左は「納札」(おさめふだ)
右は「経本」(きょうほん)
「納札」は、願い事、参拝をした日付、住所、名前、年齢を書いて、本堂と大師堂に納めたり、
お接待を受けた時に使ったりする。
私が写経して持って行った枚数は92枚。
本堂と大師堂の両方に納めるには枚数が足りないので、
写経は本堂のみに納めて、大師堂には納札を使うことにした。
「経本」は、般若心経やご真言などが書かれたもので、
お経を暗記した場合でも、この経本を開いて読むことが作法となっている。
昔は、巡拝した証に、木や金属で出来た札を霊場の柱などに打ちつけていたことから、
霊場を「札所」(ふだしょ)と、また霊場を巡ることを「打つ」と呼ぶようになったと言う。
札所の巡拝の順序は
①まず、山門や仁王門の前で一礼して境内に入る。
②手水場で、手と口をすすいで清める。
③鐘をつく(参拝後につくのは「戻り鐘」といって縁起が悪い)
④ローソク、線香を立てる(貰い火はやめて必ず自分の火で点ける)
⑤写経または納札を納め、お賽銭をあげる。
⑥本堂で読経
⑦大師堂でも本堂と同じく、ローソク、線香、写経または納札、お賽銭、読経を繰り返す。
⑧納経帳に墨書きと朱印をいただく。
⑨門の前で一礼
読経の作法もあり、人によっては般若心経だけに省略することもあるそうだが、
「最初で最後かも・・」との思いがある私は、
悔いのないように本堂でも大師堂でも、なるべく正式に沿うようにお唱え。
①合掌礼拝(がっしょうらいはい)
②開経偈(かいきょうげ)
③懺悔文(ざんげのもん)
④三帰(さんき)
⑤三竟(さんきょう)
⑥十善戒(じゅうぜんかい)
⑦発菩提心真言(ほつぼだいしんしんごん)
⑧三摩耶戒真言(さんまやかいしんごん)
⑨般若心経(はんにゃしんぎょう)
⑩御本尊真言(ごほんぞんしんごん)
⑪光明真言(こうみょうしんごん)
⑫大師宝号(だいしほうごう)
⑬回向文(えこうもん)
⑭合掌一礼
こうして書き出すと、とても面倒な作法のようだけれど、
遍路を始めて2~3日もすると、慣れてくるものだ。
ただ毎回使う遍路用品が、数珠、ローソク、線香、ライター、写経用紙、納札、お賽銭、納経帳と、結構かさばる。
特に私の納経帳は御影帳(みえちょう・納経所で頂ける御本尊の御影を入れるもの)も一緒になっている大型なので
リュックサックに入れての参拝になり、一見歩き遍路のような格好。
実際「歩きですか?」と声を掛けられることもあり、その度に「いいえ・・」と恐縮
初日に話しかけられた歩き遍路さん2人。
1人は霊山寺で、歩き遍路で結願のお礼参りを済ませた中年男性。
台風で1日休んでしまったものの42日間で回ったとのこと。
柔和な表情の中に、やり遂げた達成感と自信がみなぎっていた。
そして、もう1人は切幡寺の長い階段を駆け降りてきた若い女性。
「これで結願なんです!」と、はじけるような笑顔。
この女性も
「台風で1日休んじゃいましたけど、44日で」と。
そして、また長い坂を「民宿の車が迎えに来てくれるので」と駆け降りていった。
その後ろ姿に「お疲れ様」「ガンバレ」のエールを送る。
若いっていいな。