拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

2012-08-09 | その他


今週の旧作DVD鑑賞は、2ch発で2009年に映画が公開された、小池徹平主演の"ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない"です。

音楽で食べられなくなって、IT業界に拾ってもらって早10年以上経ちますが、世がITバブル絶頂の中、右も左も分からない20代の頃に初めて正社員SEとしてITベンチャー企業に就職した自分にとっては、過去の自分と重なる部分もある?とても面白い作品でした。

小池徹平君演じる、主人公のマ男はプログラマで、自分はネットワーク系のSEという違いはありますが、下請けベンチャーでは仕事が立て込んで会社に寝泊りするのは、決して珍しいことではなく、作品をみながら「これは酷ぇ~」と思いつつも、屍を乗り越えていくのが当たり前的な?ITベンチャーの世界で、「まあ大なり小なり、よくある話だよねえ」と、フツーに見入っている自分がいました。(苦笑)


デスマ的な話はベンチャーではよくあり、自分も当時夜中に倒れて救急車で運ばれたにも関わらず、明け方に体調が戻って当時の社長へ、体調不良で病欠の電話を入れた際、午後から会社に出てくれと言われる(実際に午後から出社した)程度に、何度か有得ない現場をくぐってきました。(汗)

しかしそれを機に、案件の取り方・握り方が悪いから現場が苦しい思いをする、ならそのタイミングから自分が関わればよいのだと思い、まだ供給よりも需要が高かった時代に、エンジニアリングだけでなく、コンサルやプロマネをこなした事で、おかげさまで何とか今も食いっぱぐれずにすんでいます。(ありがたやx2)


作中でもOJTという言葉が出てきますが、人・金・物が慢性的に不足しているベンチャー企業では、本人にその気があれば、大手だと未経験者にはなかなかチャンスがまわってこない仕事にも、どんどんチャレンジできる実情があります。(人手はいつも足りない為、既存の仕事に加えて仕事が増えるので、当然2~3人分の仕事をこなすことにはなりますが)


主人公も最後に、もう少し頑張ってみよう~となりますが、自分も後から振り返って、最初のベンチャー企業での有得ないSE時代の経験があったからこそ、その後に海外を含めて苦しい現場に直面しても、「あれを乗り越えられたのだから」と頑張れた部分があります。

そしてベンチャーで上流工程を含む多くの経験を積めたことで、その後大手企業へ転職でき、そこでも修羅場で鍛えた経験を生かして、ステップアップできたとも思っています。(もちろん今と比較して、当時のIT業界が好景気だったことや、時代の運、そして自分にチャンスを与えてくれた、今でも足を向けて寝れない人達の存在もあったと思いますが)


もちろんこの作品に出てくるような現場は、体力&気力のある若い頃でないとできないというのはありますが、「若い頃の苦労は買ってでもしろ」ということわざがあるように、後の自分を助けてくれるような経験を積めるという大きなプラスの一面もあります。
(今もう1回やれと言われれば、間違いなく「無理です」と即答しますが。笑)


まあ何が幸いするかは、後になってみないと分からないことも多いので。。。

もちろん、心と体を病んでしまっては元も子もないので、そうなる前に転職を勧めますけれど。(苦笑)



最後に、田辺誠一さんが演じる藤田さんは本当に良い人だなと思います。

これまでの自身の経験では、どんなに酷い現場でも、良い人が1人、2人は必ずいて、マ男君じゃありませんが、そういった人が心の支えになっていたりします。

でもそういう人に限って、先に会社辞めちゃったり、移動になっちゃったりするんですよね、、、。


自分も後輩にとって、藤田さんのような存在でありたいと思いますが、という事は、自分は会社辞めちゃう人なのか???

しかしこの法則だと、きっと藤田さんみたいないい人が集まる、天国のような会社&現場がどこかに存在しているはずなのですが、そんな話は1度も見たことも聞いたこともありません。(笑)


なんだかとりとめの無い、自分の昔話や戯言ばかりが出てきてしまいましたが(苦笑)、全ての20代の人達と、IT業界で働く人達に勧めたい、そんな面白い作品でした。


P.S.
本音を言えば、ITベンチャーで感じる辛さより、プロミュージシャンとして音楽が続けることができなくなった日のショックや、某バラエティ番組で何日も絶食しながらの生活、そして思うように作品が書けない時の方が、自分にとっては何倍も辛かったので、それも結果的にはプラスに働いたのかも???