1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「こちらあみ子」(今村夏子)

2011-03-31 20:13:35 | 
前歯が3本ないあみ子が主人公の物語です。なぜ、歯がなくなったのか?

小学校から父母と別れて祖母と暮らすようになる15歳まで。
あみ子と父、継母、不良の兄、生まれてすぐに死んでしまった妹、
そして大好きな「のり君」との人間関係が語られていきます。

「好きじゃ、と叫ぶ度に、あみ子の心は容赦なく砕けた。」

哀しくて、せつなくて、やるせなくて、
純粋で・・・それだからこそ砕けていく。
読み終わった後に、心にじーんとくる余韻が広がっていきます。
まだ、余韻が残っているなぁ。

最近読んだ小説の中で、間違いなくベストの一冊だと思う。


「顔のない軍隊」(エベリオ・ロセーロ)

2011-03-29 20:55:33 | 
とても良い小説だと思います。著者はコロンビア人です。政府軍と左派ゲリラと右派自警団。三つの軍隊の内戦の戦場となったコロンビアのとある村が舞台の物語です。殺された婦人を強姦する兵士たち、民衆に銃を向ける少年たち、誘拐した妻子の指を切り落として夫に送りつける話など。筆者は、文中に登場するエピソードはすべて実話であるとあとがきに書いています。

筆者は、内戦によって平和な日常生活を突然奪われた民衆の生き様をリアルに描いていきます。主人公は、内戦に巻き込まれ、愛する妻をうしなった70歳の元教師です。喪失感と無力感にさいなまれながら、生き続けなければならない主人公のやるせなさ。テレビの画像では伝えきれない「心」を描いて見せるところに小説の力があるのだと思いました。

コロンビア、イラク、パレスチナ、リビア。そして東北地方太平洋地震の被災者の方々。愛する人との平和な日常生活を奪われた人びとの哀しみが、とても心にしみる一冊でした。


ロンドンで25万人デモ

2011-03-28 21:08:24 | 経済指標メモ
今朝の日経新聞。26日、ロンドンで政府の歳出削減に反対する大規模デモが行われ、25万人以上が参加したという記事が載っています。デモは、英労働組合会議(TUC)が組織し、教師や学生、国営医療制度(NHS)のスタッフ、自治体の公務員などが参加したとのこと。


写真は、日経新聞より。

キャメロン政権は、14年度に向けて歳出を年810億ポンド(約11兆円)減らす財政削減案を打ち出しています。

次女が勤めるロンドン大学(SOAS)でも、年金支給開始年齢の引き上げと財政削減に伴う給与カットに反対して、火曜日と木曜日に教育労働者のストライキが行われ、学生の一部が人事部のある建物を占拠したそうです。

どっこい、イギリスの労働運動は、まだまだ生きているということを実感した記事でした。

ヨーロッパカラマツ

2011-03-27 17:33:36 | 日記
今日は、三女が小学校1年生のときに家族で植えたヨーロッパカラマツを見に、






神戸市立森林植物園に行ってきました。



ヨーロッパカラマツ。植樹してから19年。この樹には、去年死んだ愛犬「そら」も含め、家族の思い出がいっぱいつまっています。






ウメ。



オウバイ。



サンシュユ。



そしてヒメアジサイの芽。アジサイの花が咲くころには、僕たちの韓国の仕事も大きく育っているといいな。



ソウル ~ センチュリー・ユースオーケストラ第3回定期演奏会へ

2011-03-26 22:43:40 | 音楽
朝、



ソウルの町を少し歩いて



キンポ空港へ。東北太平洋沖地震の被災者の方への募金活動が行われていました。



関西空港到着後、大急ぎで、いずみホールで行われた



センチュリー・ユースオーケストラの「第3回定期演奏会」へ。三女がビオラで参加です。メインの「ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73」の演奏には、なんとか間に合うことができました。

ブラームスの第2番をコンサートで聴くのは、はじめて。ビオラの聴かせどころもたくさんあったし、最終楽章のはつらつとした演奏もよかったです。それから、何よりも良かったのは、演奏が終わった後の、団員一人ひとりの達成感にあふれた笑顔でした。

元気をもらいましたよ>三女。
来年も、また、聴きに来れたらいいな!!



昼食@ソウル

2011-03-25 21:10:35 | 旅行
明日までソウルです。

日本人は、僕一人。電子辞典を片手に必死で韓国語で、お仕事をしております。
疲れたけど、心が通じあっていれば、
へたな韓国語でも理解しあえることがよくわかりました。

日本人同士でも、心が通じあっていなければ、ほんとうの思いが伝わらないことが
いっぱいあるもんね・・・。

昼ご飯を食べながら雑談をしていると、やはり話題は地震と放射能の話になります。
釜山空港で驚いたのは、放射能監視装置が設置されていて、そこを通って韓国へ
入国することでした。ソウルの地下鉄では職員の方が、被災者に向けた募金活動を
行っているそうです。

仕事、いっぱいがんばったから、明日の朝はゆったりした気持ちで
ソウルを歩いてみようと思う。




「灯台へ」(ウルフ)

2011-03-24 00:01:34 | 
あーぁ、とにかく難解な作品でした。感想のはるか向こうにあるような・・・。

スコットランドの別荘に暮らす、ある一家の夏の一日と、10年後の一日と。たった二日間の一家の日常を描いた小説だけれど、ながーい時の流れと、かすかな点のような人間の存在を実感した一冊。

今回は、ギブアップ。しばらくしたら、もう一度読み直そう。


正式契約

2011-03-22 19:28:14 | 日記
2年前から設計業務のお手伝いをしてきた韓国ポハン港の港湾工事。いろいろ問題が起こって契約が遅れてきたけれど、今日、正式に契約を結ぶことができました。よかった!!

途中であきらめないで、持続してきた甲斐がありました。この達成感があるから、仕事はやめられない。また明日からは、次の目標に向かって進んでいくけれど、今日一日は、満足感に浸っていよう。

「ヴォイス」(上原ひろみ)

2011-03-21 13:21:12 | 音楽
上原ひろみの新作「ヴォイス」を聴いています。

彼女の最高傑作だと思いいました。9曲中8曲が、上原ひろみのオリジナル。プレイヤーとしてもコンポーザーとしても、日々成長しているのがわかって、とてもうれしかったです。年末のコンサートが楽しみです。

なかでもお気に入りは、トリオの演奏の中で、唯一のソロ曲の「Haze」でした。川面に木漏れ日がきらきらと反射しているような、そんな光景が目に浮かびました。印象派の絵を見ているような感じかな。彼女のやさしさも十分に伝わってきました。コンサートでこの曲を生で聴くと、きっと涙を流すと思う。

CDの最後の曲は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」です。上原ひろみは、この曲についてライナーノートに次のように書いています。

Pathetique「音楽は、全てを浄化し、ポジティブにする。悲愴感も、憂いも、悲しみも」

東北地方太平洋沖地震のすべての被災者の方に、このメッセージが、一日でも早く伝わってほしいと思いました。



「図書館 愛書家の楽園」(アルベルト・マングェル)

2011-03-15 20:47:48 | 
同じ著者の「奇想の美術館 イメージを読み解く12章」がとてもおもしろかったので、こちらのほうも読んでみました。

この本の原題は、「THE LIBRARY AT NIGHT(夜の書斎)」と言います。キース・ジャレットの「The Melody At Night, With You」は、病気療養を支えてくれた奥さんに、自宅のピアノで感謝の気持ちを伝えた名盤だけれど、この本の題名からも、静かな夜のひと時、書斎で大好きな本を読んでいる著者の姿が伝わってきます。

libraryという言葉は、 図書館にかぎらず、書斎や書庫など、複数の本が集まった状態、または場所を指す言葉で、最近では、コンピューターなどのデーターをまとめたファイルや、資料室を意味する場合もあるそうです。

この世のすべての書物を網羅しようとしたアレクサンドリア図書館、コロンビアの山岳地帯に住む人たちに本を届ける巡回図書館、3万冊の蔵書がある著者の書斎などなど。筆者は、世界にあるさまざまなlibraryを取り上げながら、人間はなぜ書物を収集したがるのかを明らかにしていきます。

どんな書物を収集するのか?どんな形の書庫を作り、収集した書物をどうやって分類するのか? これらによって、図書館は、公式記録の保管所として権力の象徴となることもあれば、文字を読めるすべての市民にとって、人としての基本的権利を与えてくれる場所となることもあることなども指摘されます。

そして筆者は、本を読むこと、収集することの魅力を次のように書きます。

「記憶を守り伝えること、他者の経験を通じて学ぶこと、世界や私たち自身に関する知識を分かちあうことは、本が人びとにもたらす力(それに危険)の一部であり、だからこそ人は本を尊び、同時に恐れもするのだ。」

「存在するすべて、存在したすべて、存在するであろうすべて、地上、海中、天空のはるかかなたすべてを」人は図書館から手にいれることができる。

僕も本を読むのが大好きだけれど、ここまで言い切れる筆者に脱帽の一冊でした。



「魔王の愛」(宮内勝典)

2011-03-14 20:04:20 | 
「Xさん」が主人公の物語です。「Xさん」とは、インドの建国の父マハトマ・ガンジーのことです。著者は、聖者、偉人として、ガンジーをたてまつるのではなく、矛盾を抱えた多面体の人間としてのガンジーの姿を描いていきます。文献を読み、ガンジーの歩いた足跡をたどり、ガンジーを知る人にあって取材し、想像力をたよりにガンジーの心の闇を描きます。

ガンジーの清貧の生活が、繊維、紡績産業の大資本ビルラー財閥の援助に支えられていたこと、資本と取引をし繊維労働者のストライキをつぶしてしまったこと、政治的な冷徹さで政敵を何人も追い落としてきたこと、晩年は全裸の若い女性に添い寝してもらって眠ったこと、そしてわが息子をも死においやったことなどなど。ガンジーってこんな面ももっていたのかという驚きの叙述がたくさんでてきます。

筆者は、「神と悪魔が戦っている。その戦場が、人間の心なんだよ」というドストエフスキーの言葉を紹介しています。もちろん、僕の心の中も神と悪魔が戦っている・・・。そして、筆者はこの本の最後に次のように語ります。

「それでも、Xさん。あなたはよくやった」

カースト制度に基づく差別と、厳しい宗教的対立が存在するインドで、非暴力の思想で独立を勝ち取ろうとしたガンジーが、聖人ではなく、悪魔の心をもった生身の人間であるからこそ偉大に思えた一冊でした。おもしろかったです。



災害三日目

2011-03-13 12:43:29 | 日記
津波で破壊された家屋の前で、行方不明の家族を探し泣き崩れる被災者の姿が、あまりに悲しかった。

南三陸町も女川町も、気仙沼、宮古、大船渡、石巻、名取、八戸も、漁港の工事でたいへんお世話になった市町村です。亡くなられた方のご冥福を心からお祈りするとともに、被災者の方に、会社としてどのような恩返しができるのか、明日から考えていきたいと思います。

僕たちに何かできることはないのだろうか

2011-03-12 08:14:56 | 日記
朝。
被災地映像は、あまりにも悲惨です。
「SOS。水と食料を」
病院の屋上で必死で手を振る人々。早く、救助してあげてほしい。
僕たちに何かできることはないのだろうか。


14時、原子力安全保安院の発表。「福島第1原発1号機について、炉心溶融が起きている可能性が高い。」
昨日からずっと心配していたけれど、ついにメルトダウンがはじまったのですね。


福島第一原発1号機爆発。そして90人の方が被曝。事態はますます悪化しています。

もう、何も手がつきません。