1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

弁護人

2013-12-26 13:51:17 | 映画

昨日の夜は、ミリャンにある小さい映画館で

弁護人を見てきました。今、韓国で話題の映画です。

1981年、軍事政権下の韓国。高卒にかかわらず苦労の末に弁護士になった主人公が、ひょんなことから国家転覆罪で逮捕された青年の弁護を引き受けるところからストーリーは始まります。裁判を通して、青年の容疑事実は、過酷な拷問によって捏造されたものであることが明らかになっていくのですが。。。。。

主人公のモデルは、人権弁護士時代のノムヒョン元大統領であると言われています。主演、ソンガンホの迫真の演技に、ただただ感服。プサンが舞台なので、プサンマルがとびかうのですが、頭の中で日本語に翻訳するのを忘れるぐらいに映画に引き込まれていました。

映画が終わった後で、満員の観客から大きな拍手。日本で公開されることがあれば、おすすめの一作です。


チング2

2013-11-30 21:53:05 | 映画

今日は、プサンにある映画館で、こちらに来て初めて映画を見てきました。

名作「チング」の続編「チング2」。

残念ながら「チング」には、はるかに及ばない作品でした。

プサン弁と、ここまでやるのという暴力シーンの連続で、見終わった後、なぜかお腹がすいた一作でした。

ちなみに映画代金は、9000ウォンだから日本の半額でした。

 


「李藝ー最初の朝鮮通信使」

2013-09-18 14:45:35 | 映画
日本に一時帰国です。次は、27日に韓国に行きます。
こんどは、ちょっと長くなります。今日は、
「李藝ー最初の朝鮮通信使」という映画を見てきました。
俳優ユン・テヨンが、
15世紀、最初の朝鮮通信使として、日本と朝鮮を40回も
行き来した李藝という外交官が歩んだ道をたどるという
ドキュメントです。
ソウル→プサン→対馬→博多→下蒲刈→鞆の浦→室津→兵庫→京都。
映画に出てくる室津のおばちゃんたちがとても良いのです。
ユン・テヨンにハグしたり、ため口をきいたり。
ユン・テヨンとおばちゃんたちの束の間の交流を見ているうちに
胸にじーんとこみあげてくるものがありました。
良い映画だと思いました。

「ハナ 46日間の奇跡」

2013-08-07 18:38:23 | 映画
「ハナ 46日間の奇跡」という映画をみました。

1991年の世界卓球選手権で、南北朝鮮が統一チームKoreaを結成。
政治に引き裂かれそうになりながらも、 選手たちは一つになり、優勝する
というお話。プサンの訛りや共和国北部の訛りも聞けて、
なかなか楽しかったです。

映画は、今もなお一つの民族が分断されているという悲劇を、
見ているものの心に残して終わります。

ラストは、冗談抜きで涙が出た。

「拝啓、愛しています」

2013-01-26 12:07:01 | 映画
韓国映画「拝啓、愛しています」を見ました。原題は'그대를 사랑합니다 'と言います。妻に先立たれ、牛乳配達をしながら生計を立てている70歳後半の男性が、牛乳配達の途中で、ひょんなことで少し年下の女性とめぐり合うところから物語は始まります。この時出てくる慣用句が、'옷깃만 스쳐도 인연이 있다(えりだけ擦れても因縁がある)'。日本語の「袖すりあうも多少の縁」にあたる言葉です。老いた男女の、とてもピュアーな愛の物語です。

韓国語に日本語の「分ける」を意味する'나누다 'という動詞があります。'나누다 'は、日本語の「分ける」より意味が広くて、「分かち合う」という意味を含んでいます。韓国語では、'이야기(話)'も、'술(酒)'も、'밥(ご飯)'も、'슬픔(悲しみ)'、'기쁨(喜び)'も、'사랑(愛)'も、'나누다 'します。ともに語り、酒を飲み、ともに食事をし、ともに悲しみ、そして愛し合う。'나누다 'という言葉が、ぴったりの映画でした。 

老人の孫娘が、老人に、「おじいさん、好きな人がいるなら、『당신을 사랑합니다(あなたを愛しています)』と言葉でつたえなければだめだよ」という言葉をかけるのですが、老人は、「'당신(あなた)'は、長年つれそった妻のためにとっておく言葉なのだ」と答えます。そして老人は、新しくめぐり合った女性に、'그대를 사랑합니다 'と愛を告白します。この'그대를 사랑합니다 'が映画の原題なのですが、'그대 'をどう訳したらいいのか、この文章を書いている今も、僕にはわからないのです。

長年寄り添った亡き妻への思いがこもった'당신 'という言葉と、今をともに歩みたいという思いがこもった'그대 'という言葉が、とても心にしみた映画でした。

「恋する宇宙」

2011-06-13 20:10:32 | 映画
アスペルガー症候群の男性アダムと、同じアパートに住む女性ベスの物語。



宇宙のことを話しだすと止まらない、場の空気が読めない、他者の言葉にこめられた感情を理解できない、相手の目を見つめて話すことができない。同居していた父に先立たれ、会社も首になってしまったアスペルガー症候群のアダムを、ベスは理解し、支えて行こうとするのですが・・・・

部屋の天井にうつるプラネタリウムを眺めたり、セントラルパークのアライグマを二人で見に行ったり。ハッピーエンドを予感させるシーンがいくつかでてくるのですが、ハッピーエンドでは終わらないところに、この映画を作った人たちの、健常者と障害者がともに暮らしていくことは、ほんとうに難しいのだという思いがこめられているのでしょう。

この映画を見るまで、アスペルガー症候群についてほとんど知らなかったので、とても勉強になりました。しんみりとした、これもいい映画だったと思います。

話しかわるけれど、明日から土曜日まで、立て続けに韓国からお客さんがやってくる。今週は、ほんとうに忙しい。体、もつかな・・・

「ゴールデンスランバー」

2011-06-09 20:01:59 | 映画
体調いまいち。気分ももうひとつ。なんか、すっきりしたい・・・



そんな昨日に見たのがこのDVD。「ゴールデンスランバー」は、伊坂幸太郎の作品の中で、僕の一番好きな小説です。

仙台市内に打ちあがる花火、下水道、広瀬川、そして耳に聞こえるビートルズのゴールデンスランバー。本では味わえない映像の楽しさを、満喫することができました。おもしろかったです。あー、すっきりした!! 

「酔いがさめたら、うちに帰ろう」

2011-06-06 19:16:38 | 映画
昨日、芦雪は大酒のみだったという話をしたけれど、大酒のみというとこの映画。

吐血、暴力、腎臓がん、生きているのが不思議だと医者から宣告されているアルコール依存症の戦場カメラマンが、離婚した妻や、子どもたち、母親に支えられながらアルコール依存症を克服していくお話です。

アルコール依存症を克服しようとする人々の精神病院でも生活も、くわしく紹介されています。

「病気の中でただひとつ誰からも同情されないものがある。それが依存症だ」これは、医者の言葉。人間生きていくうえで、家族の支えがとても大切だと思った作品です。ラストの忌野清志郎の歌も心に染みました。しんみりとした良い映画でした。


「オーケストラ」

2011-05-27 21:05:39 | 映画
第二次大戦後のソビエト・ロシアにおいて、ユダヤ人が迫害を受けてきたことは、よく知られた事実です。この前読んだ、「天職の運命」という本の中にも、そのことは詳しく書かれていました。

1980年のブレジネフ体制下において、オーケストラからユダヤ人を追放するという命令に従わなかったために、オーケストラを解雇され、清掃労働者として働いている元天才指揮者が主人公の物語です。

そんな彼が、30年後にともにオーケストラを解雇になった仲間たちを集め、ボリショイ交響楽団になりしましてパリ公演を行うというお話。演奏曲目は、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲。30年ぶりの演奏、リハーサルもなし。うまくいくはずのない演奏が、名演奏に終わるところがフィクションのフィクションたる所以です。なぜ主人公は解雇になり、若き女性ソリストを選んだのか、すべての謎が名演奏の終了とともに明らかになります。

かつての共産党の威光を忘れることができず、お金を出して集会参加者を集める老共産党員がでてきたり、「ほんとうのコミュニズムとは、一人ひとりが力を合わせるオーケストラのなかにある」という主人公の言葉が出てきたり。デュ・ミヘイレアニュ監督は、80年に共産党政権下のルーマニアからフランスに亡命したそうです。感動的な演奏が終わった後に、この映画を作った人たちの、国家によるユダヤ人迫害への抗議と恨みが、しこりのように残ります。

ユダヤ人への迫害は事実だし、共産党の衰退も疑いようのないことなのだけれど、つくりあげられたこの感動に、このまま乗っかっていいのかなと、ふと思った一作でした。


「ローラーガールズ・ダイアリー」

2011-05-24 21:58:09 | 映画
王道のホームドラマです。





娘が美人コンテストで優勝することに血道をあげる母親と、母親を遠慮がちに眺める父親と。そんな両親の子育てに反撥しながら、ローラーゲームにのめりこんで行く17歳の少女が主人公の物語です。ローラーゲームというと、1970年頃に、東京ボンバーズという日本人主体のチームがあって、テレビ中継を一生懸命見ていたのを思い出しました。とてもなつかしかったです。

親に内緒でローラーゲームのチームに加入して、見つかって、家出をする。年齢詐称がばれて、チームをくびになりそうになる。恋をして、失恋をして・・・。いろんな事が起こるけど、もちろん最後は、親子の絆を確認しあうハッピーエンドで終わります。

この映画を見ながら、義理の父に妊娠させられ、母親に虐待され、未婚の母として生きていくことを決意する「プレッシャス」のことを思い出していました。この落差。アメリカ社会の底辺には、プレッシャスのような人がたくさんいるのだと思う。現実には崩壊している家族がたくさんあって、かつてあったはずの善き家族へのノスタルジーが、かつて人気を博したローラーゲームに投影されているのだと思いました。

パリ20区、僕たちのクラス

2011-05-12 19:25:12 | 映画
昨日は、朝鮮学校の話題だったけれど、学校といえばこの映画。パリ20区にある中学校のドキュメンタリー映画です。



国語教師フランソワと24人の子どもたちの1年間の学校生活が描かれています。中国、マリ、モロッコ、アルジェリア、アンティール。子どもたちの出身国と母国語はさまざまです。

自己紹介の作文を書いたり、むずかしいフランス語の単語を黒板に書き出して、生徒たちに意味を教えるところから授業は始まります。「先生の例文の主語は、白人の名前ばかりで不公平だ」という不満や、「そんな丁寧語は、自分たちの間では誰もつかわないから学ぶ必要がない」という意見も生徒から飛び出します。

1年で12人が問題児として退学処分を受ける。フランソワのクラスのマリ出身者も、懲罰会議にかけられて退学していきます。中国人の生徒の母親は、不法滞在が見つかって強制送還に。

この映画を見て日本とちがうと思ったのは、成績会議の場所に、生徒代表が参加して意見を述べていることでした。

子どもたちの背負う環境の重たさ、先生たちのいらだちや、学校を非難するような保護者の冷めた表情などなど。フランスの教育現場は、とてもたいへんなのだと思いました。もちろんそれは、フランス社会のたいへんさを写しているのだろうけれど。

フランス語がわかれば、国語教師フランソワのフランス語を教える苦労もわかって、もっと深く理解できたのかもしれません。

「闇の列車、光の旅」

2011-05-01 19:54:37 | 映画
ホンジュラスからメキシコを経てアメリカ合衆国に密入国しようとしている少女と、マラ・サルバトルチャ(中南米に実際に存在するギャング組織)のリーダーを殺してしまったばかりに、組織から命を狙われている少年と。二人が、たがいに支えあいながら、必死でアメリカ国境をめざすというお話です。

はたして二人は、メキシコを縦断してアメリカ国境にたどり付けるのか?この話もスリリングでおもしろかったけれど・・・

ホンジュラス、グアテマラ、メキシコで暮らす人びとの姿、中南米の風景、生活に絶望しながらギャングの一員となる少年たち、そして、命がけで列車の屋根に飛び乗ってアメリカへと密入国していく多数の人びと。これらの映像に度肝を抜かれてしまいました。

とてもおもしろかったです。




「母なる証明  Mother」

2011-04-23 18:25:04 | 映画
朝鮮語を勉強するために、今日見たDVDです。字幕を見ながら1回見て、二回目は字幕なしで見ました。原題は「마더 Mother」と言います。



知的障害をもつ息子トジュンと、漢方薬店で働きながら女手一つでトジュンを育ててきた母の物語です。平和な町で、女子高校生が殺害されるという事件が起こります。容疑者としてトジュンが逮捕され、取調べの中でトジュンは殺人を認める調書にサインをしてしまいます。息子は決して殺人などやっていない、母親が、たった一人で真犯人を探し始めるというお話です。果たして犯人は誰なのか・・・。母親役はキム・ヘジャ、ウォンビンが息子役です。

いま韓国で一緒に仕事をしている権さんが、韓国映画の話をすると「ウォンビンは、僕の後輩だ」と必ず言うので、僕までウォンビンが身近に見えてしまいました。この映画は、母の踊りで始まり、母の踊りで終わります。慰安旅行にでかけるバスの中で、全員が踊るラストのシーン。とても韓国らしい風景だと思いました。はじめて韓国に行ったとき、観光バスの中で立ち上がってみんなが躍っているのを見て、とても驚いたのを思い出しました。

で、肝心の映画だけれど・・・皆さんのコメントほどには、感動しなかったというのが正直なところ。朝鮮語を一生懸命きこうとしていたから、しっかり見れていないのかもしれません。

仕事の話とかは、相手の方も僕の力量に合わせてゆっくり話をしてくれるから聞き取れるようになったけれど、映画の会話はまだまだです。語尾が縮約されたりするからかな・・・。寝る前に、もう一度みよう。我ながら本気モードや!!。

「スリナム・アムステルダム  心をあずけて」

2011-04-22 22:55:06 | 映画
いっぷうかわったミュージカル映画でした。



スリナムというのは、南アメリカにあるオランダの旧植民地です。公用語はオランダ語だそうです。スリナムからアムステルダムに留学してきた黒人青年スパイクと、白人女性ロザリーの愛の物語です。

ふとしたことから二人は恋に落ちるのですが、スパイクは裕福な生活を夢見て、ギャングの一員となり、盗みで生活の糧を得るようになります。そして、麻薬の運び屋としてスリナムに戻るのですが、そこで逮捕され、刑務所に服役してしまいます。はたして二人の恋はどうなるのか、てなお話です。ストーリーは、どうってことないけれど・・・・

スパイクの歌うラップと、ロザリーの歌うゴスペル。二つの音楽の掛け合いが、新鮮で、結構楽しかったです。スリナムという国の存在すら忘れていた僕には、オランダ社会の底辺で暮らすスリナム移民の姿も、とても印象的でした。旧植民地国の宗主国への従属的関係は、なかなか解消されないものなのですね。

英国王のスピーチ

2011-03-03 19:22:57 | 映画
今年のアカデミー賞作品賞受賞作。おもしろかったけれど、アカデミー賞と言われると、どうかなというのが正直な感想です。



イギリス国王ジョージ6世が主人公の物語です。大英帝国博覧会の閉会式のスピーチで大失敗した1925年から、国王としてナチスとの戦いに立ち上がることを国民に訴える1939年の「戦争スピーチ」まで。映画は、吃音症を克服しようとする国王の姿を描いていきます。

幼い時に左利きとX脚を無理やり矯正され、離婚暦のある女性と添い遂げるために王位を捨てた兄に代わって王位を継承することになったジョージ6世の苦悩。ジョージ6世の個人的な苦悩をよそに、政府やイギリス国教会や官僚たちによって、国民統合の象徴としての国王が作られていきます。戴冠式も「戦争スピーチ」も、すべてシナリオが用意され、リハーサルを繰り返して執り行われていきます。つくられた国王の演説に耳を傾け、戦争へと動員されていく民衆の姿に空恐ろしさを感じました。

社会的な役割の担う個(社会的な個人)と生身の個(日常生活を営む個人)との分裂と確執。社会的な役割を担うことのプレッシャー。これは、私たち一人ひとりが、社会生活を営む上で多かれ少なかれ直面する課題です。この映画が、アカデミー賞受賞作として高い共感を得たとするならば、共感の根っこは、この課題の普遍性の中にあると思いました。