1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「画家の手もとに迫る原寸美術館」(結城昌子)

2011-02-10 20:10:51 | 
「ウフィッツィ美術館自画像コレクション」に行ったときに、ショップで見つけた本です。図書館から届いたとたんに、読みかけの本もほっぽらかして、読んで(観賞して)しまいました。ボッティチェリの「春」やダヴィンチの「モナリザ」など、33の名作の一部が、原寸大で掲載されています。著書は、この本を作った目的を次のように書いています。

「巨匠たちの手もとに迫りたい。
その願いの一端をかなえるため、本書はつくられた。
傑作を原寸で体験することは、画家の製作現場に立ち会うことに似ている。その醍醐味がある。
ガンヴァスの数センチ手前には画家の思いを担った絵筆があり、その先には選び抜かれた色がしたたっている。むせかえる絵具の匂い、画家の息遣いまでを届けたい。そんな思いが、意図的に縮小された画集を離れる作業につながった。」

ボッティチェリの輪郭線、輪郭線を使わないダヴィンチのスフマート技法と空気遠近法、ミケランジェロの筋肉の躍動感、デューラーの超絶技巧、ボスやブリューゲルのユニークさ、ターナーの絵に小さく描かれた人影、ルノワールの光の斑点、ゴッホの筆遣いのスピード感、セザンヌの軽妙さ、琳派を思わせるようなクリムトの模様、シーレの線描、輪郭線や境界線のないボナールの裸婦、スーラの点描、ワイエスの一本一本の線などなど。

まさに「神は細部に宿る。」 画家の個性と技巧と苦闘の跡が、原寸大の絵からほとばしってきました。この本で紹介された実物はほとんど見たけれど、目の前数センチで原寸大の絵を見ると、新たな発見と驚きがいっぱいありました。これから絵を見に行くときは、単眼鏡を忘れずに持っていこっと。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿