1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

一時帰国 プーシキン美術館展

2013-11-19 16:00:14 | 美術館

久しぶりに絵が見たくなって、

神戸市立博物館で開かれている

プーシキン美術館展に行ってきました。韓国ミリャンでは、なかなかこのような展覧会にはお目にかかれないのです。ブッサン、ドラクロア、アングル、モネ、ルノワール、セザンヌ、ピカソ、ゴーギャンなどなど。17世紀から20世紀初頭までのフランス絵画66点が展示されていました。

今日のお気に入りは、この二つ。

まずは、ルソーの絵。見慣れたジャングルを背景に、ずんぐりとした主人公たち。詩人のアポリネールとマリー・ローランサンがモデルだそうです。詩人の右手も、とても太くてごついのです。お気に入りの対象を、背景おかまいなしに、こうしてでかく書いてしまうところが、ルソーのルソーらしいところ。見ていて、とても楽しくなりました。

それから、この一枚。セザンヌの「パイプをくわえた男」です。この色使い、そしていまにも寝転んでしまいそうな左への傾き。仕事を終えた後の脱力感なのだろうか・・・。僕は、この絵を見ながら、人生の黄昏時へとむかう主人公の、不安感とあきらめ、肩の荷ひとつおろした安堵感のようなものを感じていました。

次は、ターナー展が来るとのこと。これもぜひ見たい!!

 


「長沢芦雪  奇は新たなり」

2011-06-05 21:45:34 | 美術館
今日は、ミホミュージアムで開かれている








長沢芦雪の展覧会、「長沢芦雪 奇は新たなり」に行ってきました。先週、先々週と日曜日は二週連続雨。気がつけば、最終日になっていました。午前中は予定があったので、昼から大急ぎで会場へ。



芦雪は、ぼくの大好きな画家の一人です。



一枚一枚の絵から、新しい表現を求め格闘した芦雪の姿がよく伝わってきました。




今日、一番美しいと思ったのはこの作品。「富士越鶴図」。なんとなくユーモラスな鶴の表情がとても印象的でした。



芦雪の書く、子犬や子どもたちや動物は、とてもやさしくて、幸せそうな目をしています。今日、初めて知ったのだけれど、芦雪は、長男と長女をともに2歳で亡くしているのですね。芦雪の心の悲しみが、子どもたちの目に表れているのかもしれないと思いました。絵を売って稼いだ金で、一晩中酒を飲み続けたと紹介されていたけれど・・・酒も飲みたくなるだろう。

新潟出張

2011-05-25 22:06:24 | 美術館
昨日、今日と新潟出張。ただいま帰宅です。飛行機に乗るまで少し時間があったので



新潟県立万代島美術館で開かれている






「いもとようこ絵本原画展」に行ってきました。ぬくもりにあふれた絵が、たくさんならんでいました。トラブルで重かった心が、ちょっぴり軽くなったような気になりました。





こうしてながめてみると、新潟もなかなか美しい町ですね。



韓国出張とかでばたばたしていて気がつかなかったけれど、伊丹空港からの帰り、大阪駅が新しくなっていたのに驚いた!!

「カンディンスキーと青騎士展」

2011-05-22 19:05:15 | 美術館
朝起きると雨。兵庫県立美術館で開かれている




「カンディンスキーと青騎士展」に行ってきました。

カンディンスキーがモスクワからミュンヘンにやってきた1896年から、1914年第1次世界大戦の勃発によってロシアに送還されてしまう1914年まで。ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館所蔵の、カンディンスキー、恋人ミュンター、ともに「青騎士」を立ち上げたマルク、マッケ、クレー、ヤウレンスキーなどの作品60点が、製作年次順に展示されていました。

カンディンスキーたちがともに出会い、旅をし、切磋琢磨する中で、心の中の感動を表現するために、新しい抽象画を作り出していく過程がよくわかりました。



     マルク《虎》



カンディンスキー《ムルナウ近郊の鉄道》



カンディンスキー《コンサート》

色彩がとても美しいと思いました。1階のホールで上映されているカンディンスキーのDVDは必見です。カンディンスキーとミュンターが一緒に住んだムルナウの町が紹介されているのですが、森の緑と赤い屋根の家がとても美しかったです。カンディンスキーたちの色彩の美しさは、ムルナウの風景なしにはありえなかった思いました。クレーのチュニス、ゴッホのアルル、ゴーギャンのタヒチ、セザンヌのエクス=アン=プロヴァンスなどなど。どこで描くのかということも、画家にとって、とても大きな要素なのでしょうね。

「白洲正子展」と「森と芸術」

2011-05-08 09:22:28 | 美術館
今回の美術館めぐりで、企画としておもしろかったのは





世田谷美術館で開かれている



「白洲正子 紙と仏、自然への祈り」でした。

白洲正子がおとずれた寺社の名宝120点が、白洲正子の文章とともに展示されていました。自然の一木一草にまで神がやどるとした日本古来の自然信仰が、仏教と出会う中で、神仏習合していく様子が、とてもよくわかりました。西国三十三カ所のお寺や近江、松尾寺など関西地方の寺社の展示がたくさんあったので、いっそうなじみやすかったのかもしれません。


(写真は、世田谷美術館のホームページより)

展示の中で、いちばん心に残ったのは、焼け焦げて胴体だけが残った松尾寺所蔵の「焼損仏像残闝」でした(写真の一番右側)。神というものが、もしこの世に存在しているとするなら、こんな形をしているのだろうと思いました。

人と自然との関係をテーマにする展覧会といえば、もうひとつ。





東京都庭園美術館で開かれている「森と芸術」にも行ってきました。庭園美術館の建物は、朝香宮邸として1933年に建てられたものです。正面玄関にラリックのガラスレリーフ扉をおくなど、「アール・デコ」の装飾がたくさん施されていました。

「森と芸術」は、美術作品にあらわれた森の表現を通して、わたしたちにとって「森とは何か?」を考えていこうとするものでした。



「楽園としての森」を描いたアンリ・ルソーの絵や、産業革命の中で近代化していく都市を逃れ、「自然」へ 回帰しようとしたコローの風景画、



幻想やイメージの源泉としての森を描いたマグリッドの絵、そして湧き上がる生命力の源泉のような木々の根っこを撮影した岡本太郎の写真などが展示されていました。こちらも企画としては、ユニークな展覧会でした。



庭園美術館の庭。



人間の手で森をつくろうとする試みですよね、この庭も。

二日間で6つの美術館をまわりました。レンブラント展もシュールレアリズム展も岡本太郎展も写楽展にもルオー展にも行けなかった・・・。しかし、こうして並べてみると少し多すぎる気もするなぁ。

次は、京都でフェルメールをみよう。

ヴィジェ・ルブラン展とフェルメールの地理学者

2011-05-07 08:48:54 | 美術館
東京に行って、まずはじめに行ったのが






三菱一号館美術館で開かれている



「ヴィジェ・ルブラン展」でした。三菱一号館美術館は、1894年に原設計された煉瓦造りの建物を利用して去年オープンしたそうです。東京駅のすぐそばに、高層ビルに囲まれて、このような美術館ができたことにまずは驚き。出光美術館もブリジストン美術館も徒歩圏内です。美術館の多さ。ちょっぴりくやしいけれど、現代においては東京が文化の中心なのでしょうね。



ロシアに亡命していた時のヴィジェ・ルブランの自画像です。

ヴィジェ・ルブランは、マリー・アントワネットの肖像画家として有名です。ルブランは、フランス革命によってマリー・アントワネットが処刑された後も、「王党派」の立場をつらぬき、10年以上にわたる亡命生活を送りながら画家として生きぬきました。ルブランが生きた18世紀は、女性が画家として生きていくには、非常な困難がともなったそうです。サロンに出品するには「王立絵画・彫刻アカデミー」の会員にならなければならなかったのですが、アカデミーの会員4,000人中、女性はわずか4人だったそうです。



ポリニャック公爵夫人。

ルブランの絵を見ていると、目に特徴があると思いました。どの絵からも目力が伝わってきました。困難にもめげないで、画家として生きぬいたルブランの芯の強さが、彼女の描く目に表れていると思いました。

そして、岡本太郎記念館から降り出した雨にもめげず行ったのが



Bunkamura ザ・ミュージアムで開かれている



「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」でした。

フランクフルトにあるシュデーデル美術館所蔵のオランダ・フランドル絵画が95点展示されていました。レンブラント、ブリューゲル、ルーベンス、そしてフェルメール。

ここはやっぱり、フェルメールの地理学者でした。フェルメール独特の窓から差し込む光、布の質感、小さな白い点、未知の世界に思いをめぐらす地理学者の視線。細部まで丁寧に描き込まれていて、とてもすばらしいと思いました。

6月の終わりには「手紙を読む青衣の女」が京都にやってくる。ぜひ行かねば。

岡本太郎記念館

2011-05-06 08:12:50 | 美術館
根津美術館から歩いて5分ぐらいのところにある



岡本太郎記念館へ。



庭といい



部屋といい



アトリエといい



すべてが「岡本太郎」しておりました。岡本太郎の生命力と意志の強さが伝わってくるように思いました。



これは、岡本太郎が自分でつくった玄関の門扉です。



せっかくここまで来たのだからと、青山、表参道あたりを散歩。プラダの建物。



TOD'S



なんと日本看護協会のビル。



こどもの城の岡本太郎のモニュメント。



この建物も



この建物も、お上りさんの僕には、とてもおしゃれに見えました。

根津美術館  燕子花図屏風

2011-05-05 08:17:11 | 美術館
連休を利用して、東京美術館めぐりに行ってきました。





ずっと前から行きたかった根津美術館です。尾形光琳の「燕子花図屏風」が見たかったのです。



金地に、青そして緑。色使いの美しさといい、左隻から右隻へと音符のように連なっていく燕子花のリズム感といい。とてもすばらしかったと思います。地震の影響でメトロポリタン美術館の「八ツ橋図屏風」は見れなかったけれど、大満足でした。



「吉野龍田図」、これもとても美しかったです。



中国殷時代(前13~11世紀)の「双羊尊」と



同じく殷時代の「饕餮文方盉」。中国3千年の歴史を実感。まいったなぁ。



根津美術館の庭園。






燕子花がとても美しかったです。

「親鸞展  生涯とゆかりの名宝」

2011-04-24 22:20:59 | 美術館
今日は、京都市美術館で開かれている






「親鸞展  生涯とゆかりの名宝」に行ってきました。吉本隆明の「最後の親鸞」を読んで、親鸞は世界に誇る日本の思想家なのだと思いました。親鸞自筆の「教行信証」が見たかったのです。



「教行信証(坂東本)」です。親鸞、83歳の時の作品だそうです。83歳とは思えな確かな筆づかい。妥協を排して、浄土真宗そのものの解体にまで行きついてしまう思想家としての親鸞の姿が伝わってくるように思いました。先達の浄土教の教えを、注釈を加えながら親鸞自らが書き写した「観無量寿経註」も、細かい文字でぎっしり書きこまれていて、思想に対する親鸞の厳しさ、執念、学習量の多さが伝わってきました。

750年以上前の親鸞の肉筆が見れて、とても満足。その他の展示は、「親鸞聖人坐像」を除いて、大して見るべき物はなかったと思うけれど。

京都の町、この前クレー展で来た時には、桜が美しかったけれど、今日は、新緑がとてもすがすがしかったです。



八坂神社。



知恩院。



青蓮院。



頂妙寺。



そして鴨川。ちょっとだけ雨に降られたけれど、楽しい一日でした。

「パウル・クレー  おわらないアトリエ」

2011-04-16 23:07:24 | 美術館
京都国立美術館で開かれている





「パウル・クレー  おわらないアトリエ」展に行ってきました。クレーが大好きな僕には、とても楽しい展覧会でした。

「クレーの作品が物理的にどのように作られたか」

展覧会は、クレーが自らとった写真に基づいて、年代順に5つのアトリエを再現するところから始まります。クレーは、アトリエの壁に自らの作品を飾っていたのですが、クレーが飾っていたとおりに作品が展示されていました。クレーの作風の変化もよくわかって、これはなかなかおもしろかったです。

アトリエ再現の後は、「油彩転写」、「切断・再構成」、「切断・分離」、「両面」の順に、クレーのユニークな制作方法が紹介されていきます。



これは、「油彩転写」のやり方で作られた作品。



これは「切断・再構成」。




これは「切断・分離」。一度つくった作品を切断して二つの作品にしています。

この展覧会を見るには、オーディオガイドが必携です。とても丁寧にクレーの制作方法が説明されていました。

楽しかったけれど・・・鑑賞者はとても少なかったです。クレーって、やっぱりマイナーなのかな。レイテ共和国に共感し、ナチスドイツへの反骨をつらぬいたクレーの想いも伝わってきたし、クレーに色彩の美しさを認識させたチュニジアにも行ってみたくなりました。





丹波焼の郷 春の窯元路地歩き

2011-04-03 19:03:47 | 美術館
今日は、兵庫陶芸美術館が行っている「丹波焼の郷 春の窯元路地歩き」に行ってきました。



兵庫陶芸美術館から



丹波焼の郷。





今も使われている「のぼり窯」をみて



窯元の一つである稲右衛門窯へ。



「あな窯」と「のぼり窯」の説明を聞いた後で









ろくろの実演を見せていただきました。稲右衛門窯は、280年続いていて、息子さんも陶器を焼いておられるそうです。山里の村で、いろんな困難を克服して継承されてきた技に脱帽。これからも続いて行ってもらいたいと思いました。



入江泰吉記念奈良市写真美術館

2011-03-07 17:11:49 | 美術館
入江泰吉記念奈良市写真美術館に行ってきました。










入江泰吉、奈良大和路を生涯のテーマとし、約半世紀、86歳でなくなるまで写真を撮り続けてきました。

美術館では、「入江泰吉 やまといろ」という展覧会行われおり、入江泰吉の作品が80点余り展示されていました。とても美しくて、見ている僕が、1300年の歴史を持つ奈良の古色の美しさをはじめて教えてもらったような気持ちになりました。



「紅梅匂う春日大社の庭」(美術館ホームページより)



「春日大社回廊」(美術館ホームページより)



「雪の浮見堂」(美術館ホームページより)


入江泰吉は、「古色」について次のように書いています。

「長いモノクローム時代の習性から、自然に具わる色彩が、季節や天候、さらに時間の推移にともない変化するその微妙さに対して、観察がおろそかだったというよりは、全く気がつかなかったのである。また、堂塔や仏像などにしても、その本来の威厳と優美とを具えた特異な造形性はともかくとして、千年の長い星霜の成した、いわば古色、その人工も及ばないような古色の示す微妙な色取りにも目を開かされた。」

カメラを持って、毎日奈良大和路を歩き、移ろいゆく季節の一瞬の美しさを撮り続けた入江泰吉の執念が伝わってくる展覧会でした。

「ウフィツィ美術館自画像コレクション」

2011-02-05 10:06:10 | 美術館
国立国際美術館で開かれている「ウフィツィ美術館自画像コレクション」に行ってきました。ウフィツィ美術館には1700点をこえる画家や彫刻家の自画像が所蔵されているそうですが、17世紀から現代まで、そのうちの70点が展示されていました。

今回の展覧会で、いちばんのお気に入りは



草間弥生のこの絵。色彩のあざやかさといい、絵から伝わってくる存在感といい、自画像を描いても、草間弥生はやっぱり草間弥生だった!!70点の絵の中で、ひときわ輝いていたと思います。

それから、レンブラントのこの絵かな。



時期的には、ナショナルギャラリーでみた自画像の中間。妻を失ったあとで、レンブラントは破産するのですが、破産の一年前の自画像です。どこかもう、あきらめてしまったような寂しさが伝わってきました。

最初に会場にはいって、「あ!この絵」と声を上げたのが



ラヴィニア・フォンターナの自画像。実は今、「奇想の美術館」(アルベルト・マンゲル)という本を読んでいるのですが、表紙の絵の作者です。



アルベルト・マンゲルは、ラヴィニア・フォンターナについて次のように書いています。

「1577年に結婚するまで、ラヴィニア・フォンターナは数点の肖像画とごくわずかの宗教画しか描いていなかったが、その年、初めて自画像を描いた。家庭生活には悩みが山積していた(夫は頭が弱く、一人息子は一種の精神遅滞で、二人の娘のうち長女は事故で失明し、父親は晩年になって経済的に困窮した)が、画家としてのキャリアは順調だった。
 公式に大作を委嘱される女性画家は、ごくまれにいたとはいえ、たいていは(フォンターナー)を含めて)もの珍しい例外と見なされていたのである。」

「わたしが倒れたらあかんのや」という気持ちの張りが伝わってきます。

大きな期待はしていなかったから、大きな失望もなかった、そんな印象の展覧会でした。

ブリジストン美術館

2011-01-27 20:46:25 | 美術館
今日は東京出張。






時間が少しあったので八重洲口にあるブリジストン美術館に行ってきました。



ピカソや



モネや



ルノワール



セザンヌ



クレーなど、美術館所蔵の12の作品を取り上げて、「なぜ、これが傑作なの?」かに焦点を当てた、コレクション展が行われていました。12の作品には、とても丁寧な解説がつけられていました。解説を読んで、絵を眺めているうちに、あっという間に1時間半が経過。あわてて、お仕事に。

この他にも、コローやミレーやルソー、シスレー、佐伯祐三、藤田嗣治などなど150点以上の作品も展示されていました。東京駅からわずか5分。また、時間があるときはよってみよう、ブリジストン美術館。

しかし、東京には美術館がたくさんありますね。これはうらやましいかぎりです。



建仁寺両足院 雪梅雄鶏図

2011-01-23 22:01:58 | 美術館
京都建仁寺の塔頭「両足院」に行って来ました。冬の特別公開で長谷川等伯の「竹林七賢図」と伊藤若冲の「雪梅雄鶏図」が公開されています。







ここの庭も、なかなか美しかったです。



長谷川等伯の「竹林七賢図」です。等伯69歳のときの作品。晩年になるにつれて水墨画が多くなります。



こちらは伊藤若冲の「雪梅雄鶏図」です。雪の白、鶏のとさかと梅の花の赤、木にとまる鶯と葉の緑。この色づかい、ほんとうに美しかったです。葉っぱもよくみると、虫食いのあとがある。これぞ若冲。冬の寒さの中で生きている動植物のいのちが伝わってきました。