1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「援助は、アフリカは発展しない」(ダンビサ・モヨ)

2011-02-03 00:12:12 | 
著者ダンビサ・モヨは、ザンビアで生まれ、ハーバードで修士号、オックスフォードで博士号をとり、世界銀行で2年、ゴールドマン・サックスで8年勤めた経験を持つ、女性エコノミストです。

「援助は腐敗を助長させ、成長を促すどころか、人びとをますます貧困に陥れてきた。」というのが、著者の一貫した主張です。

著者によると、最も援助に依存してきた国の過去30年間の年平均成長率はマイナス0.2%であり、対アフリカ援助の最盛期である1070年から1998年の間に、アフリカの貧困率は11%から66%までに上昇したそうです。援助は、なぜ、貧困を拡大していくのが?著者は、蚊帳の製造をモデルに次のように説明しています。

「蚊帳を作るものがアフリカにいると仮定しよう。彼は一週間におよそ500張りの蚊帳を作る。彼は10名の従業員を雇用し、その従業員一人は15名以上の扶養家族を養わなければならないとする。彼らがどんなに一生懸命働いても、十分な量のマラリア予防のための蚊帳を作ることができない。
 そこでハリウッドの映画スターが登場し、マラリアが蔓延する地域に100万ドルの費用で10万張りの蚊帳を送るよう欧米諸国の市民に声高に働きかけ、彼らの政府を鼓舞するとしよう。その後、外国製の蚊帳は現地に届き配布されて『善行』は成し遂げられる。
 しかしその結果、市場には外国製の蚊帳があふれるようになり、地元で蚊帳を作る者はすぐに仕事を失う。彼の従業員はもはや扶養家族を養うことはできない。そして、5年もすれば外国製の蚊帳は破損し使用に堪えなくなる。」

そして筆者は、援助に変わる資金調達の方法として、次の四つをあげています。

1.債券を発行し、国際資本市場から資金を調達する。
2.海外、とりわけ中国からの直接投資を拡大する。
3.農作物などの一次産品の輸出を拡大し、貿易から利益をうみだす。
4.貧しいものが利用できるマイクロファイナンスの制度を確立する。

この本を読んで驚いたのは、石油資源を獲得するために中国がアフリカとのつながりを近年強化していることでした。途上国の中で中国はアフリカにおける最大の投資家であり、アメリカ、フランスに次ぐ第3位の貿易相手国だそうです。

海外からの直接投資の拡大は、投資国への従属を強化するのではないか、国際資本市場からの資金の調達は、グローバルな巨大資本への隷属を生み出すのではないかなど、疑問に思うこともあったけれど、自分の食い扶持は自分で稼がなければならないという著者の思いは、とてもよく伝わってきました。