かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

初夏の高原の音源さえあれば、生きていける

2022-05-21 18:43:38 | 日記

図書館から中央大学ワンダーフォーゲル部OBで、日本野鳥の会バードウォッチング案内人などの肩書のある大津雅光さんの著書「探鳥の山旅」(白山書房)を借りてきて、楽しんでいる。オイラより一回り先輩の方である。

日本全国の山に登ったいわゆる山の紀行文であるが、他の寄稿文と異なり登山者の耳にする野鳥の紹介とその鳴き声をていねいに片仮名で紹介している。たとえば、秋田・山形県境の神室山(かむろさん)の項では、「フイフイフイフイフイ・・・よく透るゴジュウカラの声が広葉樹の森に響き渡る。スズメ大の小さな体だが、素晴らしいアルトを聴かせてくれるブナの森の主である。チチピン、チチピン、チチピン・・・穏やかな陽気に誘われてヒガラが風に舞うがごときさえずり始めた。」という具合に。

といっても、その野鳥らの鳴き声の実感がわかないので、オイラは手間のかかる話ではあるが、手持ちのナツメ社の野鳥図鑑でゴジュウカラやヒガラのページを開いて、そのページに掲載されているQRコード(鳥の鳴き声)から鳴き声の録音をダウンロードしてそれらの声を確かめながら読み進めている。

たしかにゴジュウカラは、「フイフイフイフイフイ」とヒガラは「チチピン、チチピン、チチピン」(地声か)と聞こえる。

そんなことをしながら、「探鳥の山旅」を読んでいると、実際オイラがこの山に登っている当事者となっているので楽しすぎる。大津さんは、山の花にもお詳しくてさらに臨場感が増してくる。

そうだな、「あと5年」オイラも大津さんの姿勢を見習って探鳥の山旅を続け、大津さんの背中を追いたいと思っている。耳にするもの、すぐにどんな名前の野鳥かひらめくだけでも、たとえ深い森のに隠れて姿を確認できなくても、彼らに出会った気分になって山旅の深みが増すのだろう。

    

初夏の高原で、さまざまな野鳥たちが短い人生のなかで懸命に愛をささやいている、そんな音源を耳にするとなんて心が落ち着いてくるのだろう。どのような名曲よりも魂に語り掛けてくるような気がする。たとえ、名前をいちいち挙げられなくとも心地よいのだが、かれらの名前と姿が目の前に浮かべば、また山の思い出とも重なって癒されるのだろう。

つねづね心の奥底のどこかで、「臨終のときは、初夏の高原で耳にする音源を聴きながら・・」という思いにとらわれている。

 

niseuさんのYouTubeをお借りします

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