神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] エッジ

2009-04-05 18:25:38 | SF
『エッジ』 鈴木光司 (角川書店)/あえてリンクなし/

ぐはー。ヒドス。

これはSFじゃないよ。似非科学の屁理屈パンフレット並みだよ。
小説としてもいろいろ破綻してるよ!

対象性が破れた原因も書かれていないし、こういうのはシンクロニシティじゃなくて便乗っていうんだよ。(上巻カバーにノーベル賞とのシンクロニシティ言及あり)

シャマランはどうやってこの本を読んだんだよ!(下巻カバーにM・シャマランの推薦文が載っている)

日本SF大賞を受賞した貴志祐介の『新世界より』からほぼ1年後、同じくホラー畑の鈴木光司が書いたSF大作というので、結構期待してたんだよ。『らせん』、『ループ』のグダグダぶりはすっかり忘れてたよ(笑)

えーと、たぶん、ホラーファンとかファンタジーファンは、またSFバカの「これはSFではない」が始まったと思ってるだろうけど、これはかなりヒドス。巻末に参考文献が大量に載ってるけど、著者はまともに理解できずに表面的な知識をなぞっただけ、に100万ジンバブエドル賭ける(笑)

たとえば、冒頭にπの計算の話が出てくるけど、計算機で求めるπは物理法則から計算してるのではなく、純粋に数学的な計算をやっているんだよ。数学ってのは、人間に観測可能な世界の物理法則を再現するために、ソレっぽく見えるように作ったルール(公理系)なんだよ。(ちなみに無矛盾であれば公理系が作られるので、物理法則に依存しない数学体系もある)だから、急に物理法則が変わったって、人間が作ったルールは変わらないんだよ。つまり、現実にπの値が変わったところで、計算機の計算結果が変わることは無いんだよ。計算機が円周の経路を使ったアナログコンピュータなら別だけどな!

星の消滅だって、普通の天文学者なら最初に疑うのは天体の消失じゃなくて、蝕だろjk。科学者ってのは過去の観測記録がすべてな人種だから、急に新しいことが起こったって、そんな結論にはすぐには飛びつかないんだよ。オッカムの剃刀ってのがあってだなぁ(以下略)どうでもいいけど、漆原教授って、『動物のお医者さん』かよ(笑)

そんな難しい話はわからんというなら、神と悪魔の対立概念ならどうだ?
ファンタジーの人なら詳しいでしょ。対立概念で言うなら、善悪二元論のゾロアスター教を持ってくるべきだろ。アフラ・マツダvsアーリマンだろ。なんで悪魔に堕天使を持ってくるのだ。堕天使は堕“天使”であって堕“神”じゃないだろ。そこでもう対象性は崩れてるよ(笑)

作中に出てくる科学的考察や文化人類学的考察は一時が万事こんな感じで、どれも首をかしげるものばかり。別に揚げ足取りなんかじゃないよ。根本的におかしいんだよ、この人。

主人公に科学志向のキャラを配置さえしていなければ、こんなに怒らないよ。SFファンや科学ファンはこんな考え方なんかしないよ。馬鹿にすんじゃねぇ。

小説としても、新人作家にありがちな、唐突な視点移動(語り手が急に変わる)や唐突なカットバック(急に過去や別な場所のシーンが挿入される)が目立ち、粗が多すぎる。だいたい、最後の大ネタ(精二の正体)だって伏線が無さ過ぎで、いかにも行き当たりばったり。だいたい、なんで飛び降りたのさ。あれは羽柴も確認に行っているし、幻覚シーンじゃないはずでしょ。

あぁ、ブログ始める時に「プロの作品は貶さない」と誓ったはずなんだが、この作品は酷過ぐる!

コンサがぼろ負けで気が立ってるせいじゃないからな!