1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

たこつぼオーナー   あかんなぁ

2008-07-31 20:01:57 | 日記
 たこつぼオーナーになってから、昨日で2回目の引き上げがありました。
江井ヶ島漁港のホームページで、僕のたこつぼにタコが入ったかどうか
確認。入っている人もいるのになぁ、僕のには

 今回も入っていませんでした。
後2回のチャンス。おいしい明石ダコが食べれますように

「Two Men with the Blues 」

2008-07-30 22:26:36 | 音楽
 「Two Men with the Blues 」(Willi Nelson Wynton Marsalis)を買いました。
ジャズトランペッター ウィントン・マルサリスとカントリーミュージックの大御所
ウイリー・ネルソンのライブCDです。

     
  
 ウィントン・マルサリスは、前作の「From The Plantation To The Penitentiary」
で、アフリカ系アメリカ人への差別の歴史と現代アメリカ社会の歪みに抗議し、かつ
て世の中を変えようとした者たちへ「きみたちはどこへいった?」と呼びかけました。
 ウィリー・ネルソンは、ベトナム戦争の反戦歌を歌ったり、イラク戦争批判の歌
を作ったりしています。
 こんな二人に、僕はシンパシーを感じるのです。CDショップで、二人のならんだ
姿を見て、「へぇー、こんな共演が実現したのだ」と迷わず買ってしまいました。
 ウィリー・ネルソンの鼻にかかった声と、少しおさえぎみに吹くマルサリスのトラ
ンペット、なかなかご機嫌です。たっぷり泥臭いけど、この泥臭さがたまらんのです。
「Stardust」と最後の三曲、 「My Bucket's Got a Hole in It」、
「Ain't Nobody's Business」、「 That's All 」がグッドでした


暗いニュースばかりやね  失業率4.1%に悪化

2008-07-29 21:41:15 | 日記
 6月の失業率、4.1%。2006年9月以来の高水準になったのですね。消費者物価の
上昇率は1.9%だから、悲惨指数は6。10までにはあと4ポイントあるけれど・・・

 東電と関電が経常赤字で、来年1月から電気料金の大幅値上げ。

 アメリカの二つの地銀が先週末に破綻。アメリカの09年度の財政赤字は、4820億ド
ル(51兆7000億円)で、過去最高に達する見通し。
 金融株、大幅に下げ。前にも書いたけど、本格的な危機はこれからやろね。

 韓国の1-6月期の経常赤字5700億円。1997年の通貨危機以降最大。ウォン売り→
原油などの輸入価格高騰→消費者物価の上昇という悪循環が加速しそうです。

 どの記事も、暗いなぁ。不安


 

「風花」(川上弘美)

2008-07-28 22:02:10 | 
 「風花」(川上弘美)を読みました。川上弘美を読むの、はじめてです。
 夫が浮気しているという匿名電話を、主人公がもらうところから物語は始まります。
「中空にただよってなかなか地面に落ちてこない風花」のイメージ。それは、主人公の心
のイメージなのでしょうね。これから夫とどう向き合っていくのか?離婚すべきなのか?中空
をただよう風花のように、なかなか答えを見つけられないのです。
 主人公の心の揺れと男の僕にはわからない細かい心の機微。2年あまりの長い時間が
かかったけれど、結論に向けて、徐々に徐々に主人公の心の輪郭が定まっていくあた
りは、なかなかおもしろくて一気に読んでしまいました。
 彼女の出した結論も正解かなって思ったし、夫婦というのはドジョウの罠のように
入るのは簡単だけれど抜けるのはむつかしいというのも、その通りだと思ったし。
 しかし、男というのは、身勝手なものです。ほんまに、そう思う。

「黒人霊歌は生きている」(ウェルズ恵子)

2008-07-26 11:58:45 | 
 「黒人霊歌は生きている」(ウェルズ恵子)を読みました。黒人霊歌は、奴隷時代に生まれたアフリカ系アメリカ人の歌です。奴隷としての境遇を憂い、呪い、日々の重労働に対する苦しみの心情を歌った歌でした。彼らにとって平安とは、この世に有るものではなく、永遠の死によってはじめてもたらされるものでした。黒人霊歌は、死によるこの世の苦しみからの救済と神(苦しみながら死んでいたイエス)への忠誠を歌った歌でもありました。
 著者によると、奴隷時代の黒人霊歌は、もうどこにも残っていないそうです。彼らの歌に心を打たれた白人の知識人たちは、天国での救済を歌う<神様の歌>を「黒人霊歌」と名付け、アメリカ社会に紹介しました。黒人霊歌は、白人が聴きに来るコンサート用に編曲され、崇高な宗教性が強調されていきました。この宗教性の流れから、都市の教会であらたにゴスペルも生まれます。そして一方で、奴隷としての境遇を憂い、呪い、日々の苦しみを歌う<悪魔の歌>は、ブルースへの継承されていくのです。
 この本は、奴隷時代の黒人霊歌やゴスペル、ブルースの歌詞の考察を通して、アフリカ系アメリカ人への差別と抑圧を生み育ててきた、アメリカ社会の精神史と集団的な記憶を探ろうとしたものです。黒人霊歌の歌詞と翻訳が豊富に紹介されています。
 高校時代にフォークソングやロックにはまっていたのですが、当時よく歌っていた曲に、「漕げよマイケル」とローリングストーンの「Love in Vain」とベン・E・キングの「Stand by Me」があります。この三曲ともこの本の中で紹介されています。
 「漕げよマイケル」、健康的にボートを漕ぐ歌のように歌っていたけれど、原曲は、黒人霊歌なのですね。この歌で歌われている川とは、ヨルダン川のことです。奴隷の人たちにとって、川とは「生」と「死」を分かつ境界線でした。この川を渡って、神や親兄弟が安らかに暮らす死後の世界に早く行きたいという思いが、この歌にはこめられています。しかし、どの歌詞を調べても、誰も川の向こうに行き着かないそうです。当時のアフリカ系アメリカ人の、死による平安を望む心と死への恐怖が表現されていると、著者は分析しています。なるほどなぁと思わずうなっておりました。
 「Stand by Me」の原曲は、ゴスペルです。それは、「この世の嵐が吹きすさむとき、そばにいてほしい」という言葉から始まり、次の言葉で終わります。
   命が重荷となり 冷え澄むヨルダン川が近づいてきたら
   イエスよ、谷間の百合よ、そばにいてほしい
 
 ベン・E・キングは、イエスではなく、「泣かない、泣かない、あなたにそばにいてほしい」と歌います。

I won't cry, I won't cry, No, I won't stand a tear
Just as long as you stand Stand by me...

 この歌、あまい恋愛の歌だと思いながら、口ずさんでいたけれど、Stand by me には、「立って行動の準備ができている状態でそばにいてほしい」という強いニュアンスが含まれているそうです。愛を語るのにも、将来の不幸や困難立ち向かう準備が必要なのだという、アフリカ系アメリカ人の覚悟と緊張感のようなものが伝わってきます。
 Love in Vainは、ロバート・ジョンソンのブルース=<悪魔の歌>です。アメリカの社会からも、神による救済からさえも疎外されたアフリカ系アメリカ人の、孤独と哀しみと喪失の歌です。信ずればイエスはずっとそばにいてくれるけれど、女性はいつも彼の元を去っていくのです。「俺の愛はみんな無駄だったんだ」

All my love's in vain.

 どの歌も、深いなぁ。アフリカ系アメリカ人の200年にわたる苦しみと哀しさと救済への願いがつまっているもんなぁ。

 

消費者物価上昇率 1.9%

2008-07-25 21:15:25 | 経済指標メモ
 ガソリンや食料品の値上げなどで痛いほど感じていたけれど、6月の全国消費者
物価の上昇率、15年半ぶりの高水準の1.9%だったのですね。
 それに比べて、5月の勤労統計によると、賃金指数は2.4%も下落しました。プラス
マイナス 4.3%。働いても、決して豊かにはならないわけで・・・・
 他のアジアの国と比べると、物価上昇率はまだまだ低いけれど、2%越えは目前。
この先どうなるんだろ。なんか不安やわ。

Wii Fit

2008-07-25 20:41:16 | 日記
 今日、早めの誕生日プレゼントに Wii Fit と Wiiの本体をもらいました。
僕は、身長は182㎝あって、体重は1年前までは75kgぐらいでした。
ところがこのごろ、久しぶりに会う人ごとに、丸くなったとか、肥えたとか
言われるようになったのです。
 で、Wii Fitで身体のエクササイズでもしようかなってつぶやいていたのですが、
会社から帰ったら、玄関にWii Fitがおいてありました。
ということは、一番そばにいる人から見ても、肥え始めたということですよね。
エクササイズ




「Here I Am 」(Amanda Breeker)

2008-07-24 20:38:55 | 音楽
 会社からの帰りにアマンダ・ブレッカーの「Here I Am 」を買いました。
アマンダ・ブレッカーは、ジャズトランペッター ランディ・ブレッカーと
ジャズシンガー兼ピアニスト イリアーヌ・イリアスの娘さんです。
 二人の娘さんだということと、大好きなテレビ番組「美の巨人たち」のエ
ンディングテーマを彼女が歌っていると言うことで、買ってしまいました。
ちょっと宣伝にのせられたかな(^_^;)
 アマンダ・ブレッカー、デビューCDということで、たしかに瑞々しい声を
しています。CDの編曲を担当しているのがMJQのデビッド・マシューズで、
サックス奏者アンディー・スニッツァーや両親であるランディ・ブレッカーや
イリアーヌもバックに参加しています。バックは、なかなかご機嫌です。
 「美の巨人たち」のエンディングテーマでは、イリアーヌのピアノソロと
ランディー・ブレッカーのトランペット、アマンダの歌という親子3人の
演奏が聴けます。
 娘のデビューにわくわくしている親の気持ちが、伝わってくる
なかなかほほえましいCDですわ。




しかし、重体やなぁアメリカ経済

2008-07-23 19:52:39 | 経済指標メモ
 アメリカ経済、重体ですね。今日の日経の夕刊に、米大手銀行ワコビアの4-6月期の
サブプライムローン関連の損失が、124億ドル(1兆3000億円)になったという記事がの
っていました。米大手金融機関の4-6月期のサブプライムローン関連損失は、500億ド
ル(5兆3000億円)に達したそうです。地域金融機関も、業績が軒並み悪化している
とのこと。
 住宅価格は、下落し続けています。アメリカの人たちは、住宅の値上がりを担保に
お金を借りているのですが、住宅価格の下落のために借金が払えなくなって、カード
ローンや自動車ローンの延滞もふえているそうです。
 信用力の高い住宅ローンであるプライムローンや「オルトA」でも、焦げ付きがふえ
ているそうです(延滞比率は、去年同時期の1.5倍の3.71%)。
 住宅価格の上昇を担保に融資する「ホームエクティローン」の貸し倒れのピークは
来年の1-3月期、自動車ローンの貸し倒れのピークも来年の1-3月期、カードローン
が4-6月期、商業不動産ローンが来年の10-12月期。ということは、貸し倒れは、ま
だまだ序の口で、来年がもっとひどい状況になるということですよね。
 重体やわ・・・銀行、いくつかつぶれるかもしれない。
 経営危機が表面化した米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当
公社(フレディマック)の住宅ローン関連資産は、合計で5兆2000億ドル(約530兆
円)。このうち160兆円を海外の中央銀行や金融機関が保有しています。両社が元
利払いを保証しているプライムローンを裏付けにした住宅ローン担保証券が、この
うちのほとんど。で、プライムローンにまで焦げ付きが広がっているということは、
この二社も大ピンチ。公的資金の導入が検討されているけれど。530兆円の3%がこげ
ついたとして、15兆の損失か・・・。

 経営危機に陥っているGE。アラブ首長国連邦の政府系ファンドであるムバダラ
開発が、資本参加するのですね。

風力発電機、中印勢が台頭

2008-07-22 17:52:24 | 日記
 「風力発電機、中印勢が台頭」。これは今朝の日経新聞の見出しですが、仕事柄
こんな記事がとても気になるのです。
 国際エネルギー機関(IEA)は、風力の発電能力は2030年まで毎年10%近く伸び
つづけ、その時点で世界の発電能力の7%を占め、原子力発電を上回るという予想
をしています。
 このような予想に後押しされて、世界の風力発電メーカーの間で競争が激しくな
っており、中国、インドのメーカーも台頭しているとのことです。風力発電メーカ
ーの順位は、次のとおりです。忘れないようにメモメモです。


順位     企業名           発電能力(kw)   シェアー
1.  ヴェスタス(デンマーク)      450万      20.3%
2. GEウインド(アメリカ)   328万 14.8%
3.   ガメサ(スペイン)     304万 13.7%
4. エネルコン(ドイツ)      276万
5. スズロン(インド)       208万
6. シーメンス(ドイツ)      139万
7. アグナシオ(スペイン)    87万
8. 新疆金風科研(中国) 83万

日本のトップである三菱重工は、発電量力39万kwで10位にも入っていません。

ちなみに太陽光の世界第一位は、ドイツのQセルズでシェアー10.4%。シャープは
シェアー9.7%で第二位。第三位は、中国のサンテック・パワーで8.8%。

なんか取り残されていきそうですね、日本は


「変貌する民主主義」(森政稔)

2008-07-21 17:45:34 | 
 「変貌する民主主義」(森政稔)を読みました。むつかしい本でした。著者の言いたいことの十分の一も理解できていないのだろうなぁと思いながら、感想を書いています。読後に残された問いが、僕にとっては、あまりに大きすぎるのです。
 この本を読んでまず思ったのは、「民主主義」という言葉が、とてもあいまいで不確かなものであると言うことでした。自由民主主義、社会民主主義、プロレタリア民主主義、議会制民主主義、熟議民主主義などなど。このような多様な民主主義の存在こそが、社会の変化の中で、民主主義という思想が変貌してきたことのあらわれであるのです。
 著者は、この本を書く目的として、「2005年の総選挙における小泉政権の大勝利があり、新自由主義が民主主義に落とす影について考えてみたい」と述べています。この本を読むと、新自由主義の台頭によって、民主主義が大きな変貌と存続の危機に直面していることがとてもよくわかります。
 自由という名による規制の緩和と非政治的領域である市場の拡大、それにともなう公的政治領域としての民主主義の格下げと縮小。郵政民営化を争点とした選挙で、ポピュリズム的手法によって勝利した小泉政権が、その後のイラクへの派兵など、保守主義政策の強行採決で推し進めた民主主義の破壊。フセイン独裁政権からイラク民衆を解放するという大義の下に行われたイラクへの侵攻で、当事者であり、悲惨と苦痛をもっとも引き受けなければならなかったイラクの民衆が、その決定に参加することすらできなかったという民主主義の空洞化などなど。
 新自由主義が落とす影とともに、現在、民主主義に変貌を迫っている問題として、筆者は、多数決による決定を原理とする民主主義が、少数者や弱者の声を切り捨てずに、どう尊重していくのかという課題と、民主主義の主体という時の主体そのももが不確かなものになっている(私とは何か?自己とは何か?)という問題を上げています。
 で、読後に大きな問題が残るのです。民主主義が直面しているこのような問題に対して、私たちはどうすればいいのだろうか?社会と政治を変革する不確かな主体である私たちが、少数者の願いや声を尊重しながら、つくりだす民主主義とはどのようなもので、どのようにすれば可能となるのか?
 大きすぎるなぁ、僕には、この問題は。
 
 

「アメデオ・モディリアーニ展」

2008-07-20 23:30:55 | 美術館
 今、関西で二つのモディリアーニ展が開かれています。大阪と姫路。今日は、姫路市立美術館で開かれている「アメデオ・モディリアーニ展」に行ってきました。

  

 モディリアーニがイタリアからパリにわたった1906年から、肺結核でこの世を去る1920年までの作品、50点が展示されていました。モディリアーニの絵を、年代順に展示することで、彼がどのようにして独自の表現方法を獲得していったのかを明らかにしようとした展覧会でした。

 ピカソの「青の時代」の絵に影響されたパリに渡ったばかりの頃の絵と、プリミティブアートにひかれ、彫刻家として生きようとして挫折した後に、再び絵を描き始めた頃の絵を比べると、とても大きな違いがあるように思いました。

 裸婦像が、ぜんぜん違うのです。暗い青を主調に、あばら骨が見えそうなギスギスしていた裸婦像から、官能的で豊かな胸が印象的な裸婦像へと変化していました。

  

 僕は、この絵を見たときに、ウルビーノのビーナスや裸のマハなどの裸婦像と一緒に、ミロのビーナスの均整の取れた彫刻を思いだしていました。肺結核のために彫刻をあきらめなければならなかったけれど、モディリアーニは、やっぱり彫刻がやりたかったのだなぁと思いました。彫刻を彫るように絵を描いたのだと思いました。

 シンプルな線と形、明るめの少ない色づかい。

   
 
 真っすぐ前を向いた少女の顔からは、未来に対する意志のようなものが伝わってきます。

   

 少し首を傾けて、瞳を描かないだけで、生きることの哀しさや心のつらさが伝わってくるのです。
 大阪の展覧会も、ぜひ行きたいです。



「サブプライム後に何が起きているのか」(春山昇華)

2008-07-19 14:29:45 | 
 今日と昨日の新聞に、シティーとメリルリンチのサブプライム損失が発表されていました。

  シティ  4-6月期損失 116億ドル(1兆2400億円)
       直近1年   570億ドル(6兆900億円)
  メリル  4-6月期損失  97億ドル(1兆300億円)
       直近1年  420億ドル(4兆4900億円)

 この本を読むと、シティやメリルなどのメガバンクや証券会社が、なぜこのような巨大な損失を、抱えるに至ったのかがとてもよくわかります。借金を利用したレバレッジ戦略の破綻と証券化商品バブルの崩壊。アメリカ経済を戦後最大の金融危機に陥れたメカニズムが、図解で分かりやすく説明されています。
 この本を読んでまず思ったのは、アメリカのサブプライム関連の損失は、まだまだ底を打っていないということでした。住宅価格はまだバブル前の水準にまで戻っていないし、証券化商品に信用を与えていたモノライン保険会社の崩壊は、しばし猶予期間を与えられているだけにすぎないし。小さな元手で大きな利益をもたらすレバレッジは、逆向きに動き始めた今、まだまだ大きな損失をもたらすはずだし。原油の高騰や消費者物価の上昇、賃金の抑制など、アメリカ経済の私たちへの影響を考えるとき、薄ら寒ささえ感じてしまいました。
 筆者は、前著「サブプライム問題とは何か」で、サブプライム問題は、「アメリカを中心として構築された世界経済構造」=「アメリカ帝国」の終わりのはじまりであると指摘をしていました。この本では、シティーグループを救済したアブダビ投資庁やシンガポール政府投資公社、モルガンスタンレーを救済した中国投資有限責任公司、メリルを救済したクウェート投資庁など、国富ファンドの存在に焦点を当てながら、「自国の金融機関が海外資金で救済され牛耳られるという事態の拡大は、アメリカがこれまで保持してきた流動性配分権力を失うということ、つまり帝国の覇権の一部を失うことを意味する」と、さらに具体的な指摘をしています。
 筆者は、「第5章 世界金融維新」で、アメリカの次の覇権国の第一候補として「中国」を、第二候補としてイスラム圏を上げています。中国かイスラムか、はたまたユーロか、それはわからないけれど、私たちは今、大きな時代の転換点に生きていることだけは、確かなようです。