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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

進化した「ドクターX~外科医・大門未知子~」

2013年10月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレ朝「ドクターX~外科医・大門未知子~」について書きました。


テレ朝ドラマが充実の秋!
キーワードは「進化」

この秋のドラマレースで目を引くのが、テレビ朝日“シリーズ軍団”の活躍だ。初回が19・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の「相棒」。今期最高の22・8%を記録した「ドクターX~外科医・大門未知子~」。さらに23時台の「都市伝説の女」も8・4%の高視聴率で始まった。

この3本に共通するキーワードは「進化」だ。前シリーズのいいところを継承しながら、視聴者を飽きさせない工夫を忘れない。その好例が米倉涼子主演の「ドクターX」である。

まず新たな舞台の設定だ。前回の帝都医大付属病院の分院から本院へ。これは「半沢直樹」が大阪西支店から東京本部に異動したようなものだ。これにより大学病院“本店”ならではの権力闘争も描けるようになった。

次に新キャラクターの投入だ。外科統括部長に西田敏行。映画「釣りバカ日誌」の浜ちゃんもいいが、西田はアクの強いヒール役も実にうまい。そして内科統括部長は三田佳子だ。現在72歳の三田が58歳の敏腕女医を堂々と演じている。出てくるだけで画面が豪華に見えるのはさすが大女優だ。

次期院長の座をめぐって対立するこの2人。いわばハブとマングースの戦いだが、その暗闘が激しいほど、「私、失敗しないので」とマイペースで患者の命を救っていく米倉が際立つ仕掛けだ。まさに座長芝居である。

(日刊ゲンダイ 2013.10.22)