1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「蔵書まるごと消失事件」(イアン・サンソン)

2010-07-31 17:13:03 | 
 「蔵書まるごと消失事件」(イアン・サンソン)を読みました。朝から読み始めて、いっき読み。おもしろかったです。

 図書館の司書として働くために、ロンドンから北アイルランドの田舎町タムドラムにやってきたユダヤ人青年イスラエルが主人公の物語です。フェリーの長旅をへてやっとの思いでたどりついたタムドラム。自分が勤めるはずの図書館は財政削減のために閉鎖されていたばかりか、図書館の蔵書15,000冊が何者かによってもちさられていた・・・。誰が、何の目的で15,000冊もの本を持ち去ったのか?

 トレーラーハウスで幼い子供を育てるシングルマザーや一人暮らしの初老のタクシー運転手、地域のひとたちの集まりの場となっているカフェを経営するおばあさん、カトリック系住民とプロテスタント系住民との対立の中で両親や夫を喪った悲しみを抱えて生きている人たちなどなど。行方不明になった蔵書を追いかけていくロンドン生まれの主人公の目を通して、北アイルランドで生きる人たちの姿がさわやかに描かれていきます。

 図書館というものが、地域の人たちに果たす役割の大切さを思い起こさせてくれる一冊。僕自身、本が大好きで、図書館に多大なお世話になっているのでなおさらかも知れないけれど、ラストのシーンは胸にジーンと来るものがありました。



でかかった

2010-07-27 19:09:09 | 日記
今回の韓国出張で訪問したサムソンの本社ビル。でかかったです。ソウルの一等地(江南)にそびえたっておりました。





プサンやウルサンやテグで、中小企業の経営者の方ともお話しましたが、今、韓国で儲かっているのはサムソンら二三の大企業のみで、中小企業の経営はとても厳しいとの事でした。

話は変わるけれど、今回の韓国出張でいちばん気に入ったのは、ワンシムニという庶民の街で、地元の人たちとお話しながら食べた朝のソルロンタンでした。


仏国寺

2010-07-24 19:57:08 | 旅行
 月曜日からの韓国出張から、ただいま帰宅です。プサン、ポハン、ウルサン、テグ、ソウルと回ってきました。夜の8時まで会議して、それから食事会。ホテル到着が11時という毎日。少々お疲れです。

 ウルサンからテグに行くまでに、少し時間があったのでキョンジュにある仏国寺に行ってきました。





















 新羅の景徳王の時代(751年ごろ)に建てられたとのこと。とても美しいお寺でした。







昼ごはんに、仏国寺のふもとの店屋さんで食べた韓国料理。おいしかったです。海鮮チジミは、店のおばさんがサービスでつけてくれたものです。

「MUSIC」(古川日出男)

2010-07-18 09:07:27 | 
 「MUSIC」(古川日出男)を読みました。思春期を生きる14歳の少年佑多と、少女美余、恋人を亡くした性同一性障害の青年、腕の長い猫アーティストのJI、そして灰色猫のスタバ、四人と一匹が主人公の物語です。思春期がテーマの小説といえば、親や先生がでてきそうだけれど、この小説にはいっさいでてきません。佑多も美余もスタバも、一人でたくましく思春期を生きています。

「佑多はじきに十四歳になる。そして美余まだ14歳のまま。思春期は依然、疾走している。」

 これはこの小説の締めくくりの言葉。ラストの100ページ。ビートがきいて、疾走感もあって、とても楽しかったです。一人ひとりの演奏者が自由にアドリブ演奏をしながら、最後に一つの音楽(MUSIC)へと収斂していく・・・ジャズのようなMISICが聴こえてきた一冊でした。



話し変わるけれど、明日から1週間の韓国出張。暑いやろなぁ



「Imagine Project 」(Herbie Hancock )

2010-07-15 20:02:47 | 音楽
 最近お気に入りのCDといえば、これ。今年70歳の誕生日を迎えたハービー・ハンコックの新作です。ジェフ・ベックやチャカ・カーン、チーフタンズ、マーカス・ミラーなどの豪華ミュージシャンが参加しています。録音も、サンパウロ、アフリカのマリ、アイルランド、ムンバイ、パリ、ハリウッド、ニューヨークなど世界各地で行われました。

 ジョン・レノンのイマジンから始まって、ピーター・ガブリエルのDON'T GIVE UP、ディランの「時代は変わる」へとつながっていくのですが、1曲目のアフリカンテイストのイマジンを聴くだけで、梅雨のジメジメが飛んでいくような気持ちになりました。

 長く生きることは良いことだ・・・と思ったCD。ぼくも世界中を旅できる70歳になりたい!!!



「わたしが国家について語るなら  未来のおとなへ語る」(松本健一)

2010-07-14 21:41:36 | 
松本健一の「わたしが国家について語るなら」を読みました。

国とはなにか?国家とは何か?
ナショナリズムとパトリオティズムはどう違うのか?
アフリカの国境線はどうしてまっすぐに引かれているのか?
「文化でできた国家」と「法律でできた国家」とは?
国民国家は、いつどのようにして成立したのか?
日本という国はどのようにして生まれ、いつ国民国家になったのか?
日本人のアイデンティティーはどこにあるのか?
未来に向けて国家は消滅していくのか?などなど

国家に対する問いが、とてもわかりやすく真剣勝負で語られています。
未来のおとな=小学校高学年から中学生までのために作られたシリーズの一冊です。
大人の僕が呼んでもとてもおもしろかったし、勉強になりました。筆者の思想的なスタンスには同意できないところもあるけれど・・・
国家について、とてもすぐれた解説書の一つだと思いました。




「夜と灯りと」(クレメンス・マイヤー)

2010-07-13 19:49:44 | 
 「夜と灯りと」(クレメンス・マイヤー)を読みました。作者のクレメンス・マイヤーは、1977年に旧東ドイツのハレに生まれました。ベルリンの壁崩壊後の東ドイツを舞台にした12の短編集です。

 通りには、トルコ人の経営するとたくさんのケバブ屋と居酒屋があって、「賭けスポーツ」の看板を掲げた店もある。リトアニア人の売春婦がいて、社長の家の地下室で身を寄せ合って暮らしているポルトガル人の建設労働者がいて、月330ユーロの失業手当を競馬につぎ込む失業者がいる。商品整理係りとして夜勤で倉庫で働く労働者がいて、教え子に恋するしがない中年教師もいる。

 東ドイツの町の風景とそこで暮らす人々の息遣いがとてもリアルに感じられる小説でした。作者自身、建設現場や、家具運送、警備の仕事などを渡り歩いてきたそうです。12の短編のうちで一番よかったのは「通りにて」という小編。今を語る文章に突然回想シーンがでてきたりして、ちょっと面食らうところもあったけれど、海外小説を読む楽しさを十二分に味わえた一冊でした。



おもしろかった

2010-07-12 06:19:48 | 日記
ワールドカップ。1-0でスペイン優勝。
延長後半のナバスの突破から、トーレス、セスクとつないでの
イニエスタのゴールにはふるえた。スペインのパスサッカーの底力を見たように思いました。
たこのパウル君の予想通り。
次は4年後のブラジル。現地でみたい。

「人生に乾杯!」

2010-07-11 18:55:18 | 映画
今日は雨。選挙に行った後に、DVD「人生に乾杯!」を見ました。ハンガリー映画です。年金で暮らす81歳の夫と70歳の妻が主人公の物語。

月40000フォリント(約20,000円)の年金では生活することができず、家賃を滞納し、電気も止められ、借金とりに家に乗り込まれる。そんな夫婦が、旧ソ連製のピストル「トカレフ」と旧ソ連製の車「チャイカ」にのって銀行強盗を働くというお話です。

年金生活者が抱える問題について、ストレート勝負の映画でした。年金がどんどん減っていくわが身の老後をおもうと身につまされるものがありました。

ラストのどんでん返し。ハンガリーの美しい風景。ハンガリーの社会に残る共産党時代の記憶。身を寄せ合っていきる老夫婦の姿などなど。なかなかおもしろい映画でした。




「炎帝 花山」(萩 耿介)

2010-07-10 09:39:28 | 
「炎帝 花山」(萩 耿介)を読みました。17歳で即位し、藤原兼家との権力闘争に敗れ、19歳で出家した第65代・花山天皇が主人公の物語です。萩耿介は、花山帝を、組織の駒として生きることを拒絶し、己の魂に忠実に生きようとして人物として描いています。

出家した花山帝が入覚と名乗り、人生を振り返って語る言葉。

「後悔はない。微塵もだ。こんな人生を送った者は未だかつていない。断言できる。これほど人に徹し、人であることを味わい尽くした者がいるはずがない。その軌跡を誇りに思う。そうだ。声を大にして叫んでやる。人の顔色を窺ってばかりいる都中の貴族と僧たちに向かって、あらん限りの力で叫んでやる。入覚は入覚自身を生きたのだと。」

 出家した後の花山帝は、悟りを開くために焼身自殺を行ったり、汚れた魂を持つ者の殺害(オウム真理教がいうポア)まで行おうとしたり、愛する女性との逢瀬を重ねたりします。生の充実感を奪い返すために、自らまでをも焼きつくそうとする主人公の姿が、とても熱い小説でした。




森林植物園

2010-07-04 19:51:44 | 日記
最近、日曜日は雨ばかり。今日は久しぶりに晴れ間がのぞいたので、神戸市森林植物園を歩いてきました。



深緑が美しかったです。



白くぶら下がっているのは、モリアオガエルの卵です。木に産み付けられた卵が池に落ちて、おたまじゃくしにかえります。



この時期の植物園というと、やっぱりあじさい。







18年まえに植樹したヨーロッパカラマツも



元気に、また大きくなっていました。

「人は愛する足り、真心は信ずるに足る―アフガンとの約束」(中村哲 澤地久枝)

2010-07-03 15:27:46 | 
 「人は愛する足り、真心は信ずるに足る―アフガンとの約束」(中村哲 澤地久枝)を読みました。PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長の中村哲さんと作家の澤地久枝の対談です。世の中にはほんとうに偉い人がいると思った一冊です。

 中村哲さんは、1984年以来、アフガニスタン東部とパキスタン北西部でハンセン病治療をはじめとする医療活動を続けてきました。大干ばつと戦争が進行する中で、医療活動だけでは限界があると感じた中村哲さんは、飢餓と水不足を解消するために、ボランティアとともに1400本の井戸を掘り、全長24キロ以上の用水路を作り、沙漠を緑の大地に変えてきました。60万人のアフガン民衆の生活が、中村さんたちが掘った井戸と水路によって支えられているそうです。

 この本の中で、中村哲さんは水路を作るときに、「マドラッサ」も再建したと語っています。マドラッサというのは、モスクを中心とした識字教育をするところで伝統的な寺小屋のようなもので、地域共同体の要の役割もはたしています。このマドラッサで学んでいる子供たちのことをアラビア語でタリバンというそうです。これは政治勢力としてのタリバンとは別個のものです。しかしアメリカ軍は、「タリバンが集結している」としてマドラッサを爆撃対象とし、無辜の子供たちやアフガンの民衆を殺害しているそうです。このようななかでアフガン民衆のアメリカ軍への怒りは沸点に達しているとの事。アフガニスタンの平和と復興は決して武力によっては訪れない・・・

澤地 米軍は全員、武装を捨てて水路を掘ったらいい。そうしたら歓迎されますよ。
中村 水路を掘ったら、アフガニスタンは親米的な国になるんじゃないですか。
澤地 「タリバン征伐」をするよりもよっぽど効果があるんじゃないですか。
中村 というか、タリバンも一緒になって掘るんじゃないか。

 澤地久枝は、インタビューの終わりに次のような文章を書いています。

「平和。人間同士の思いやり、理解、いたわりによってつながるいのち。
日本がアメリカに従って、『対テロ』戦争参加のための名目として、集団自衛権などと、憲法を骨抜きにしようとするぎりぎりの時点で、中村医師は武力不要(無用、有害)、丸腰の貢献こそという、アフガン平和復興のモデルを一つ作り上げた。『いのちの水』でよみがえる『復興アフガン』である。」

 アフガンで地道な活動を続けておられる中村哲さんに、心より敬意を表したいと思いました。