風に誘われて

あの山から、あの海から、私を呼ぶ声が聞こえます。
風が「行こう!」と誘います。
風に誘われて、さあ立ち上がろう!!

美唄の「アルテピアッツァ」で一日遊ぶ

2016-09-22 | 北海道の夏 9年目(2016)
美唄(びばい)はかつて炭鉱町として栄え、ピーク時の美唄栄小学校では児童が1200人を越していたとか。
しかし、1973年の閉山と共に60名まで減少して、その後に閉校。
そういう歴史を辿った小学校や炭鉱住宅街跡が「彫刻美術館・アルテピアッツァ美唄」として蘇り、
今では美唄出身の安田侃(やすだかん)の作品40点が展示されている。

 
当時の小学校の一部を整備して、現在は幼稚園として使われ、その2階と体育館にも美術館として作品が展示されている。
安田侃さんは、
「ここは幼稚園でもあり、彫刻美術館でもあり、芸術文化交流広場でも、公園でもある」と表現しているそうで、
まさしく、みんなの心の癒し場所になっている。


 
敷地内を歩いていくと、屋内・屋外のあちらこちらに作品が点在している。
同じ作品でも見る位置や角度で印象が違ってくるし、
安田侃さんの作品は前衛的ながら心が落ち着く。



白い石の道には小川が流れ、夏には子供たちの水遊び場所となってしまうとか。


 
築山のような小さな丘にある作品。
一見ただの丘のようにあるが、上に登ってみて初めて此処に作品があることに気がついた。
四方は木の階段で、下に降りた中心に作品がある。
大理石の作品の表面は滑らかで、寄りかかったり上に寝転んだりしていると何かしら心が落ち着く。



敷地内にあるカフェも、カウンター越しに、目に爽やかな緑や作品を眺められる。

                        

美術館のある地域から更に奥にある炭鉱跡にも行ってみた。


最盛期には鉄道も走り、駅も、隣接する住宅地内には映画館もあったという炭鉱町が
今では「メモリアル森林公園」となり、
立坑(竪坑)と原炭ポケットを残すのみで、見渡す限り緑の野山となっている。
(原炭ポケットも緑の中に埋もれていた)



炭鉱の記憶を残すための、安田侃が制作した「炭鉱(やま)の碑」
高さ7メートルの大理石製。

炭鉱事故で地底に眠ったままになっている犠牲者を弔う意味もあるそうで、
空に向かって広がるデザインには、魂に空気を送る為や、
魂が家族の元に帰れるようにとの意味が込められているそうだ。


「アルテピアッツァ美唄」と、かつての三菱美唄炭鉱跡を見て回るには午前中だけでは時間が足りず、
いったん昼食(名物のやきとり)を食べに町に出て、午後にまた再訪。
のんびり、気ままに一日をかけて散策。

平日なので、本当に人が少ない。
広い緑と芸術作品を独り占めできるのは、北海道ならではの贅沢空間。

今回は初秋の静かな空気が流れる中での観賞だったが、
春の新緑の中も、夏の青々とした緑の中も、また白い雪に包まれた中も、それぞれの美しさを見せてくれるのだろう。

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