1日1日感動したことを書きたい

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人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「老いの超え方」(吉本隆明)

2011-02-23 17:23:12 | 
著者の吉本隆明は、1924年12月生まれの86歳。この本は、83歳の時の作品です。

糖尿病をかかえ、白内障と腸ガンの手術をし、歩くことも本を読むこともままならない。頻尿で、夜は紙おむつをつけてねる。そんな老いの姿が、カラー写真入りで紹介されています。

あとには死ぬしかないという思いで鬱な気持ちになったり、他人の親切が負担に思えたり、普通の老人が感じる思いも、とても正直に語られています。僕も、もうすぐそのようなことを思う年代になるのですね。鬱な気持ちになった時、吉本は、日々の小さな喜びを大切にするのがいいと書いています。これは、メモしておこう!!

吉本隆明は、自らの「老い」を「標本を見る」ように、客観的に考察していきます。そして、老人とは反射的に行動する動物からはるかに隔たった『超人間』である、というポジティブな結論に到達します。

「動物身体の運動性は人間を除いてすべて反射的なものだ。意志と行為のあいだに分割や間隙がない。人間は意思することと身体運動を起こすこととのあいだに時間差があり、そのあいだにあらぬ空想をまじえたり、想像にふけったり、妄想や思い込みにとらわれたりする。これは身体運動を鈍く遅くするが、思考や想像力を豊かに発達させ、言葉を生み出すことに寄与してきた。老齢者は身体の運動が鈍くなっていると若い人はおもっていて、それは一見常識的のようにみえるが、大いなる誤解である。老齢者は意思し、身体行動を起こすことのあいだの『乖離』が大きくなっているのだ。言い換えるにこの意味では老齢者は『超人間』なのだ。」

豊かな知恵を蓄積してきた老人たちが集まって、知恵を提供する会社を設立するとか、老人ホームの隣に保育園を設置し、行き来を自由にするとか、病院などの組織は管理する側でなく管理される側の利益を最大にする必要があるとか、ユニークな提案もしています。

「反省力というのが若いときよりも増大している」これも、吉本の言葉。僕も、反省力にあふれた「超人間」になっていくのだと思うと、なんか元気がもらえたような気がしました。

「性欲は精神と身体の統合したもので、決して衰えない。」
そうなんや・・・・。



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