートル」(伊坂幸太郎)

2011-02-26 19:14:42 | 
アルコール依存症の元殺し屋「木村」。人の心の弱みに付け込み、他者を支配することに喜びを見いだす中学生「王子」。ドストエフスキーが大好きな「蜜柑」と機関車トーマスのが大好きな「檸檬」。悪運につきまたわれた「七尾」。毒針で一瞬にして他者を殺害してしまう「スズメバチ」などなど。東京から盛岡に向かう新幹線に乗り合わせた殺し屋たちが、持てる力を尽くして、密室の中で殺しあうというお話です。

ルワンダでの大量虐殺、戦争、国家による殺人である死刑。伊坂幸太郎は、悪の化身である中学生の言葉を通して、「どうして人を殺してはいけないのですか」という問いを私たちに投げかけます・・・これが、この本の隠れた主題なのだと思う。

そして、最後に、この小説に登場するただ一人の普通の人である塾教師の言葉を通して、次のように答えます。

「殺人を許したら、国家が困るんだよ。たとえば、自分は明日、誰かに殺されるかもしれない、となったら、人間は経済活動に従事できない。そもそも、所有権を保護しなくては経済は成り立たないんだ。そして、『命』は自分の所有しているもっとも重要なものだ。そう考えれば、まずは、命を保護しなくては、少なくとも命を保護するふりをしなくては、経済活動が止まってしまうんだ。だからね、国家が禁止事項を作ったんだよ。殺人禁止のルールは、その一つだ。重要なものの一つ。そう考えれば、戦争と死刑が許される理由も簡単だ。それは国家の都合で、行われるものだからだよ。国家が、問題なし、と認めたものだけが許される。そこに倫理は関係ない。」

「国家が困る」・・・この言葉を読んだとき、独裁政権打倒のためにデモで立ち上がった市民たちを、傭兵を使って殺戮しているリビアの姿が頭に浮かびました。そして、フィクションの世界から、現実の世界へと急降下していくような気持ちになりました。

伊坂幸太郎は、この本の題名「マリア・ビートル」について、次のように書いています。

「レディ・ビートル、てんとう虫は英語でそうよばれている。その、レディとは、マリア様のことだ、と聞いたことがあった。マリア様の七つの悲しみを背負って飛んでいく。だから、てんとう虫は、レディ・ビートルと呼ばれる。」

国家の暴力によって、無慈悲の撃ち殺されていく一人ひとりの市民の存在が、とても悲しいと思った一冊。伊坂幸太郎を読んだ後にいつも感じる爽快感は、さすがに今回は伝わってこなかった。






講師

2011-02-25 19:19:15 | 日記
ユニオンおおさか」という労働組合が、大阪府の受託業務として去年の10月から「職場の悩み労働相談」を始めました。この4ヶ月間で、解雇や賃金未払いなど110件の相談がよせられたそうです。

「ユニオンおおさか」の方から、労働相談員を育成するための研修会を定期的に実施しているのだけれど、「中小企業経営者から見た職場のトラブル」というテーマで、2時間ぐらい話をしてもらいたいという要請を年末に受けました。今日、やっとお互いのスケジュールがあって研修会でお話をしてきました。

1. 中小企業特有と思われる労使間のトラブルについて
2. 職場に問題が生じたとき、解決のために経営側としてどんな手段を講じましたか。その際、どのようなことを期待してその手段を選択されたのですか。

上の二つが、僕に与えられた宿題でした。

僕自身の経験や、僕の会社が今ぶつかっている問題にふれながら、与えられた宿題について精一杯のお話しをしてきました。貸借対照表の見方や損益計算書の見方も、労働相談に必要な知識として少しだけ紹介しました。

話し終わって、良い話だったというお褒めの言葉をいただきました。僕も、いいお話ができたと思っています。自分がぶつかっている問題を皆さんに聞いてもらっているうちに、話をしている僕の心が癒されていくのを感じました。

今日は、どうもありがとうございました。

ロイ・エアーズ and ピート・ロック

2011-02-24 21:46:09 | 音楽
今日は、





ビルボードライブ大阪で開かれた



ロイ・エアーズ and ピート・ロックのライブコンサートに行ってきました。ロイ・エアーズは、今年70歳のジャズ・ヴィブラフォン奏者です。

ロイ・エアーズの年齢を感じさせないエネルギッシュな演奏にまずは感動。ロイ・エアーズだけでなく、名曲「チュニジアの夜」を演奏するアルト・サックスもベースもドラムも、とてもうまかったです。

演奏を聴いているうちに、自然とグルーブ。最後の二曲は、立ち上がって、ミュージシャンと一緒に跳びはねておりました。

ミュージシャンのすぐそばで聴けるライブ演奏を堪能。また、来月も行きたいなぁ。

「老いの超え方」(吉本隆明)

2011-02-23 17:23:12 | 
著者の吉本隆明は、1924年12月生まれの86歳。この本は、83歳の時の作品です。

糖尿病をかかえ、白内障と腸ガンの手術をし、歩くことも本を読むこともままならない。頻尿で、夜は紙おむつをつけてねる。そんな老いの姿が、カラー写真入りで紹介されています。

あとには死ぬしかないという思いで鬱な気持ちになったり、他人の親切が負担に思えたり、普通の老人が感じる思いも、とても正直に語られています。僕も、もうすぐそのようなことを思う年代になるのですね。鬱な気持ちになった時、吉本は、日々の小さな喜びを大切にするのがいいと書いています。これは、メモしておこう!!

吉本隆明は、自らの「老い」を「標本を見る」ように、客観的に考察していきます。そして、老人とは反射的に行動する動物からはるかに隔たった『超人間』である、というポジティブな結論に到達します。

「動物身体の運動性は人間を除いてすべて反射的なものだ。意志と行為のあいだに分割や間隙がない。人間は意思することと身体運動を起こすこととのあいだに時間差があり、そのあいだにあらぬ空想をまじえたり、想像にふけったり、妄想や思い込みにとらわれたりする。これは身体運動を鈍く遅くするが、思考や想像力を豊かに発達させ、言葉を生み出すことに寄与してきた。老齢者は身体の運動が鈍くなっていると若い人はおもっていて、それは一見常識的のようにみえるが、大いなる誤解である。老齢者は意思し、身体行動を起こすことのあいだの『乖離』が大きくなっているのだ。言い換えるにこの意味では老齢者は『超人間』なのだ。」

豊かな知恵を蓄積してきた老人たちが集まって、知恵を提供する会社を設立するとか、老人ホームの隣に保育園を設置し、行き来を自由にするとか、病院などの組織は管理する側でなく管理される側の利益を最大にする必要があるとか、ユニークな提案もしています。

「反省力というのが若いときよりも増大している」これも、吉本の言葉。僕も、反省力にあふれた「超人間」になっていくのだと思うと、なんか元気がもらえたような気がしました。

「性欲は精神と身体の統合したもので、決して衰えない。」
そうなんや・・・・。


雇用情勢、まだまだとても厳しいのですね

2011-02-22 23:10:21 | 経済指標メモ
久しぶりの経済指標メモ。朝、この記事(日本経済新聞)を読んであらためて雇用情勢の厳しさを実感しました。

総務省が21日発表した2010年の労働力調査によると、年平均の完全失業者334万人のうち、期間1年以上の長期失業者は前年比26万人増の121万人と過去最多になったそうです。長期失業者が100万人を超えたのは6年ぶりとのこと。ちなみに2007年は、約85万人でした。

1年以上失業状態にある人を年齢別にみると、25歳~34歳が32万人、55歳以上が30万人で、ともに去年より大幅に増加しました。

僕の身の回りにも、一生懸命仕事を探しているにもかかわらず、仕事に就けない方が何人かいらっしゃいます。その人たちのことを思うと、とても心が痛む記事でした。

「かたちだけの愛」(平野啓一郎)

2011-02-21 19:30:13 | 
自動車事故で片足を切断する大怪我を負った女優叶世久美子と、偶然事故現場に駆けつけ、彼女を救助したプロダクト・デザイナーの相良郁也。30代の男女が主人公の物語です。

事故の後で、相良郁也は、ひょんなことかあ久美子の義足を作る仕事をまかされます。健常者がうらやむような義足を作りたい、そのような思いを共有しながら二人は愛をはぐくんでいきます。

平野啓一郎は、物語の最後で「愛」について次のように書きます。

「彼はこれまで、自分という人間を愛したことがなかった。彼は今、久美といるときの自分が好きだった。」

「なぜ人は、ある人のことは愛し、別のある人のことは愛さないのか? 愛とは、相手の存在が、自らを愛させてくれることではあるまいか? 彼は今、誰よりも久美を愛していた。そして、彼女の笑顔が、自分の傍らにある時こそ、最も快活であって欲しかった。彼女にとっての自分が、そういう存在でありたかった。」

心と体に傷を持つもの同士の「愛」による再生の物語ですが、「決壊」で、一切の救いも希望もない世界を描いてみせた平野だからこそ、この小説を書くことの意味があると思いました。

読み終わって、ドストエフスキーの「罪と罰」のラスコーリニコフの復活を思い出しました。


昼下がりのジャズライブ

2011-02-20 17:40:14 | 音楽
体調、やや回復。昼前からぶらりと地元神戸を歩いて来ました。



兵庫県公館の



チューリップを見て



北野を





散歩して



ライブハウスのソネへ。



昼下がりのジャズライブを聴いてきました。



やさしさが伝わってくるような石川武司氏のピアノも、ゆたかな声量で情感たっぷりに「追憶のテーマ」やジャーニーの「翼をひろげて」を歌う石田裕子のボーカルも、とてもよかったです。アンコールのバイ・バイ・ブラックバードは、観客と演奏者がひとつになって楽しめたように思いました。

うーーん、神戸や!!

Art Pepper Meets The Rhythm Section

2011-02-19 12:23:58 | 音楽
月曜日から木曜日まで韓国出張で疲れたのかな、今日は久方ぶりの絶不調。体は不調でも、気持ちだけはリラックスしたい・・・というわけで、聴いているのが



このCD。アルトサックス奏者アートペッパーの1957年の作品です。アルト・サックスの透明な音。レッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)の軽快なリズム。聴いていて、とてもいい気持ちになります。

このCDは、ヘレン・メリルの名演で有名な"You'd be so nice to come home to"から始まります。「君のいる家に早く帰りたい」というせつない気持ちを歌った歌ですが、アート・ペッパーは、この曲をとても軽やかに演奏して見せます。

ヘレン・メリルの歌が、いつ帰れるかわからない切なさとやるせなさを歌ったのだとしたら、アート・ペッパーの「早く帰りたい」からは、もうすでに帰りの飛行機便を待っているような、あと数時間もすれば君に会えるんだという、そんなわくわく感が伝わってきます。同じ曲を演奏しても、演奏者の個性によって、いろんな解釈を楽しめるところに、ジャズの楽しさの一つがあるのでしょうね。

早く、体調が回復しますように。

「名画はあそんでくれる」(結城昌子)

2011-02-18 19:31:39 | 
韓国に行く飛行機の中で読んだ本。著者は「画家の手もとに迫る原寸美術館」を書いた結城昌子です。



著者は、この本の冒頭で「いい絵には人を励ます力と慰める優しさ」あり、「一生の友だちで」であると書いています。

プラド美術館に行ったときに、ベラスケスに目をうばわれすぎて、ゴヤにたどり着いたときにはくたくたになっていたという話(僕もそうだった!)。ムンクの叫びを見せたときに、多くの子どもたちが「カツラがとんでしまった」という叫びをイメージしたとうエピソードの紹介。モナリザの絵の衣装と背景を代える名画遊び(ポップな髪型と衣装を着けた寝起きのモナリザはとてもいい!!)。フェルメールの「牛乳を注ぐ女」の手首の先だけが日焼けしているという発見や、「空気にも表情がある」というターナーの絵に対するまなざしなどなど。

絵が友だちのように大好きで、何度も励まされてきた言う著者の経験と思いが、一つ一つの文章からとてもよく伝わってきました。読んでいる僕も、とてもハッピーな気持ちになりました。

著者は、この本の最後のほうで「すべての表現行為のはじめには愛とよぶはかない力が深く関わっている」と書き、ボナールと妻のマルトが二人だけで暮らした家を訪れた感想を次のように書いています。

「愛の巣は想像よりずっと質素だった。画家の筆が、ありふれた日常をこんなにも特別なものに昇華させていたのだ。質素な家でのささやかな愛の暮らしを、夢見るように膨らんでいく色彩で埋め尽くすこと。その日、筆を握るボナールの後ろ姿に私は出会ったような気がした。」


ボナール「田舎の食堂」

ボナールとマルトの愛のかたちが、とても素敵に思えた一冊でした。

ソウル出張

2011-02-17 06:59:43 | 旅行
ソウル出張も今日でおしまい。3時の飛行機で日本に帰ります。



前回景福宮を訪れた時には工事中だった光化門が新しくできあがっていました。



いつきても人がいっぱいの南大門市場。



仁寺洞のそばにあるSK建設の本社に打合せで行ったのですが、そのビルの入口にかかっていた絵。1919年の3.1独立運動の時に、ここで独立宣言文が起草されたそうです。











今回食べた韓国料理(一部)。おなかいっぱいです。しばらくは韓国料理は食べなくてもいいだろう。

済州島出張

2011-02-16 00:48:28 | 旅行
月曜日と火曜日は済州島、いまソウルのホテルに到着しました。

済州島では、ことしのはじめから海軍基地の建設が始まりました。



防波堤の建設工事について、サムソン建設の現場事務所で打合せをしてきました。





これが、海軍基地の建設される現場です。この景色がなくなることを思うと、とても複雑な気持ちになりました。







日本も月曜日は雪だったそうですが、同じ済州島でも、南の端にある工事現場は快晴だったのですが、北のほうの峠は大雪でした。



ここは、今回の出張で唯一寄った観光地、龍頭岩です。

さてと、木曜日までソウル。うーん、先は長い。

「悪の教典(下)」(貴志祐介)

2011-02-15 21:11:51 | 
下巻では、主人公の英語教師は、女生徒と性的関係を持った自らの身を守るために、2年4組の生徒全員を殺害することを決意します。出口をふさがれた校舎という密閉空間の中で、散弾銃を持った「怪物」と生存をかけた40名の生徒たちの闘いがくりひろげられていきます。しかし、生徒たちは、一人また一人と分刻みで殺害されていきます。

読んでいて、いいかげん嫌になったというのが正直な感想です。著者が伝えたかったことも、なぜこの本が「このミステリーがすごい!」の第1位なのかも、僕にはよくわかりませんでした。深読みをすれば、医者の息子で、京大からアメリカ留学、MBAを取得して、巨大証券会社で為替ディーラーをして、そこで挫折し、高校教師になるという主人公の設定の中に、巨大金融資本の弱肉強食のイデオロギーと、それに支配されている世界があって、弱者としての私たちはそれとどう向き合っていくのかという問いがあるのかもしれないけれど・・・それでもなお、よくわからなかったです。



唐招提寺

2011-02-14 05:39:35 | 日記
薬師寺から歩いて5分。唐招提寺の南門を入って、思わず「美しい!!」という声を上げました。



木々の緑と黄土色の道と白砂。そして金堂のたたずまい。ぼくが見たお寺の中でも、唐招提寺は五指に入ると思います。



金堂。千手観音立像と蘆舎那仏座像、薬師如来立像は天平時代(8世紀)の作品です。



講堂。



鼓楼。



校倉。



境内を散歩して、帰ってきました。





これは薬師寺から唐招提寺に行く道に咲いていた梅の花。こうして元気にお寺を見て回れることがとても幸せに思えた一日でした。