風に誘われて

あの山から、あの海から、私を呼ぶ声が聞こえます。
風が「行こう!」と誘います。
風に誘われて、さあ立ち上がろう!!

緊急、自宅に戻る

2008-08-20 | 北海道の夏 (2008)
14日、帯広の総合病院に行き、検査の結果「網膜剥離」という診断。
「早めの手術が必要」とのことなので、帯広での手術を希望したが
「ここは早くて来週の手術になり、その来週も予定で一杯なので、できれば関東に戻る方がいいでしょう」と言われた。

夫は運転できる状態ではない。
私は家の近くばかりの運転で、遠出の運転をしたことはあまりない。
だが、何としてでも帰るしかない。

フェリー会社に電話すると
「お盆なので、明日以降はしばらく空きはありません」と。
「ただ今夜の深夜便なら、ありますが」と。

こうなったら、手続き終了時間の午前0時までに苫小牧港まで行くしかない。
その時点で午後4時。
2LDKに広げた荷物を片付け、車に積み終わったのが1時間後の5時。
それから私の、必死の運転が始まった。

うちの車にはナビはついていない。
今回の北海道旅行の前に取り付けることも考えたが、私は地図を見るのが好きだし、自分で探し当てた達成感が好きだから、敢えて購入はしなかった。

だが今回は夫に目を使わせたくないので、地図はあまり見せられない。
夫には、道路案内標識だけは見落とさないように頼んで出発した。

帯広から高速道に乗って十勝清水で降り、国道に入る。
北海道の道路は照明が少なくて暗い。
更に、雨が降ってきた。

十勝清水から夕張までは「日勝峠」を越えていくのだが、
この場所は大きなカーブの連続だ。
そして悪いことに、数メートル先も見えない程の濃霧だった。
トンネルも多いのだが、そのトンネル内にも霧が入り込んでいる。
車の量も多いので、スピードを落とせば追突の心配もある。
ひたすらセンターラインを目印に、辺り一面真っ白な霧の中を走る。

少し霧が薄くなった場所で、前の車が大きく右にそれたのでスピードを緩めながら注意して見ると、大きな鹿が座り込んでこちらを見ている。
どうも立ち上がることが出来ないようだ。
そのままでは後続の車にぶつかってしまう。
心配だったが車を止めるスペースもないし、こちらも先を急いでいる。
「どうか助かって欲しい」と祈りながらも、こちらも必死でハンドルを握る。

夕張から再び高速道に乗り、苫小牧港に着いたのは午後9時。
休憩もない4時間の運転だった。

フェリーには無事に乗れたものの、今度は茨城・大洗港から自宅までの運転がある。
北海道の高速はともかく、車の量の多い首都高速などを走るのは恐い。
だが、誰も頼む人はいない。

姉が甥に行かせようと言ってくれたが、あいにく甥は旅行中で無理だった。
車の陸送を依頼して私達だけ電車で戻ることも考えた。
だが、これからの病院通いを考えれば車はなるべく持って帰りたい。
ということで、何とか自分達で頑張るしかない。

そして、無事に帰ってきた。
北海道を出発して、フェリー乗船時間も含めて30時間。
自分の運転で戻ってきた。
まさに、火事場の○○力だと思う。
何かが私に、自分でも信じられない力を与えてくれたに違いない。

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